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2015.04.28

第11回文京区:非営利型環境学習・保全団体等が中心となって企画・運営する区民向けの環境講座(文京ecoカレッジ)

 当プロジェクトの助成金を活用した都内62市区町村の環境事業の取り組み状況について順番に紹介する「環境事業紹介」のコーナー。
 第11回は、文京区で実施している区民向けの環境講座【文京ecoカレッジ】について紹介します。
 一般向けの「環境ライフ講座(旧環境学習リーダー育成講座)」は、区内在住・在勤・在学者向けに、年6~8回の連続講座として実施しています。
 一方、区内在住・在学の小学生及びその保護者を対象にする「親子環境教室」は、“体験を通じて考え、調べ、学び、行動する”講座として、4つのテーマの独立した講座を年に4回開催しています。
 講座の特徴や講座の開催を通してめざすことなど、文京区ならではの講座運営について、ぜひご一読ください。

リーダー育成講座からライフ講座に衣替え

みたか環境活動推進会議の平成26年度環境ライフ講座の講座内容一覧(チラシより抜粋)

平成26年度環境ライフ講座の講座内容一覧(チラシより抜粋)※クリックでPDFが開きます(PDF:230KB)

 文京区では、毎年夏から冬にかけて開講する「文京ecoカレッジ 環境ライフ講座」を実施している。区内在住・在勤・在学者向けに全6~8回と、連続して企画する講座だ。
 文京区内の緑地や環境施設等をフィールドにして、身近な自然や歴史、くらしをきっかけに環境について楽しく学びながら、「環境に関する活動を続ける仲間を増やす」ことを目的に開催し、受講生が“見て、聞いて、実感する”ことに重点を置いている。文京区在住・在勤・在学者で地域の環境活動(学習)に関心のある方15名を募集して行う。
 2014年度は、『未来に引き継ごう 私たちの環境【文の京再発見】』と題して、文京区本郷にある東京都水道歴史館の見学(9/27)や新江戸川公園と水道交流館(10/4)、後楽緑道散策から小石川後楽園の見学(10/11)などの現地講座、区役所のあるシビックセンター内会議室で地球温暖化や資源、リサイクルについて学ぶ座学(11/8)、区民ひろばで開催するフリーマーケットでのブース出展のテーマと内容の検討(11/22)、同イベントブース出展の運営(12/19)、修了証の授与式と区内環境団体との交流会(12/20)という内容及びスケジュールで実施された【1】

 「環境ライフ講座は、平成19年度に環境学習リーダー育成講座として始まったものです(平成12~15年度は環境学習リーダー養成講座)。もともと、“リーダー”という名称の通り、環境保全活動を担う人材の育成を目的に、地域の環境保全活動の活性化をめざした講座として実施していました。ただ、申し込みの時に“リーダー”といわれると敷居が高いという方も多く、昨年度(平成26年度)から環境ライフ講座と改称して、まずは自らの生活の中でできることから始めましょう、ということで実施するようになりました」
 そう話すのは、文京区資源環境部環境政策課地域環境係の阿部係長と主任主事の三浦さん。

(平成26年度・環境ライフ講座風景)
小石川後楽園庭園見学(第3回)

小石川後楽園庭園見学(第3回)

水質検査実験(第4回)

水質検査実験(第4回)

区の環境イベントにブース出展で参加(第7回)

区の環境イベントにブース出展で参加(第7回)

修了式後、区内で活動する環境団体のメンバーとの交流会(第8回)

修了式後、区内で活動する環境団体のメンバーとの交流会(第8回)

講座の修了生が区の啓発事業・イベント等に関われるシステム ~サポーター制度

 環境ライフ講座の特徴の一つに、企画・運営を非営利型環境学習・保全団体等が担っている点があげられる。毎年度、6回以上8回までの開催で1講座2~3時間として企画を募集し、プロポーザル選定による公募の提案内容によって決定する。NPO等の企画力・実行力を区政に活かし、協働による提案公募型事業として実施するのがねらいだ。

 もともとリーダー講座として開催していたことから区内の環境保全・環境学習の担い手となる人材の育成をめざすのも環境ライフ講座の目的の一つ。
 これまでも講座の最後には総まとめとして、区の環境啓発イベントでブースを出展し、学んだことを来場者に向けて発表しているが、そうした役割を修了後にも続けてもらおうと始めたのが、平成26年度からの環境ライフ講座の修了生を対象とする「環境ライフサポーター」制度だ。
 「リーダー育成講座として実施していた時は、修了後は環境活動を続けてくださいとお話しをして、活動団体等のご案内をするだけでした。環境ライフサポーター制度は、環境ライフ講座修了後も、みんなでいっしょに活動しませんかというご案内をして、区主催のイベントなどに積極的に参加していただくものです。昨年度の修了生を対象に、今年度からサポーター制度を始めましたので、まだ実際にはイベントに参加してもらっていませんが、7月に開催するイベントからいっしょに活動していきましょう、とご案内しているところです」
と、担当の三浦さんがそう説明する。

 過去にも、平成22年度及び24年度の修了生がそれぞれ互いに呼びかけて、環境保全・環境学習を担う団体を立ち上げ、同期の修了生による自主的な活動団体ができたこともあった。環境ライフサポーターは、区が呼びかけることで、情報交換や活動の場を作るとともに、保険の加入や活動費の補助などのサポートをしていく。
 活動は、毎年7月に開催しているクールアースフェア【2】などの区の環境保全イベントに区の職員とともに運営側の立場で事業に携わり、来場者への環境保全の啓発を行う。
 事業に参加することで、環境保全への関心や理解を深めながらいっしょに活動する仲間を増やし、楽しく環境保全活動を継続していくのが目的だ。

平成26年度のクールアースフェア。講座の修了生もブース出展などのサポートをしている。
平成26年度のクールアースフェア。講座の修了生もブース出展などのサポートをしている。

平成26年度のクールアースフェア。講座の修了生もブース出展などのサポートをしている。

親子環境教室を年に4回開催

 環境ライフ講座と同じような形で、非営利型環境学習・保全団体等のプロポーザルによって毎年4講座を実施しているのが、「親子環境教室」【3】。4講座はそれぞれ独立した講座としてプロポーザル提案を受け付け、複数の団体からの提案の中から4つを選んで実施するという形をとっている。
 事業の目的は、身近な視点を取り入れた座学および工作・実験等を含む体験型環境学習の機会を区民に提供すること。区内在住・在学の小学生およびその保護者を対象に、夏休みや週末に開催するものだ。親子で受講することで、環境問題に対する意識を共有し、その後の家庭における取り組みとして継続させることをめざす。そのため、“体験を通じて考え、調べ、学び、行動する”講座づくりを心掛けている。
 「募集人数は、各回親子22組ですが、毎回人気が高く、ほとんどの場合、抽選で参加者を選ぶことになります。私が知る限りでは、100組を超える応募があったこともありました。特に夏休みがお子さんのお休みの関係もあって多くなっています。この講座は、区報やホームページでも広報していますが、1~3年生の低学年のお子さんたちには、区立小学校で一人1枚ずつチラシを配っています。チラシの効果が大きい事業ですね」
 と話すのは、阿部係長だ。

 平成26年度の4講座は、下表の通り。実験や工作などを通じた体験型学習を重視した内容と構成にそれぞれ工夫を凝らした親子環境教室となった。

平成26年度親子環境教室の内容
実施日タイトル内容
第1回8月2日(土)海のふしぎ発見!
楽しく学ぶ海の環境と安全
海にはどんな生き物がいるの?
海で楽しく安全に遊ぶには?
【実験】
・竜巻を作ろう
・波と津波の違いについて
【工作】貝殻のアクセサリーを作ろう!
第2回8月16日(土)涼しさを感じるヒミツを知ろう地球温暖化とは?
身近な省エネルギー行動とは?
【実験】
・気化熱を利用した実験
・音源あてクイズ「涼しさを感じる音とは?」
【工作】オリジナルのうちわ・風鈴を作ろう!
第3回10月18日(土)砂で遊ぼう!砂と環境について
砂のはたらきとは?
【実験】
・クラドニ図形
・砂の液状化実験など
【工作】
・砂時計づくり
・カラーサンドを利用した植木鉢づくり
第4回11月8日(土)私たちの暮らしと様々な発電方法地球温暖化とは?地球温暖化が進むとどうなるの?
今と昔でエネルギーの使い方はどう変わった?
【実験】さまざまな発電方法を学ぼう!
・太陽光発電
・燃料電池自動車
・小水力発電 など
親子環境教室の様子。“体験を通じて考え、調べ、学び、行動する”という体験型環境学習の機会を区民に提供し、地球温暖化対策等の環境問題に対する意識を高めることをねらいとする。
親子環境教室の様子。“体験を通じて考え、調べ、学び、行動する”という体験型環境学習の機会を区民に提供し、地球温暖化対策等の環境問題に対する意識を高めることをねらいとする。

親子環境教室の様子。“体験を通じて考え、調べ、学び、行動する”という体験型環境学習の機会を区民に提供し、地球温暖化対策等の環境問題に対する意識を高めることをねらいとする。

対象の広がりだけでなく、区内の環境学習を進めるための重層的な取り組み

 環境ライフ講座(旧環境学習リーダー育成講座)も親子環境教室も、十年来続いている事業。ともに提案公募型事業として、主に地域で地道な活動を続ける非営利型環境学習・保全団体等に企画・運営を委託して実施している。つまり、区の事業を任せられるだけの力がある団体と連携して実施できていることの証ともいえる。区民への啓発事業を実現しながら、委託団体には業務として発注することで持続可能な組織運営のサポートをすることにもつながっている。

 一方、ボランティアとしての関わりを通じて、地域の環境保全・環境学習の取り組みを始めたり、継続していったりするための取り組みも生まれている。環境ライフ講座(旧環境学習リーダー育成講座)の受講がきっかけになって、団体を立ち上げて活動を始めている人たちもいると三浦さんが紹介してくれた。
 「4年前の平成23年度から講座の担当をしていますが、その前の年(22年度)の受講生が修了後も活動を継続しようと、公園や緑の大切さを発信する団体を立ち上げました。さらに24年度にも修了生が集まって、エコアイデアなどを提唱する団体を立ち上げました。どちらの団体も、区の環境イベントなどにも参加してくれています。この2つの団体ができた各年の講座の企画・運営を担った委託団体が同じだったこともあって、その団体から声掛けしていっしょに活動することもあります。いっしょに勉強した仲間は、結束が固いようです」

 阿部係長も、環境ライフ講座をきっかけにして、区内の環境学習や環境保全活動が広がり、つながっていってほしいと話す。
 「環境ライフ講座(当時は環境学習リーダー育成講座)の企画・運営の委託団体が、翌年の親子環境教室の講座の講師として前年度の修了生を迎え入れて開催した、という回もありました。今回、環境ライフ講座の修了生を対象にしたサポーター活動が始まることで、いろいろな人がいっしょに活動することによって、そこでまた新たなネットワークが広がっていくのでは…、という期待もあります」


関連リンク

(文京区の施策等)

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