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2013.11.15

第42回「自分にとって役割を終えたものが、次の人の役に立ってくれるなら ~下町情緒あふれる谷根千地域で開催する『ぐるぐる交換市』の取り組み(親子でどんぶらこ)」

“残ったものは必ず持ちかえる”ことが唯一のルール

 『ぐるぐる交換市』の会場では、誰かが常在しているわけではない。相浦さんも、鍵の開け閉めをしたあとは青空の下で話し込んだり子どもと遊んだりしている。用事を済ませるために出かけることもあるから、基本的に置き放しの無人状態で自由に物色するシステムだ。
 「境内には公園も併設されていますから、子どもを他のお母さんに預けている間、お母さんがゆっくり見ていくこともできます。ベンチもあるので、朝から来て、ブラブラ見ながらおしゃべりしたり、お弁当持参でゆったりと過ごしたあと、午後に帰っていくといった時間の過ごし方もできます」

光源寺の境内にはちょっとした公園も併設されている。壁に囲まれたお寺の境内だから、子どもを連れて過ごすには安心な環境だ。これほど地域に開かれたお寺は、谷根千地域でもそうはないと相浦さんは言う。

光源寺の境内にはちょっとした公園も併設されている。壁に囲まれたお寺の境内だから、子どもを連れて過ごすには安心な環境だ。これほど地域に開かれたお寺は、谷根千地域でもそうはないと相浦さんは言う。

光源寺の境内にはちょっとした公園も併設されている。壁に囲まれたお寺の境内だから、子どもを連れて過ごすには安心な環境だ。これほど地域に開かれたお寺は、谷根千地域でもそうはないと相浦さんは言う。


 『ぐるぐる交換市』の唯一のルールは、残ったものは必ず持ちかえるということ。
 「持ってきた物で、もらい手が見つからずに残ったものは、持ってきた人が必ず引き取るというお約束をさせていただいています。そうしないと、結局は放ったらかしになって、誰かが処分しなくてはならなくなってしまいます。出品者はメール等で募っているので、誰が出品するのかは把握できているんです。受付簿をつくっておいて、持込日と撤収日の欄に日付を記入してもらい、出品の状況がわかるようと、そんな形での管理はしています。撤収のときには、会場全体を見回して、自分の持ってきたものが別のところに紛れていないかを確認してもらいます。子どもたちが来ておもちゃなんかで遊んだりして、最初の置き場とは違うところに置かれていることもあります。取りこぼしのないように、持ってきた人が責任を持って持ち帰ってもらうのです。これまで特にトラブルもありません」

 搬入も、最初からすべて集まってスタートするわけではなく、それぞれが都合のよいタイミングで持ち込んでくる。今回、2013年秋の開催は、10月17日(木)から20日(日)までの4日間の開催だったから、初日の朝は時間が取れず昼から持ってくる人、勤め人で平日は仕事があって動けないから土曜日の朝に持ち込む人などさまざまだった。その分、常に新しい物が補充されることになり、一方的に品揃えが寂しくなっていくというわけでもない。

消費社会へのアンチテーゼとしての『ぐるぐる交換市』

 街を歩いていると、まだ使えるのに捨てられているものが多いことに気付くと、相浦さんは話す。
 「子どもの幼稚園の送り迎えで自転車に乗って走っていると、いくつもの町会をまたいで移動するので、毎日、いろんなところでゴミの回収があるんです。ここは今日は不燃物の日だ、別のところは別の日が回収日だ…という具合に。そうすると、本当にいろんな物が捨ててあるのを目にします。結構、まだ使えそうな物もいっぱいあって。特にマンションの前のゴミ置き場は種類も量も多いですね。必要でなくなったらどんどん捨てて、また次の物を買っていく生活。経済ってそういうふうに回っていくんだなと妙なところに感心しちゃいます」
 一方で、谷根千地域には、よく自宅の門の前などで、不要品をダンボールなどに詰めて『ご自由にお持ちください』と出していることも多いという。
 「特にここ数年、私自身が子育てをしていて日中に街中を歩き回ることが多くなったから目につくのかも知れませんが、街のあちこちで、特にに引っ越しだとかいうのでもなくて置いているようなんです。それもしばらくするとなくなっていくので、結構持って行く人もいるんですね。そんな地域のつながりというか関係性がここ谷根千には残っているんだなと感じます」
 相浦さんが谷中に移り住んできて、近所づきあいなど地域のコミュニケーションができてくるようになって、その楽しさや覚悟していたほど面倒でもなかったことを実感するようになった。自分でも地域にできることがないかと、近所の掃除をすることもある。
 「そんな地域のつながりって、本来は当たり前のことだと思うんです。ない方がおかしな世界ですよね。でも、今の世の中、それを煩わしいと思う人も少なくありません。子育てをしている世代でも、他人に頼らない、他人を当てにしないと関わりを持たずに暮らしていこうとする人たちも今は多いですよね。でも、なんでかこの地域に住む私たちはつながって、なんでか好きなことを勝手にやるようになって、楽しい日々を送っているんです。変な親子グループですよね」
 『ぐるぐる交換市』は、相浦さん自身がやりたいから毎回、広く声をかけて参加を呼び掛ける。顔見知りの人が出品してくれたり、人づてに新しい人が参加してくれたりして、“ぐるぐる”の輪は広がりを見せている。皆、家の中に物があふれているんだなと思いつつ、今後も変わらず企画していきたいと笑顔を見せる相浦さんだ。

話を伺った相浦成美さん。
話を伺った相浦成美さん。

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