トップページ > 環境レポート > 第50回 足立区:1人の100歩より、100人の1歩を大切に(地球環境フェア)

2018.08.27

第50回足立区:1人の100歩より、100人の1歩を大切に(地球環境フェア)

 「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」の助成金を活用した都内62市区町村の環境事業の取り組み状況について順番に紹介する「環境事業紹介」のコーナー。第50回は、足立区で毎年開催している「地球環境フェア」について紹介します。
 第10回目となった今年(2018年)のテーマは、「やってみよう!まるごと1日エコあそび」。5月19日(土)・20日(日)の2日間で合計約1万5千人が来場しています。地球環境の現状やそのためにできる実践活動などを楽しみながら学ぶため、パネル展示やワークショップ、ミニ環境講座などさまざまな企画が用意されました。
 地球環境フェアの当日の様子と、開催によってめざしていることなどについて、担当者のお話をお聞きしました。ぜひご一読ください。

 ※本記事の内容は、2018年8月掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

一人ひとりが少しずつでも意識的に取り組んでもらえれば、全体として大きな効果が生まれる

 足立区「地球環境フェア」は、足立区最大の環境イベントとして、ここ数年は5月下旬の週末に開催している。区役所1階の区民ロビーや2階の庁舎ホール、中庭、隣接する中央公園広場を会場に、例年2日間で2万人前後の来場者があるという。
 今年(2018年)のテーマは、『やってみよう! まるごと1日エコあそび』。体験型を重視して、子どもたちや親子で体験できるようなブースを数多く出展し、来場者に興味を持ってもらうことを心掛けている。
 「地球環境フェアでは、『1人の100歩より、100人の1歩』を大切にしています。いろいろな人に環境意識を高めてもらうことをめざして、パネルなどを見るだけでなく、体験しながら、こんなこともエコにつながるんだと感じてもらうのが目的です。普段、意識をしないでエコの取り組みをされている方もいらっしゃると思いますが、ぜひもっと意識的に、皆さん一人ひとりが少しずつでも取り組んでいただくことで、全体としてすごく大きな効果が生まれることになるのではないでしょうか」
 足立区環境政策課長の初鹿野学さんが、地球環境フェアのねらいについてそう説明する。

庁舎1階ホールの様子。 (C)足立区

庁舎1階ホールの様子。 ©足立区

会場では、足立区の温暖化対策キャラクター、「ミリー」「ドリー」「リリー」のドラゴン三きょうだいが来場者たちを出迎えた。 (C)足立区

会場では、足立区の温暖化対策キャラクター、「ミリー」「ドリー」「リリー」のドラゴン三きょうだいが来場者たちを出迎えた。 ©足立区

地球環境フェアのパンフレット。観音折の表面には環境クイズラリーのスタンプ帳、内側にはマップが表示されている。 ©足立区 ※画像をクリックすると拡大表示します

環境落語やダンボール迷路、絵手紙教室など多彩な年齢層にリーチする多様なプログラムを展開

 地球環境フェアには例年2万人前後の来場者が訪れている。今年(2018年)は、5月19日(土)・20日(日)の2日間にわたって開催し、来場者数は前年度の1万8千8百人から少し減って、約1万5千人だった。毎年この時期の土曜日には小学校の運動会と日程が重なることが多いのに加えて、今年は浅草の三社祭の開催とも重なったのが影響しているのかもしれない。
 天気は、初日は曇り、2日目は五月晴れの晴天で気温も涼しく過ごしやすい一日となった。逆に行楽日和となって遠出してしまった人もいたのかもしれず、他に負けない地球環境フェア自体の魅力を高めていく必要があると初鹿野さんは話す。そうした反省点を踏まえて、次年度以降はより多くの来場者に集まってきてもらえるように検討していきたいという。

NPO法人森林インストラクター会フォレストが実施した、丸太の掛け時計作りは盛況で、2日目には開始前から参加希望者が列をなした。 (C)足立区
NPO法人森林インストラクター会フォレストが実施した、丸太の掛け時計作りは盛況で、2日目には開始前から参加希望者が列をなした。 (C)足立区

NPO法人森林インストラクター会フォレストが実施した、丸太の掛け時計作りは盛況で、2日目には開始前から参加希望者が列をなした。 ©足立区

 以下、当日の様子について、写真を中心に紹介してみたい。
 会場でも配布している観音折りのパンフレットは、内面に各ブースの出展場所と内容がマップで表示されている。ミニ環境講座やワークショップなど目玉の企画は、パンフレットの外面に特出しされている。
 庁舎の南側に広がる中央公園のまわりには、主に市民団体のブースが並んだ。
 人気があったのは、丸太の掛け時計作り。NPO法人森林インストラクター会フォレストが制作指導を担当するもので、森の木を文字盤として利用し、裏側に時計用ムーブメントを取り付けて、実際に使えるオリジナルの掛け時計を作るワークショップだ。小学4年生以上を対象に、所要時間1時間ほどで完成する。当日整理券を配って申し込みを受け付けたが、日曜日の朝、開始の1時間前から参加希望者がズラリと列を作ったという。午前・午後15人ずつの定員としたが、定員以上が殺到し、在庫もすべて使い切ることになった。

 庁舎の入り口近くにあるエスカレーターから中央館2階にあがると、ロビー風のスペースがある。ミニ環境講座は、吹き抜けの中2階部分にブースを設けて実施した。
 「池の水ぜんぶ抜く大作戦 ~現場からのリポート~」では、テレビ東京で放映している人気番組の制作裏話が聞けると、多くの来場者が詰めかけた。落語の高座もたくさんの人で賑わった。カーボン・オフセットをテーマに古典落語を改作した演目を春風亭柏枝師匠が披露するもので、比較的年齢層の高い客層に人気だった。

気候変動のことやカーボン・オフセット、生物多様性などについて専門家等が講師を務めたミニ環境講座が8種類用意された。春風亭柏枝師匠による環境落語は、年配者からの人気が高かった。 (C)
気候変動のことやカーボン・オフセット、生物多様性などについて専門家等が講師を務めたミニ環境講座が8種類用意された。春風亭柏枝師匠による環境落語は、年配者からの人気が高かった。 (C)

気候変動のことやカーボン・オフセット、生物多様性などについて専門家等が講師を務めたミニ環境講座が8種類用意された。春風亭柏枝師匠による環境落語は、年配者からの人気が高かった。 ©足立区

 さらに奥に進んだ庁舎ホール(2階)には1階区民ロビーから専用階段で上がることもできる。手前側のステージ上ではダンボールでできた楽器を使った、ボルカホンラインダンスユニット・Cheekyによるダンスステージが披露された。立方体型のダンボールの上にイスのように跨って、箱の面や縁を叩いてリズムをとりながら、歌って踊るステージショーだ。2日目には、ステージショーで使ったダンボール楽器「ボルカホン」を組み立てるワークショップも実施。カホンと呼ばれるペルー発祥の打楽器(体鳴楽器)をダンボールの楽器にアレンジしたもので、木製よりも簡単に組み立てることができる。完成後には、ワークショップ参加者みんなで演奏を楽しんだ。
 その後ろのスペースには、クイズに答えながらゴールをめざす「環境クイズダンボール迷路」が設置された(2日目は屋外に設置)。壁面に通り道となる穴をあけたダンボールをいくつも連結して迷路の経路を組み立てるもので、子どもたちの身長にちょうど合った大きさとなる。

ホールでの演奏も披露した、ボルカホンラインダンスユニット・Cheekyは、再生紙の段ボールでできた打楽器「ボルカホン」の組み立てワークショップを実施。完成後には、みんなでいっしょに演奏を楽しんだ。 (C)足立区
ホールでの演奏も披露した、ボルカホンラインダンスユニット・Cheekyは、再生紙の段ボールでできた打楽器「ボルカホン」の組み立てワークショップを実施。完成後には、みんなでいっしょに演奏を楽しんだ。 (C)足立区
ホールでの演奏も披露した、ボルカホンラインダンスユニット・Cheekyは、再生紙の段ボールでできた打楽器「ボルカホン」の組み立てワークショップを実施。完成後には、みんなでいっしょに演奏を楽しんだ。 (C)足立区

ホールでの演奏も披露した、ボルカホンラインダンスユニット・Cheekyは、再生紙の段ボールでできた打楽器「ボルカホン」の組み立てワークショップを実施。完成後には、みんなでいっしょに演奏を楽しんだ。 ©足立区

環境クイズダンボール迷路。ダンボールを連結して迷路の経路を組み立てていく。 (C)足立区
環境クイズダンボール迷路。ダンボールを連結して迷路の経路を組み立てていく。 (C)足立区

環境クイズダンボール迷路。ダンボールを連結して迷路の経路を組み立てていく。 ©足立区

 庁舎1階の区民ロビーでは、企業ブースを中心に20ほどのブースが並んだ。現在、多くの企業がさまざまな環境への取り組みを行っているため、そうした取り組みについて、地球環境フェアを通じて区民にもPRしてもらうための機会として利用してもらっている。
 カプセルトイの空カプセルと廃材を使ったオリジナルのはんこを作る「カプセルはんこエコ工作」のワークショップは、コンパクトな形状とシンプルながら自由にデザインできる作りやすさが子どもたちの人気を呼んだ。

空のカプセルと廃材を使った「カプセルはんこエコ工作」。 (C)足立区

空のカプセルと廃材を使った「カプセルはんこエコ工作」。 ©足立区

空のカプセルと廃材を使った「カプセルはんこエコ工作」。 (C)足立区

 オリジナルのエコバッグを作成する体験コーナーでは、自由に描いた絵がそのままプリンターでマイバッグに印刷されて、マイバッグに印刷され、普段使いにしてもらうエコバッグとして持ち帰ることができた。同じブースでは、3D眼鏡を装着して、建物内の水路で発電するマイクロ水力発電のVR映像で疑似体験するコーナーも実施していた。まわりからみているだけでは何をしているのかさっぱりわからないが、3D眼鏡を装着して見る映像は迫力満点だ。

企業ブースでは、自分の描いた絵をエコバッグにプリントアウトしてくれる体験コーナーも実施。 (C)足立区
VR映像で建物の中を流れる水路を使ったマイクロ水力発電を疑似体験 (C)足立区

【左】企業ブースでは、自分の描いた絵をエコバッグにプリントアウトしてくれる体験コーナーも実施。 ©足立区

【右】VR映像で建物の中を流れる水路を使ったマイクロ水力発電を疑似体験 ©足立区

 企業ブースではないが、NPO法人気象キャスターネットワークが、気象の専門知識を生かして、雲の図鑑づくりのワークショップを実施したのもこの並びだった。空に浮かぶ代表的な10種類の雲をワタでイメージして作るというもの。

NPO法人気象キャスターネットワークのブースでは、気象について学びながら、オリジナルの雲図鑑を作成。 (C)足立区
NPO法人気象キャスターネットワークのブースでは、気象について学びながら、オリジナルの雲図鑑を作成。
NPO法人気象キャスターネットワークのブースでは、気象について学びながら、オリジナルの雲図鑑を作成。 (C)足立区

NPO法人気象キャスターネットワークのブースでは、気象について学びながら、オリジナルの雲図鑑を作成。 ©足立区

 環境イベントなどでよくある企画として、ボードなどに自分自身の環境への取り組みを宣言するものがあるが、「ちょっと未来の自分へ絵コ(エコ)レター」と題したワークショップでは、「マイバッグを持っていく」「エアコンの設定温度を下げる」など、それぞれの宣言文を絵手紙につづった。講師を務めたのは、環境審議会の委員でもあり、普段は環境の取り組みとは別に絵手紙教室を主宰する古地八重子さん。それを環境にも応用したワークショップとして企画して、子どもだけでなくシニア層にも取り組んでもらうことをねらいとした。

絵手紙教室のブースでは、地球環境のためにできることを絵手紙にして宣言するワークショップを実施。「マイバッグをもっていく」など、それぞれの宣言も、絵手紙になると一味違った効果が生まれそうだ。 (C)足立区
絵手紙教室のブースでは、地球環境のためにできることを絵手紙にして宣言するワークショップを実施。「マイバッグをもっていく」など、それぞれの宣言も、絵手紙になると一味違った効果が生まれそうだ。。 (C)足立区
絵手紙教室のブースでは、地球環境のためにできることを絵手紙にして宣言するワークショップを実施。「マイバッグをもっていく」など、それぞれの宣言も、絵手紙になると一味違った効果が生まれそうだ。

絵手紙教室のブースでは、地球環境のためにできることを絵手紙にして宣言するワークショップを実施。「マイバッグをもっていく」など、それぞれの宣言も、絵手紙になると一味違った効果が生まれそうだ。。 ©足立区

足立区「地球環境フェア」の特徴 ──友好都市とのつながり

 地球環境フェアは、今年11年目、第10回を数えることになった(2013年は台風27号の影響で中止になった)。きっかけは2008年に南太平洋エリス諸島の島国ツバルの副首相を招いて開催した「環境サミットin足立」。地球温暖化の現状とその防止策の必要性を区民とともに考えるきっかけをつくることを目的として、開催後には「環境サミットin足立」宣言文をまとめている。2009年以降、それまで別々に開催していた環境まつりと環境講演会を、2つ合わせてセットにして、地球環境フェアとして衣替えして開催するようになった。
 毎年テーマを変えて実施しており、これまでのテーマと開催日は、下表のとおり。

イベント名称及びテーマ 開催日程
イベント名称テーマ開催日程
地球環境フェア2017「見つけよういろんなエコ」5月20日(土)・21日(日)
地球環境フェア2016「ふれる、芽生える、エコごころ」5月28日(土)・29日(日)
地球環境フェア2015「僕らの住処を守れるのは、あなただけ。」5月30日(土)・31日(日)
地球環境フェア2014「未来の地球にできること~地球にやさしいひとになろう~」5月31日(土)~6月1日(日)
地球環境フェア2013(10月26日(土)・27日(日)開催予定だったが、台風27号の影響で中止)
地球環境フェア2012「来て、見て、体験!エコワールド」10月27日(土)・28日(日)
地球環境フェア2011「楽しんだ分だけ エコになる日」6月19日(土)、20日(日)
地球環境フェア2010「楽しもう 感じよう そして考えよう10月22日(土)・23日(日)
地球環境フェア2009「エコなくらし~ぼくから きみから あだチカラ~」6月20日(土)・21日(日)
友好都市の一つ、志賀高原がある長野県下高井郡山ノ内町からは、志賀高原観光PRキャラクターの「おこみん」と第51代ミス志賀高原が出展。ドングリの帽子をかぶって首には緑色のバンダナを巻いている「おこみん」は、オコジョをモチーフにしたキャラクターで、オコジョの和名と英名(アーミン)を足して命名されたという。 (C)足立区
こちらも友好都市・魚沼市からの出展。魚沼産のお米など「うんめぇ逸品」とそれを支える「ごうぎな自然」をアピールした。 (C)足立区

【左】友好都市の一つ、志賀高原がある長野県下高井郡山ノ内町からは、志賀高原観光PRキャラクターの「おこみん」と第51代ミス志賀高原が出展。ドングリの帽子をかぶって首には緑色のバンダナを巻いている「おこみん」は、オコジョをモチーフにしたキャラクターで、オコジョの和名と英名(アーミン)を足して命名されたという。 ©足立区
【右】こちらも友好都市・魚沼市からの出展。魚沼産のお米など「うんめぇ逸品」とそれを支える「ごうぎな自然」をアピールした。 ©足立区

 足立区の地球環境フェアの特徴の一つに、友好都市である鹿沼市、魚沼市、山ノ内町や、カーボン・オフセットのクレジットを購入している自治体など、さまざまな縁から出展してくれている区外の団体が多いこともあげられる。北側にあるバスロータリーの前に広がる中庭会場には、主にこれら市外の交流都市からの出展ブースが並んだ。産地直送の新鮮野菜の販売などもあって、盛況を呈した。
 日本の森林整備によって創出されたクレジットを購入して取り組むカーボン・オフセットについて、足立区ではこれまでにもさまざまな取り組みを行ってきた。公用車の使用に伴うCO2排出量(平成29年度)、省エネ月間に区役所本庁舎で使用した電気と都市ガスによるCO2排出量(平成28年度)、区内でごみの収集・運搬を行う清掃車の走行1年間分に伴うCO2排出量(平成27年度)などのカーボン・オフセットを実施して、CO2の排出削減をアピールしてきたが、例年、地球環境フェアの開催における、2日間の電気使用量及び出展者・会場設営事業者の自動車利用に伴って排出されるCO2をオフセットして、CO2ゼロのイベントとしてもPRしている。
 クレジットは、秋田県八峰町の「白神山麓・八峰町有林J-VERプロジェクト」、新潟県魚沼市の「魚沼わくわくの森クレジット」、新潟県阿賀町の「阿賀悠久の森オフセット・クレジット」、高知県の「高知県森林吸収量取引プロジェクト」などから購入しており、これらの自治体にも地球環境フェアへの出展を呼びかけている。

 区外自治体等との交流では、過去には環境モデル都市・つくば市に出展を打診して応じてもらったり、逆につくば市で開催されたシンポジウムにつくばエクスプレス沿線自治体として参加したりしたこともあった。東京都桧原村には、オール東京62市区町村共同事業「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」を通じて呼びかけて、2012年に参加してもらっている。また、2013年には環境自治体会議に参加している高畠町からの参加を得た。
 友好都市とは、地球環境フェアへの出展だけでなく、日帰りや1泊2日の自然環境体験ツアーも毎年実施している。各友好都市とも足立区と比べて遥に自然が豊富なところだ。地球環境フェアなどの機会を通じて知った土地へ、実際に親子などで出かけていって、自然の素晴らしさと大切さをより深く知ってもらう機会にしてもらおうというわけだ。

環境クイズスタンプラリーで、来場者と出展者が直接話すきっかけを演出

環境クイズラリーの問題ボードの例。各ブースを回って、クイズに答えてスタンプを5つ集めると、景品と引き換えられる。。 (C)足立区

環境クイズラリーの問題ボードの例。各ブースを回って、クイズに答えてスタンプを5つ集めると、景品と引き換えられる。 ©足立区

 パンフレットは環境クイズスタンプラリーのシートも兼ねる。出展団体にクイズラリーへの参加を呼び掛けて、質問と回答選択肢を用意してもらった。
 ラリーシートのスタンプ欄は5つ(抽選所のチェック欄と合わせて6つ)と少ない設定にしているが、出展団体の半分近くは(飲食店を除いて)環境クイズラリーに参加してくれている。
 環境クイズには、例えば、「足立区生物園が生息域外保全を行っている国内希少野生動植物種のチョウ『ツシマウラボシシジミ』の幼虫が食べる草は何?」(足立区生物園)や、「阿賀町の面積は、952.89km2(95,289ha)です。その内、森林面積は、893.30km2(89,330ha)となっています。(中略)阿賀町の森林面積は、新潟県の森林総面積のうち10%より大きいか少ないか?」(新潟県阿賀町)など、意外に手応えのある問題も少なくはない。
 足立区生物園の問題は、「①ヌスビトハギ」「②タビビトハギ」から選ぶが、どちらもありそうな名前のような気もする。
 阿賀町の問題は、「①大きい」「②少ない」の2択だが、足立区の総面積53.25km2(東京23区の約9%を占め、大田区、世田谷区についで第3位)と較べてあまりに広大でイメージも付きづらい。
 もちろん、ブースの出展内容と連動したクイズになっているから、ブースを実際に回ってみれば答えのヒントも見つけられる。クイズをきっかけにして直接話す機会にもなると、来場者と出展者の双方から好評を得ている。

 環境クイズラリーの景品交換では、事前にアンケートにも記入してもらっている。
 「ワークショップがふえてよかったです」「おもちゃのレースがおもしろかった」「子供向けの体験学習が多いのが良かった」「ワークショップは子供が楽しめてよかった」など、子どもが楽しめるイベントとして重宝している様子もうかがえる。一方で、子どもだけでなく大人にとっても有意義だったという声も少なくはない。
 「学びもあり、体験もあり、大人も子どもも楽しめました」「思っていたより大人も子どもも楽しかったです。営利目的でないイベントだから楽しかった」「普段知らなかったことを新しく発見することができ良かった」「広い分野でエコな活動が行われていることを実際に見聞きできて良かったです」「知らない所で環境を守ることが色々されていることを知った」「道端にある草花などちょっとした自然を使って工作をしてみようと考えました」などの感想からも伺える。

イベント当日のスナップより。子どもたちもよい表情を見せる。 (C)足立区
イベント当日のスナップより。子どもたちもよい表情を見せる。 (C)足立区
イベント当日のスナップより。子どもたちもよい表情を見せる。 (C)足立区

イベント当日のスナップより。子どもたちもよい表情を見せる。 ©足立区

より多くの人に来場してもらうことが課題

 2日間で2万人規模の来場がある地球環境フェアは、足立区の環境をPRする機会として貴重な機会になっていることに疑いはない。ただ、前年比で来場者が減っていることなど、課題も残る。
 「最初に申し上げた通り、1人の100歩ではなく、100人の1歩をめざしていくという趣旨からいえば、来場者数を多くしていくことが必要ですから、そのための検討をこれから行っていきたいと思っています。これまでご来場いただけなかった方たちにも参加してもらって、いろんなブースを回ってみて、これってよかったよねというような仕掛けがどうしたらできるか。ちょうど終わったばかりで、具体的な中身はまだ何も決まっていませんが、来場者を増やすためにどうすればよいか、アイデアを出し合っているところです。環境に関心のある人たちばかりが集まってきても、すでにその人たちは環境への意識が高くていろんなことに取り組んでいるわけですから、あまり効果はありません。今まで環境意識のなかった人がここに来て気付いてくれて、ああこれからはちゃんと分別しようとか、そういうことを一つでも取り組んでもらえるような地球環境フェアにしていきたいですね」

 手っ取り早く集客力を高めようとしたら、タレントなど著名人を招いて目玉にすると効果は期待できる。かつては足立区地球環境フェアでもタレントを招いて集客を図ったこともあったが、タレント目的に来場してくる人たちは、会場内の他の展示などにはあまり目を向けずに帰ってしまうことも少なくはない。ここ数年は、もっと地球環境フェア自体を楽しんでもらうことをめざして、集客が望めて、なおかつ環境の啓発になるような試みを工夫しているという。
 ワークショップや展示ブースでも、子どもが体験して、遊べておもしろいというのが増えていることから、来場者の中心の一つにファミリー層が位置づけられている。
 ファミリー層に楽しんでもらうことでイベントは盛り上がるし、子どもを通じた大人への波及効果も期待できるが、それだけにとどまらない、多様な層の人たちが楽しめるようなイベントにしていきたいと初鹿野さんは話す。
 「ファミリー層に楽しんでもらえるだけでなく、環境に意識の高い人たちにも来てもらえるし、なかなか行政主催のイベントでの集客は難しいと思いますが若者層にも楽しんでもらえて、エコってこういうことをやればいいんだということに気づいてもらえるようなイベントにしていきたいと思っています。特に足立区は環境教育に力を入れていて、小学4~6年生、中学生、高校生以上などさまざまな対象に事業を展開しています。ところが世論調査などをすると、20代や30代の方の環境意識は低いのです。これらの世代にもきちんとアピールできるようなイベントにしていくのが理想です」

子どもたちやファミリー層だけでなく、幅広い層にアピールするイベントにしていくのが理想。 (C)足立区
子どもたちやファミリー層だけでなく、幅広い層にアピールするイベントにしていくのが理想。 (C)足立区

子どもたちやファミリー層だけでなく、幅広い層にアピールするイベントにしていくのが理想。 ©足立区

関連リンク


このページの先頭へ

オール東京62 事業紹介

  • みどり東京・温暖化防止プロジェクトパンフレット
  • 62市区町村 温室効果ガス排出量
  • 気候変動への適応策に関する調査研究
  • 市民協働型温暖化対策実行計画推進研究
  • 東京62市区町村イチオシ環境施策
  • 東京62市区町村環境データ一覧
  • かれんとシーナの『エコ質問箱』

オール東京62市区町村
環境インフォメーション

各62市区町村のホームページから集めたエコ情報を掲載しています。

エコアカデミー一覧

第77回
海外事例
食物ロスを減らして、「5000人に食事を」
第76回
田中 勝
東京オリンピック・パラリンピックのメダル製作に協力を
第75回
海外事例
ハロウィンをグリーンに!:アメリカ、ナッシュビル市
第74回
今藤 夏子
[水に漂う生き物の情報 ~環境DNAを利用した生物調査~]
第73回
海外事例
市民参加型予算で持続可能な都市を:フランス、パリ市
第72回
竹本 和彦
[「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に向けて ──世界につながる地域の取組み]
第71回
海外事例
トランジション・ムーブメント発祥の地:イギリス、トットネス
第70回
下村 彰男
[東京都の自然]
第69回
海外事例
花粉媒介者の保護を目指して:カナダ、オンタリオ州ゲルフ市
第68回
宇郷 良介
[持続可能な社会への変革に対する「スマートハウス」への期待]
第67回
海外事例
シェアリングエコノミーの最先端都市:韓国、ソウル特別市
第66回
藤本 亜子
[ESDでつくる地域社会の未来]
第65回
海外事例
『メルボルンに参加しよう』-「路地をグリーンに」プロジェクト:オーストラリア、メルボルン市
第64回
岡崎 修司
[「仮想発電所」構想始動!公民連携で展開します(横浜市)]
第63回
海外事例
カーフリーハウジング(車を所有しない集合住宅)という選択:オーストリア、ウイーン市
第62回
福山 研二
[虫からながめた都会のすがた]
第61回
海外事例
全米2万3400都市のエネルギー関連データを提供:アメリカ エネルギー省
第60回
堀口 敏宏
[東京湾における環境の変化と生物相の変遷]
第59回
海外事例
エネルギー消費正味ゼロの図書館:ヴァレンヌ市、ケベック州、カナダ
第58回
一方井誠治
[地球温暖化対策計画」の閣議決定を受け、改めて私達の地球温暖化対策を考える]
第57回
海外事例
[世界初、道路で発電する「ソーラーロード」:オランダ、北ホラント州]
第56回
小堺 千紘
[ニッポンの夏支度「緑のカーテン」。その効果と育て方3つのポイント~自然の力を使って楽しみながら快適に暮らそう~]
第55回
海外事例
[「食」をテーマにした環境への取り組み:スウェーデン、マルメ市]
第54回
竹ケ原 啓介
[低炭素社会の創出等に向けた金融のありかた]
第53回
海外事例
[アート(芸術)で環境問題を普及啓発する:イギリス、ブリストル市]
第52回
幸丸 政明
[鳥類から見る都市の生物多様性]
第51回
海外事例
[野生生物に優しい「裏庭(Backyard)生物多様性プロジェクト」:オーストラリア、ボルーンダラ市]
第50回
崎田 裕子
[「みんなで創る水素社会」2020年とその先をめざして、水素エネルギーと私たちのくらし・地域]

本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。