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2012.12.03

第21回「500人超の子どもたちが川でゴミ拾い~東久留米市の清流で取り組む、黒目川『河童のクゥ』クリーン作戦(黒目川クリーンエイド実行委員会)」

活動の幅とネットワークが広がって

黒目川産のアユ。クリーン作戦当日には、背開きを焼いて試食に振る舞われた

黒目川産のアユ。クリーン作戦当日には、背開きを焼いて試食に振る舞われた
黒目川産のアユ。クリーン作戦当日には、背開きを焼いて試食に振る舞われた

 「最近、“身近な川にいる魚を食べる”ということを提唱しているんですよ」
 と菅谷さん。川がきれいになって、魚が増えてきて、今は黒目川でアユが棲息しているという。クリーン作戦当日に、背開きを焼いて振る舞ったアユは黒目川で捕れた天然ものだ。黒目川で実際に卵を産んでいて、秋になると荒川から東京湾へ下って、冬はプランクトンを食べながらお台場近辺で過ごして、春になって荒川や多摩川に入ってきている。今年、多摩川では史上最大の遡上と報道されたが、荒川水系にも多く溯ってきている。

 河川などの内水面における魚類の採捕には法律の網がかかっている。荒川水系では、埼玉県戸田市に南部漁業共同組合があって、アユも含めて川を溯ってくる魚の漁場管理などを行っている。クリーンエイドを通じた縁で活動を認めてもらったのか、組合の支部を市民で作らないかと声をかけてもらい、市民団体が構成員になった朝霞支部が設立されて、今やかれこれ5年ほどが経つ。
 この朝霞支部で、アユの棲息調査もやっていて、産卵場所や稚魚の状況などを調べてきている。支部になることで、本部に対して意見を伝えやすくなった。川の横断物──落差工や堰など──に対して、河川整備担当者とよりよい方法について話し合ったりするようになった。

 「もとは、いわゆるパックテストを使った川の水質調査をしていた市民団体のネットワークでした。メンバーの中にいろんなノウハウをもった人たちがいます。魚の調査ができる人もいるし、鳥や生き物に詳しい人、水生昆虫の専門家もいます。いろんな人たちといっしょに活動してきたことで、活動の幅も広がってきましたし、行政マンを含めて都内や埼玉県の多くの方々とのつながりもできて、川を通じた交流が広がってきました」

新河岸川流域コミュニケーションマップ
新河岸川流域コミュニケーションマップ

 活動の幅が広がり、ネットワークが広がっていったことで、さまざまな情報が集まってくることになった。そうした情報をネット上で流す、『コミュニケーションマップ』というシステムを河川整備基金の助成事業で展開したのは2007年だった。新河岸川流域の仲間たちと協力して作成したものだ。
 「コミュニケーションマップというのは、いわば“いいとこマップ”というようなもので、川の魅力や川にある施設などを紹介しています。作った当初は盛り上がったんですけど、ネット環境もどんどんどんどん発達してきていて、ちょっとテコ入れしていかないといけないかなという感じです。去年の震災をきっかけにして、これに災害情報を載せて防災に使ってもらうことができないかと、今議論しているところです」
 Googleマップをベースに、自由に書き込んで投稿できるようなシステムになっている。位置情報を入力すると表示され、そこに画像も文書ファイルも貼り付けられるようになっている。

 これらの延長線上に、黒目川『河童のクゥ』クリーン作戦の活動がある。
 少年野球連盟の会長さんとのそもそもの出会いは、東久留米で開催した湧水保全フォーラム全国大会がきっかけだったという。この時の実行委員長が菅谷さんだった。

川で遊んだ原体験と、変わってしまった川の風景

 菅谷さんは、生まれも育ちも世田谷区北沢で、結婚して子どもが生まれたのをきっかけに移り住んだのが東久留米市南沢だった。
 「あえて選んできたわけではないんですが、北沢や南沢と川に縁のある地名に住んだのも何かの宿命だったのかも知れません」
 そう笑う菅谷さんは、世田谷にいた頃から川の活動をしていたわけではなかった。のめり込むようになったのは、東久留米に引っ越してきてからだという。
 「子どもの頃、世田谷区の北沢という川でよく遊んでいたんです。それが、ちょうど東京オリンピックの頃に都内の川がどんどん整備されていって、ぼくらの気持ちからするとほとんど“壊滅状態”になってしまいました。子どもの頃に遊んでいた川が整備されていった、その変化を目の当たりにしていたんですね。ところが、東久留米に引っ越すと、遊べる川があるんですよ!」
 南沢の豊富な湧き水と、護岸整備がされていないかつて慣れ親しんだ懐かしい風景。まだ東京にもこういうところが残っているんだと一種の感動を覚えたという。
 当時、その東久留米でもこれから河川整備が進むという話が持ち上がってきた。子どもが通う保育園の父母たちの間で、何とかできないだろうかと話が盛り上がっていった。
 じゃあ、まずはその勉強会を開こう、誰を呼ぼうか──。そんな活動がそもそものはじまりだった。

 市役所にもおもしろい人がいて、活動を支援してくれた。行政が動けないところで市民が何とかできないかと連携した動きも生まれていった。
 川の勉強会では、東京農工大の小倉紀雄先生に直談判して講師に来てもらい、そこから始めたのが身近な川の一斉調査だった。小中・高校にも呼びかけて、身近な水の一斉調査を展開していった。

お話をお聞きした菅谷輝美さん
お話をお聞きした菅谷輝美さん

 東久留米市には、黒目川や落合川の他にも立野川という川がある。落合川の支流で、全長2.4kmの小さな川だ。この川の畔に自由学園という私立学校がある。身近な川の一斉調査は、今は自由学園の生徒たちが中心になって関わっている。
 私立学校だから、かつては一般の市民との連携はそれほどなかったという。きっかけは、菅谷さんも関わった、東京ほたる会議を東久留米で開催することになったときに、会場として自由学園の記念講堂を借りたことだった。それ以来の付き合いが今も続いている。
 「自由学園さんは本当に独特の学校で、自分たちで畑も耕すし、家畜も飼って、自給自足していたりします。そんなこともあって、最近ではエコキッズプラン【*】の企画・運営にも参加してもらっています。そのエコキッズプランでは、子どもたちといっしょに柳久保小麦の栽培する年間サイクルの事業を始めたんです。これ、なぜ始めたかというと、水の確保のためなんです。要するに、農地や樹林地がないと地下に浸水する水がなくなって、湧水が枯れてしまうわけです。本当に、いろんな人との巡り会いが今の活動につながっているんですよ」

 黒目川「河童のクゥ」クリーン作戦は、年に一度だけのイベントだ。でも、それが考えるきっかけになれば、日常的な行動も変わってくる。子どもたちが川に入ってゴミを拾う姿を見れば、ゴミを捨てる人も減るに違いない。そんな願いと思いを込めて、黒目川「河童のクゥ」クリーン作戦を続けていきたいと話す菅谷さんだった。

注釈

【*】エコキッズプラン
 東久留米市市民環境会議くらし部会が進めるプロジェクト。第7回記事を参照。

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