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第5回ECO女子のチャレンジ~エコキャンパス・プロジェクト~

エコアカデミーインタビュー3.学生参画のキャンパスづくり

-校舎をはじめ建築物に多様なエコ設備が配置されていますね。エコキャンパス・プロジェクトでは、設計段階から学生が参画したとのことですが、どのような形での参画だったのでしょうか-

写真:壁面緑化の説明パネルと実際の壁の様子

壁面緑化 学生の提案により、花の咲くツル性植物を数多く植えている

フェリス女学院は、1870年(明治3年)に日本初の女子教育機関として誕生した歴史ある学校で、もともと横浜の山手に校舎があったのですが、1988年(昭和63年)に、緑園キャンパスを開設し、大学の一般教養学部や文学部、国際交流学部を移転しました。その頃はもちろんエコ設備はなく、ごく普通の校舎でした。本学のメインキャンパスとして、2001年にホールや図書館、文学部の建物を竣工したのですが、その計画段階である1998年ごろから、省エネ技術を積極的に採用していこうという動きがはじまり、2005年の体育館整備については、大々的にエコ設備を取り入れる計画となりました。

当時は、屋上緑化やクールチューブやパッシブソーラーも注目されはじめたばかりで、設計や施工実績のある企業が少ない時期でした。大学側の思いが、企業の技術者の方々を動かし、設計段階ではかなり試行錯誤を重ねました。また、学内にも建築委員会を設置し、計画づくりに学生も参画しました。委員会では、キャンパス内の風況調査の実施、風況に適した機種の選定、風力発電をはじめとするエコ設備の先進事例の見学など、実物を見ることで教育効果やメンテナンスの課題を関係者で共有しました。委員会のメンバーの中には卒論のテーマとして研究している学生たちもいました。

-風力発電やパッシブソーラーなどのエコ施設のお話を伺いましたが、キャンパス内には、数か所にビオトープ(注8)がありますね-

写真:ビオトープづくりをする学生たちの様子新校舎の増築中だった2001年、本間先生のゼミの学生から、ビオトープをテーマにして研究したいという声がありました。この緑園キャンパスも、横浜の里山を開発して建設したもの。ビオトープづくりを通じて、自然環境を再現し、生き物たちと共生するような場をキャンパス内につくりたい、そんな思いが生まれてきたのだと思います。学生たちが主体となって、大学と周辺地域について、ビオトープ造成に必要な条件、動植物調査や地形の測量などをおこない、大学内と周辺の環境との連続性を重視し、水辺を中心としたビオトープをつくりました。

ビオトープは完成したら、終わりではなく、年に3回ほどの水路の整備、ススキ刈りなどが必要です。毎年、春先にはヒキガエルの卵でいっぱいになる池でも、オタマジャクシが無事にカエルになった時期を見計らって、かいぼり(注9)をしています。このようなメンテナンスも学生たちが中心となって作業しています。

注釈

  • (注8)ビオトープ(Biotope):もとは Biotop というドイツ語で、野生生物の生息空間と訳される。ある種の個体および個体群が生存できるような環境条件を整えた地域,つまり生息空間のこと。近年,生物の多様性を確保するために,生息空間としてのビオトープの保全・再生が重要視されている。また、開発で消失した生息環境を保全・回復して,人工的にビオトープを創造する事業などが行われている。
  • (注9)かいぼり(掻い掘り):農業用のため池や沼の水をくみだし、たまった泥や砂を取り除くこと。有機物がたまった泥を除去することで、池の富栄養化などを防ぎ、水質を良好な状態に保つことができる。主に夏に行われる。

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