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2013.03.06

第26回「楽しく活動しながら、結果として環境にも貢献できる ~NPO GoodDayの『+1 Tree』プロジェクト」

4つのポイントで“歩き方”が変わる

 ウィーキング講座当日の様子を少しだけ紹介しよう。
 実際に歩き始める前に、ウォーキングの意味や効果について、野口さんから説明があった。
 「正しい歩き方と姿勢を身につけることは、基本動作の所作、作法を身につけることになります。ポイントは4つ。足の親指と小指の付け根、かかとの中心という足裏の3点を接地させたCの字で体重を均等に分散して支えるというのが1つ目。それから、骨盤を垂直に立てて、お腹をぐっと締めて立つこと。下から支えるように身体を乗せていくんですが、結構、筋力が必要になるので、慣れないときつく感じるかも知れません。きちんと意識して筋力を鍛えてやらないと、前につんのめるようになります。そうすると、骨盤が開いていって、膝もぐっと曲がることになる。お年寄りが膝を痛めるのもこの姿勢が原因なんですね。3点目は、背中側に壁があるように意識すること。前に進む分だけ背中で支えながら、前のめりにならないように歩いていく。最後は、頭の上からび~んと引っ張られるような意識で、まっすぐな姿勢を保つ。それを、歩きながら訓練します。それでは、出発しましょう!」

準備運動。芝生の上で輪になって、身体をほぐしていく。

準備運動。芝生の上で輪になって、身体をほぐしていく。
準備運動。芝生の上で輪になって、身体をほぐしていく。

 ざっと説明を受けて理屈を頭に叩き込んだあとは、実践だ。渋谷の街中を抜けて徒歩20分ほど、代々木公園の青空の下に場所を移す。渋谷区役所前から国立代々木競技場の脇を抜けて、道路を挟んだ中央広場まわりの周回コースに向かう。途中には、アースデイマーケットの朝市が立ち並ぶ並木通りや、フリーマーケットの出店準備をする人たちの喧噪が賑わしい。周回コースでは、ジョギングをする人や散歩に訪れる人たちなど思いのほか利用者が多い。
 代々木公園に着いて、冬枯れした芝生の上で、輪になって準備運動をはじめる。まずは、胸を張って、両手を頭の上に差しあげながら背中を伸ばす。輪になった参加者各自の後ろにまわった野口さんが、それぞれの肩を開いて、姿勢を矯正する。
 「下腹にぐっと力を入れて、背中を伸ばしてください。骨盤をちゃんと立たせると、足裏のアーチがきれいにできあがります。それによって自分の体重がきれいに分散された状態で、足裏の3点で立つことができるんです。力が抜けちゃうと、足が浮く感じになる。だからお腹を締めることを意識してください。そのまま息を吸って、吐きながら…。そうすると肋骨が開くじゃないですか。ちょっと背中を意識するんですね」
 野口さんの言葉に従いながら、身体を伸ばしていく。
 今度は、両足を開いて、手は水平に伸ばし、胸を反らしながら腰を下ろす。自然と尻が突き出るような格好になる。
 「膝は曲げないで、伸ばしたままにしてください」
 野口さんの声がかかる。さらにポーズを変えながら、十分に時間をかけて、眠っていた筋肉をじっくりと「起こして」いく。

 一通りの準備運動を終えると、いよいよウォーキングの開始だ。
 両腕を頭の脇にあげて、肘を曲げながら肩を外側に開いていく。背を伸ばし、4つのポイントを意識しながら、歩幅は小さく、一歩ずつ歩を進める。歩きながら、野口さんが一人ひとりのうしろから肩の入れ方を指導する。
 この状態で10分ほど歩いたあと、さらに苦しい動きをすることになる。腰を落として、うしろに突き出すようにし、背は伸ばしたまま脇を締める。膝を伸ばした状態で足を踏み出し、歩いていく。
 窮屈な姿勢を保ちながらの歩行は、全身が硬直する。慣れないこともあって、緊張感から息が詰まる。正しくできているのだろうかと戸惑いつつも姿勢を崩さないようにとついていく。
 一通り終えたあとで姿勢を戻すと、どこか身体が軽く感じられる。自然と背がスッと伸び、“正しい”歩き方ができているかのような、そんな不思議な感覚を持つ。

体を整えるとともに、無意識を意識化する

負荷をかけた歩行トレーニング。終わったあとは、不思議と身体が軽く、背が伸びたよい姿勢になっていることを感じる。

負荷をかけた歩行トレーニング。終わったあとは、不思議と身体が軽く、背が伸びたよい姿勢になっていることを感じる。
負荷をかけた歩行トレーニング。終わったあとは、不思議と身体が軽く、背が伸びたよい姿勢になっていることを感じる。

 「負荷をかけた歩行トレーニングをすることで、自然と背がすっと伸び、肩胛骨が引き締まって腰に重心が乗った、よけいな力をかけない歩き方ができるようになります。これを骨格構造に従った歩き方、Aウォーキングと呼んでいます」
 歩行トレーニングの効果について、野口さんはそう説明する。

 参加者のひとりは、ウォーキング講座に参加するようになって、“姿勢が変わった”と職場で評判になっているという。
 「面と向かって言われたならお世辞かも知れないと思いますけど、そんな噂を耳にすると、本当にそう思われているんじゃないかと思えるんですよね」
 歩行トレーニングを繰り返すことで、インナーマッスルが鍛えられる。それによって、身体の芯が強くなり、歩き方だけでなく、座る姿勢も変わってくると野口さんはいう。見た目が美しくなれば、自信が芽生え、メンタル面の効果も大きい。そういった内面の変化が、実際に仕事の成果に結び付くという参加者もいる。結婚前に歩き方だけでもきれいにしたいと通ってくる女性もいるそうだ。

 講座を企画する高橋さんや野口さんにとっても、また参加者にとっても、主たる目的はウォーキングによる自分の身体との対話にある。姿勢や歩き方を見つめ直し、歩行トレーニングを通じて鍛えていくことで、正しい姿勢や歩き方を身につける。
 ただ、せっかくやることが結果として環境の役に立つことにもつながること自体は、参加者にとっても悪い気はしない。体を整えることと同時に環境問題への関心を高める機会となる。
 座ること、立つこと、歩くことを教え、無意識のものを意識化させる。それと同時に、『+1 Tree』プロジェクトに参加することで、森や環境のことをそれほど気にしていなかった人たちが結果として活動に参加する機会を与えることにもつながっている。苗木を一本植えるというささやかな一歩は、はからずも関わることになった森への支援活動へ意識を向けるきっかけとして、大きな可能性を秘めた一歩になるのかもしれない。

ホワイトボードの解説。4つのポイントを意識して、姿勢を保ち、筋力を鍛える。
ホワイトボードの解説。4つのポイントを意識して、姿勢を保ち、筋力を鍛える。

sanare主宰の野口早苗さん。もとはダンサーとして活躍していたが、自身のケガのケアを通じて、骨格の整えるオステオパシーと筋力を整えるピラティスに出会う。
sanare主宰の野口早苗さん。もとはダンサーとして活躍していたが、自身のケガのケアを通じて、骨格の整えるオステオパシーと筋力を整えるピラティスに出会う。

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