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第10回「カーボン・オフセット」のすゝめ

篠崎 良夫氏顔写真

篠崎 良夫(しのざき よしお)

 カーボン・オフセット推進ネットワーク(CO-Net)推進委員会委員長、株式会社ローソン 顧問。
 1971年同志社大学経済学部卒。(株)ダイエーを経て、1986年(株)ローソンに入社。1998年取締役、商品本部長、運営本部長、近畿支社長を経て、2005年に新設されたCSR推進ステーションのディレクターに就任。民間企業として初めて環境省と自主協定を締結。マイバッグ・マイ箸普及のための「ケータイ運動」やローソンのポイントで参加できる「COオフセット運動」などのお客様参加型のエコ活動を推進。2009年3月より同社顧問、同4月よりカーボン・オフセット推進ネットワーク(CO-Net)推進委員会委員長。

 また暑い夏がやって来ます。昨年に引き続き今年も大幅な電力使用量の削減が求められています。これからのエネルギー供給について様々な議論がおこなわれていまが、それは決して他人事ではなく、「私たち自身がどう行動するか」ではないでしょうか。

忘れていませんか「地球温暖化」

 東日本大震災以来、私たちは懸命に努力をして省エネを進めてきました。そして何とかこの困難な状況を乗り越えつつあります。しかしそれは地球の温暖化防止、CO削減に貢献したのでしょうか。本来ならば、これだけ努力すれば大幅に削減されるはずです。でも今、原子力発電の事故や運転停止を受け、火力発電による発電量の増加により、日本のCO排出量は増加が見込まれています。
 これからのエネルギー供給はどうあるべきかということは我が国にとっては大きな問題です。しかし世界では地球温暖化防止のため、2050年までにCOの50%削減を目指しており、今以上の大幅なCO削減は「待ったなし」と言えるのです。

カーボン・オフセットとは

 自分だけでCOを削減するには限界があります。3.11以降日本中の家庭や企業は大変な努力で省エネを進めて来ました。でもまだまだやらなければならないことが沢山あります。それは森林を育成してCOの吸収量を増やすことや再生可能エネルギーを増やすこと。また最新の省エネ機器に入れ替えたりすることです。
 これには費用がかかります。大企業は自分でできるかもしれません。でも中小企業や地方自治体、森林所有者にはお金がありません。彼らのCO削減分をクレジット(排出権)として流通できるようにすれば、削減事業者にお金が回ります。日本、そして世界全体の削減活動が進みます。東日本大震災被災地で創生されたクレジットもあります。
 これらのクレジットを購入して、他の場所での排出量と相殺するのがカーボン・オフセットです。例えば、サッカーの試合で発生したCO(会場の電力消費や選手・観客の移動車両など)をこのクレジットを活用することでCOゼロの試合にできます。商品の製造に伴うCO排出量を相殺してCOゼロ商品にすることもできます。またクレジット付きとして、購入した人のCO排出量を削減する商品もあります。
 このオフセットイベントに参加することや、オフセット商品を購入することは、自分達の排出量を削減するだけではなく、別の場所でのCO削減事業の支援にもつながります。もちろん、イベントや商品を通じてではなく、直接クレジットを購入して自らのCO排出量をオフセットすることもできます。これがカーボン・オフセットです。

 カーボン・オフセットとは、自分の温室効果ガス排出量のうち、どうしても削減できない量の全部又は一部を他の場所での排出削減・吸収量でオフセット(埋め合わせ)することを言います。

カーボン・オフセット(J-COF ホームページより)
(J-COF ホームページより)

 さらに昨年からは、事業活動トータルでCOゼロを目指す「カーボン・ニュートラル」の制度が環境省により創設されました。認定された事業者は「カーボン・ニュートラル事業者」と宣言することできます。

知って、減らして、オフセット

 オフセットはまず自らのCO排出量を知ることから始まります。我が国の一人当たり排出量は一年間で約2トン、世帯あたりでは約4.9トンとなっています。

〈参考〉家庭でのCO<sub>2</sub>排出量(一人当たり)

〈参考〉家庭でのCO排出量(一人当たり)※クリックで拡大表示します

〈参考〉家庭でのCO<sub>2</sub>排出量(世帯当たり)

〈参考〉家庭でのCO排出量(世帯当たり)※クリックで拡大表示します

全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

 末尾掲載の計算サイトを参考にして、自分の家庭での排出量を一度計算して見ましょう。
 まず自らの削減努力、そして減らせない分をオフセット。でもまだまだオフセットイベントや商品が少なく、皆さんの目に付かないのが実態です。見かけたら是非積極的に参加してください。
 今、環境省・経産省・農水省が国内で流通する新しいクレジットのありかたを論議しています。来年度から、日本国内のCO削減につながる新しいクレジットの体系ができるでしょう。
 誰でもいつでも自分たちの行動でCO削減に参加することができる、カーボン・オフセットをこの国に定着させ、世界に誇るCO削減国にしようではありませんか。

もっと詳しく知りたい方は


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