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2012.05.02

第8回「まちの“先生”たちの専門性と活力を生かして ~新宿環境学習応援団『まちの先生見本市』の取り組み」(NPO法人新宿環境活動ネット)

西新宿のオアシスに位置する環境学習の拠点施設

写真:新宿中央公園の中にある「エコギャラリー新宿」

新宿中央公園の中にある「エコギャラリー新宿」。この2階に地域の環境学習拠点「新宿区立環境学習情報センター」がある

 新宿新都心の高層ビル群に囲まれた憩いのオアシス「新宿中央公園」。都営地下鉄「都庁前駅」を降りてすぐ、新宿駅からでも徒歩10分と、西新宿界隈のビジネスマンや地域住民にとって馴染みの公園だ。約8万8千平方メートルの敷地は、新宿区立公園の中では最大の面積を誇る。四季折々の草花や生き物を求めて訪れる来園者や、休日には広場でフリーマーケットやイベントなども開催され、多くの人で賑わう。
 園内には広場やジャブジャブ池などの利用施設の他にも、180種の草木類や94種の昆虫類が見られるビオトープ(約1千平方メートル)が整備され、春から秋にかけて稲を育てる田んぼもつくられている。
 この公園の北端に建つのが、新宿区立環境学習情報センター(エコギャラリー新宿)。NPO法人新宿環境活動ネットが指定管理者として管理・運営を担い、区民・企業・NPO・行政等さまざまな主体による連携と協働による環境学習事業を展開している。

写真:お話を伺った、センター長の御所窪和子さん

お話を伺った、センター長の御所窪和子さん

 今回紹介する「まちの先生見本市」(以下、「まちせん」)は、NPO法人新宿環境活動ネット(前身も含む)の主催で10年以上にわたって開催されてきた環境学習支援をめざした地域発のイベント。去る1月28日(土)には落合第四小学校(新宿区下落合)を会場に、第11回となる「まちせん」が開催された。当日の参加人数は実に1300人を数え、地域の一大イベントとして定着してきている。
 キーパーソンの一人として第1回の立ち上げから関わっている新宿環境学習情報センターのセンター長・御所窪和子さんに話を伺った。

「まちの先生」を学校の環境学習へ

 「まちの先生」とは、文字通り、地域(=まち)にいる環境の専門家たちのこと。その実体は、地域の事業者や環境団体、行政機関などさまざまだが、それぞれが本業や日々の活動の中で取り組む環境に関する独自の技術や専門的な知見などを持っている。それらを学校の授業など教育現場での環境学習に生かしてもらえるように、ブース展示を作ってパネルや実物・模型などを並べて見せたり、体験プログラムを提供したりするのが、「見本市」の役割。
 来場者となる学校の先生と子どもたちや地域の人たちが、各ブースを訪れて、実際に目で見て・手に取って、また体験プログラムに参加することで、環境について学んだり考えたりする機会にするとともに、授業などに環境学習を取り入れてもらうためのアイデアやきっかけにしてもらおうというのがねらいだ。

写真:活動発表は、子どもたちが内容や方法を考えた
写真:講座を修了すると、エコキッズ認定証が授与される

「まちの先生見本市」のブース出展の様子(2012年1月の第11回)

 特に人気を呼ぶのは、体験・実演型のブース出展。
 ソーラーエネルギーについて紹介する団体は、校庭の野外ブースにソーラークッカーを準備して、お日様の光だけで米を炊いたり、ポップコーンを作ったりと、実際に調理の実演をしてみせる。芳ばしく湯気を立てる炊き立てのご飯や、ポンポンと音を立てながら弾けていくポップコーンは、太陽光の意外な力強さをまざまざと見せつけることになり、おいしく食べた記憶とともに強く印象づけられるという。
 校庭を歩いて自分の歩幅を計算して、歩測によって距離を算出する方法を学ぶワークショップを実施する団体もある。新宿区ウオーキング協会のブースだ。学校から家までの歩数をカウントすれば、普段歩いている距離が実測できると、子どもたちは大喜び。江戸時代に伊能忠敬が作った日本地図も歩測によって作られたといった話も交えて、楽しく安全なウオーキングの魅力へといざなう。歩くことが習慣化されれば、交通利用の意識や行動も変わると期待する。

 それぞれの出展者が、地域の環境学習を盛り上げていこうと工夫を凝らしている。

写真:ソーラークッカーでヤカンの湯を沸かす

ソーラークッカーでヤカンの湯を沸かす

写真:伊能地図を並べてのウォーキングワークショップ

江戸時代に伊能忠敬が作った日本地図も歩測して距離を計算していたという話をしながら、ウォーキングについて説明

誰でも参加歓迎の実行委員会による運営が「まちせん」をつくり上げていく

 「まちせん」は、出展する“まちの先生”同士の交流や共通理解の促進にもつながっている。毎年の運営は、広く関係主体に呼びかける実行委員形式で協働による企画・運営を行い、単に出展するだけでない、より主体的な関わりの中で、毎年の「まちせん」を作り上げていく。
 実行委員会は9~10月頃に立ち上げて、概ね月1回ペースで平日の夜に開いている。初回、まずはそれぞれの自己紹介。その後、会場となる学校を見せてもらいながらブースの出し方を決めたり、備品とスペースの確認・調整をしたり、効果的な展示の仕方や広報についても話し合ってきた。細かな決めごとなどはメーリングリストでの情報交換で補完している。

 第8回からは、「ライフスタイル」「エネルギー」「3R」「みどりと水(ネイチャー)」など活動のテーマごとにゾーンを分けるようにした。各ゾーンでリーダーを選出して、それぞれどんなことを伝えていくか話し合いを重ねている。ゾーン内でクイズやスタンプラリーを企画したりとアイデアを出し合っている。これが結果として、区内の関係主体の連携や協働体制の強化につながり、それぞれにとっても大きな刺激を得ている。

写真:テーマごとにゾーンを区分けする

テーマごとにゾーンを区分けする

写真:ゾーンごとにクイズラリーなどの企画を工夫

ゾーンごとにクイズラリーなどの企画を工夫

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