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2013.04.01

第27回「一人の市民や一つの団体・事業所がへらせるCO2は少なくても、すべての市民・事業所の取り組みが集まれば、大きな成果を生む ~ふだん着でCO2をへらそう宣言(日野市環境保全課)」

エコクマとエコアラが呼びかける ──事業のマスコットキャラクターたち

『ふだん着でCO2をへらそう宣言』の取り組みメニュー。7項目の中から自由に選んで実行を宣言する。
『ふだん着でCO2をへらそう宣言』の取り組みメニュー。7項目の中から自由に選んで実行を宣言する。(2013年2月24日)(クリックするとPDFファイルが開きます)

マスコットキャラクターのエコクマとエコアラ。頭と鼻につけている葉っぱがポイントだ。
マスコットキャラクターのエコクマとエコアラ。頭と鼻につけている葉っぱがポイントだ。

日野市内を走るラッピングバス。路線も都度入れ替えて、いろんな人の目に付くようにしているという。
日野市内を走るラッピングバス。路線も都度入れ替えて、いろんな人の目に付くようにしているという。

 『ふだん着でCO2をへらそう宣言』は、7項目に絞り込んだ主要な取り組みの中から、取り組むメニューを自由に選んでもらって申請書に記入して、日野市に提出してもらうというスキームで実施している。
 7つのメニュー項目は下図のとおりで、1つからでもよいし、全部に丸を付けてもよい。ア~シ12のオプションメニューも併せて提示しているから、それらも含めて、メニューにない項目を独自に設定して宣言するのでも構わない。そうして宣言したメニューについて、それぞれが実行する。
 情報を集約する事務局の日野市環境保全課では、宣言の参加状況やそれによって見込めるCO2の削減効果などを市の広報誌で随時公表したり、省エネ情報の提供をしたりと、取り組みの盛り上げにつなげていく。

 事業の開始当初から掲げている目標は、市内全戸数の半数に当たる35,000世帯並びに事業所・団体2,500件という意欲的なものだった。年間の目標では、それぞれ5,000世帯/年と500事業所/年とされた。
 「はじめの半年から1年ほどはなかなか宣言してくださる方の数が伸びてくれず、とても達成できそうにないと、目標の下方修正も検討しました」
 とは、同じく環境保全課の石坂健一さん。
 当初のメニューは20項目を設定してあったほか、文面も硬く字数の多い、いわゆる役所文書だったとふりかえる。メニューの絞り込みと、パンフレット等でもイラストを入れて視覚的に見やすく改善していくとともに、町会ごとに戸別訪問をしながら宣言参加を呼び掛けていった。
 今や宣言のマスコットキャラクターとして広く親しまれている「エコクマとエコアラ」を設定したのもこの頃だった。
 「この事業のためにつくったマスコットのエコクマとエコアラには、事業のPRはもちろんですが、宣言の獲得の活動をしたり、省エネ行動定着への啓発活動をしたりと、さまざまな場面で露出を図っています。おかげさまで、市民の方々にもだいぶ認識していただけているようです。写真にあるように、市内を走る路線バスにラッピングバスを5台導入しています。路線もその都度入れ換えて、いろんな地域の人たちの目に付くように効果の出る走らせ方をしてもらっていることもあって、幼稚園や学校に出向いたときに、子どもたちから『知ってる!』『バスに描いてあった!』と声をかけてもらうことも多くなってきています。着ぐるみも作っていますから、イベントなどで活躍しています。キャラクターをうまく使って楽しくエコができるようにと、啓発活動に取り組んでいます」
 子どもたちが集まってくれば親もいっしょにいることが多いから、そこで省エネのアンケートを採ったり、話しかけたりと、親子で考えてもらうよいきっかけになっているという。
 2013年3月現在で、当初目標を上回る「38,401世帯及び2,545事業所・団体」の宣言参加が得られた。日野市では、これらの宣言による推計のCO2削減効果を、15,352t- CO2/年、森林面積で約31km2相当と公表している(宣言者の実施率は、アンケート調査に基づいて82%として算出)。数字では測れないところもあるが、こうした地道な取り組みからすそ野を広げていくことにつながればと話す石坂さんと成澤さんだ。

戸別訪問で市民一人ひとりに呼びかけながら、それぞれの実情を聞く

支援隊による戸別訪問。
支援隊による戸別訪問。

 この事業の特徴の一つは、市内全域を戸別訪問して、参加の呼びかけをしたところにある。市民ボランティアで構成した「支援隊」と市内の大学生の協力を得て、町会別に全戸訪問して、宣言の説明と参加の呼びかけをしたという。
 石坂さんは、実際に戸別訪問をして話をした時のことを、次のように話す。
 「行政から市民向けにポスターやチラシを作ってお願いしたり、啓発のイベントを実施して呼びかけたりということはどこの自治体さんでもやっていることだと思いますが、直接お伺いしてお話しするというのはなかなかありませんよね。訪問することで苦情をもらったりもしましたし、目的とは別のところで話をされたりすることもありました。それでも、何か行動に移していかないとはじまらないと粘り強くお話ししていくことで、ある時期からは理解をいただけて、『そういうことなら大いに広げてもらえるとよい』『頑張ってください』などと言っていただけるようになりました」

 事業所についても、お願いのための方法は同じく戸別訪問による。市内の法人会や観光協会、商工会や農協など主だった団体の長で構成される実行委員会を通じて、宣言参加への協力も呼びかけているが、目標数の2,500団体の達成には、地道な努力が欠かせない。飲食店から理髪店やスーパーなど、それこそ商店街をしらみつぶしに回って、趣旨を説明し、参加を呼びかけていったという。

 こうした積み重ねの結果、目標の世帯数や団体数を達成することにつながったが、成果は宣言参加の数だけではない。
 「お役所目線で、紙や映像などの媒体を通じて一方的にお願いしたのではなく、実際に戸別訪問をした中で市民の皆さんと直接お話しをしたことは大きかったと思います。高齢者の方は、省エネやエコの取り組みも自然と身に付いている方が多いことも実感としてわかってきました。一方で、20~30代の若い世代が手薄になっている状況もみえてました。もちろん、若い人たちの中にも意識が高く、一生懸命やっている方はいらっしゃいます」

 宣言をするというのは、要は継続をするということだと石坂さんと成澤さんは口を揃える。それが、1軒から100軒、1000軒と増えていけば、自ずからCO2も減っていくだろうというのが、この事業のねらいというわけだ。節目の5年間は過ぎたものの、宣言は一つのきっかけに過ぎない。環境や省エネを意識した市民一人ひとりの取り組みを継続していく上では、まさにここからがはじまりとなるのだろう。

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