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第9回「ゴミを拾うというただそれだけのことが、人生を変えるきっかけになる ~『100万人のゴミ拾い』の取り組み」(「100万人のゴミ拾い」実行委員会)

雨の日本武道館前のでゴミ拾い

写真:「100万人のゴミ拾い」呼びかけ人の荒川祐二さん

「100万人のゴミ拾い」呼びかけ人の荒川祐二さん

写真:日本武道館の前でのゴミ拾い後、集合写真

日本武道館の前でのゴミ拾い後、集合写真

 「みなさん、おはようございます! この『100万人のゴミ拾い』は、目の前のゴミを堂々と拾える人たちをどんどん増やしていこうということでやっているプロジェクトです。一つの目標として、5月3日を、バレンタインデー(2月14日)でチョコを贈ったり、節分(2月3日)で豆をまいたりするのと同じように、誰が決めたかわからないけど“ゴミを拾う日”だというようにしていきたいと思っています。2010年の段階で全国各地の10万人、今年は12万3千人と、どんどん増えてきています。あいにくの天気ですが、どうぞよろしくお願いします」
 降りしきる雨の中、「100万人のゴミ拾い」呼びかけ人・荒川祐二さんの声が響く。

 2012年5月3日(祝)、太平洋沿岸をゆっくりと進む低気圧の影響で、東日本を中心として全国的に雨模様となった。東京都内は時に横なぐりの強い雨となる。荒川さんの前に立ち並ぶのは、学生ボランティアなど有志10数名と、この日のスペシャルゲスト・ビジュアル系アーティストの砂月(さつき)さんをはじめ、SwallowtaiLのYanagiさん、EATHERLYの守(まもる)さん、ROGUEのミナミさんが駆けつけてくれた。アーティストの聖地・日本武道館の前で、これからゴミ拾いをはじめようというのだ。
 公園内の緑地は意外にきれいで、一見、ゴミは見当たらない。ただ、繁みの中や物陰には、コンビニ弁当のプラスチックの空き箱や、空き缶・空きびん、菓子袋などが潜む。アメの小袋やたばこの吸い殻などの小さなゴミも、よく見ると半ば土に埋もれて散らばっているのがわかる。大まかに分別しながら、ビニール袋に拾い集めていった。
 路面には、仔亀の圧死骸もいくつか見られた。雨に誘われて這い出てきたところを車のタイヤに踏みつぶされたらしい。こちらは、つまんで土の上に移すことにする。
 降りしきる雨の中、鬱蒼と緑濃い公園の一角でゴミを拾いながら静かな時間を過ごすのも、案外に乙なものだったといえる。

 この日、全国各地はもとより世界の各国で「ゴミを拾う!」と名乗りあげた人たちは総勢で12万3千人あまりにもなったという。今年で6年目となった「100万人のゴミ拾い」は、年々参加人数を増やしてきた。ただ、雨の一日になったのは今年が初めて。転機を迎える中で、“雨の中でもやるゴミ拾い”は、ひとつ意味ある一日になったのかもしれないと、荒川さんは全身ずぶ濡れになりながら笑顔を見せる。

ビジュアル系アーティスト・砂月さんの求心力で

 100万人のゴミ拾いは、2006年11月に荒川さんが一人、ゴミを拾い始めたのを発端として、徐々に輪が広がっていった活動だ。毎年5月3日を“美を護る”「護美(ごみ)の日」と読んで、いろんな人たちが、思い思いの場所で、その人なりのこだわりによって、「ゴミを拾う」という活動を一斉にやることで、思いをつなげ、活動を広げていこうというもの。いまや10万規模の人たちの賛同を集めるまでに広がりをみせ、「100万人のゴミ拾い」という呼称も荒唐無稽な夢物語とは言えなくなってきている。

【表】100万人のゴミ拾いの参加人数推移
2007年 全国27カ所、444人
2008年 全国約50カ所、約1500人
2009年 全国200カ所以上、総勢1万5534人
2010年 世界の30カ国・全国300カ所以上、総勢約10万3036人
2011年 世界の30カ国と全国500カ所以上、総勢10万人
2012年 12万3千人の参加表明

 荒川さんの東京会場では、今年はちょっと趣向を変えて、あえてひっそりと少数精鋭のゴミ拾いの会を企画した。この日の午前中に実施した、日本武道館周辺でのゴミ拾いもその一つ。
 ゲストに招いたビジュアル系アーティスト・砂月さんは、世界公演の一環として、今年の2月~3月にかけてヨーロッパの6カ国で9公演のライブツアーを催行した、知る人ぞ知るカリスマだ。世界各地にファンがいる砂月さんが、ブログやfacebookなどで「5月3日にいっしょにゴミ拾いをしよう!」と呼びかけたところ、意外によい反応で受け入れてもらえたという。日本人以外のファンの人たちに、“5月3日にゴミを拾うことの意味”が伝わるのか心配だったという砂月さんだが、海外ツアーでは普段日本で演奏している日本語の歌詞のオリジナル曲を歌っていて、ちょっと歌詞を間違えたりしても「NO!」とすぐに湧き上がるなど、その熱心さに驚かされることも少なくない。遠い地で直接触れ合う機会が限られる分、共体験を楽しんでくれるのかもしれない。

写真:世界中でファンの人たちが拾ったゴミの投稿写真をもとにしてつくった、砂月さんのモザイクアート

世界中でファンの人たちが拾ったゴミの投稿写真をもとにしてつくった、砂月さんのモザイクアート。ゴミの写真の色味によって配置して、モザイクアートを構成している。一つひとつのモザイクパーツを拡大すると、ゴミの写真で作られていることがわかる。

 日本武道館周辺ではあえて告知せずに内々のゴミ拾いにしたが、呼びかけに応えてくれた全国・全世界のファンにはそれぞれの住んでいる場所などで拾ったゴミを写真に撮って投稿してもらった。その多彩な写真を色味によって配置することで、砂月さんのモザイクアートをつくるというのが今回の企画の趣旨。この日に集結した全国・世界中の協力者によるゴミ拾いの成果が、合計5300枚ほどの写真を並べてポーズを取る砂月さんの姿を浮かび上がらせた。
 インターネットを通じたUstream放送による都内スタジオからの生放送も発信した。その道のプロたちが手弁当で参加して、「5月3日にゴミ拾いをする」というだけのイベントを盛り上げる。
 荒川さんや砂月さんがゴミを拾っている現場からの中継や、モザイクアートができていく様子を撮した映像が流れ、「黒系のゴミや白系のゴミが足りない」と呼びかけると、撮った写真をモノクロにして送ってくれる人もいたりと、リアルタイムの反応が心強かった。
 北海道、横浜、静岡など全国各地でゴミ拾いをする現地からの中継も入り、同じ目標を共有する充実感でいやがおうにも盛り上がっていった。

 ゴミ拾いなんて、学生の頃に掃除係としてやって以来だったという砂月さんだが、ファンの人たちの好意的な反応や協力をもらって、逆に元気をもらったと喜ぶ。雨の中のゴミ拾いも、繁みの中をかき分けて探していくうちにおもしろくなってきて、ついつい熱中していた。普段はこうした活動をまったくしていなかったものの、気にはしていた。荒川さんとの出会いできっかけをもらえて、来年以降も続けていって、“五月晴れのゴミ拾い”をしたいと語る砂月(さつき)さんだった。

写真:ずぶ濡れになりながら、カメラ越しにメッセージを送る荒川さん

iphoneのskype機能を使って、Ustreamの中継に映像を送る。ずぶ濡れになりながら、カメラ越しにメッセージを送る荒川さん

写真:いっしょにゴミを拾ったミュージシャン仲間たちと、日本武道館の前で

いっしょにゴミを拾ったミュージシャン仲間たちと、日本武道館の前で

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