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2014.05.30

第49回「来場者自身がごみの分別にかかわる経験が、社会を変える第一歩に(ごみゼロナビゲーション)」

音楽への関心から、環境ボランティアに参加するきっかけを

 ごみゼロナビゲーションのボランティアは、音楽への興味・関心を入口に参加してくる人が多い。もちろん、環境ボランティアの活動に参加しようという人たちだから、環境に対する意識や関心もないわけではないが、“世のため人のためのエコ活動”というと構えてしまう。これまで具体的なアクションには踏み込めなかった人たちが、好きな音楽イベントに関われるならと参加するケースも多い。
 野外フェスは、会場内に音楽がガンガン響き渡る。ステージ前のごみ箱に配属されたボランティアの中には踊りながら分別を呼びかける人もいる。“仕事”として厳めしい表情で突っ立っていられるよりも、楽しみながら活動する雰囲気が来場者にも伝わることで、会場を一つにする協力関係が創り上げられるわけだ。
 「フジロックの場合、運営スタッフもボランティアも、東京からチャーターしたバスに乗って移動します。ボランティアは、10人ずつの班をつくって行動し、3日間ともに過ごして連帯感をつくれるようにしています。次第に団結が強くなっていき、熱く濃い時間を送ることができるのもこのイベントの特徴です。ただ、リピーターばかりの活動にならないように気をつけています。環境ボランティアの入門的活動ですから、なるべく多くの人に参加してもらいたいという思いがあります。ベテランボランティアは頼りになる反面、どうしても感動は薄れていきますから、新しい人に席を譲っていただき、輪を広げていくことを優先しています」

 山の中で開催するフジロックは首都圏を中心にボランティアを募集しているが、他のイベントではなるべく地元のボランティアを募集している。首都圏から参加するとその分負担を強いることになるし、地元ボランティアに関わってもらうことで、地方への広がりとその活動の担い手の育成もできる。地方で開催したイベントにボランティアとして関わった人たちが核になって独自の活動に発展した例もあった。そんな地方の活動を応援もするし、ぜひマネをして活動を広げていってほしいと思う。全国のイベントにごみゼロナビゲーションの取り組みが展開していくことはむしろ歓迎だという。

 濱中さん自身はボランティアから運営スタッフになったが、そのようなケースは実はそれほど多くはない。運営スタッフには、それなりに密な関わりが求められる。全体ミーティングへの出席も必要だし、複数のイベントに参加することにもなり多くの時間を使うことになる。音楽への興味を入り口に参加してくる人たちにとって、楽しい一日を過ごすという意味では、ボランティアという立場の方が気が楽だ。だが、運営スタッフには、1日だけの活動では得ることができない達成感や、同じ運営スタッフと共に感じる一体感、そして深く関わるからこその成長がある。

ボランティアの活動の様子。楽しく、かつ社会を変える意義を感じながら、達成感のある活動をめざす。

ボランティアの活動の様子。楽しく、かつ社会を変える意義を感じながら、達成感のある活動をめざす。

ボランティアの活動の様子。楽しく、かつ社会を変える意義を感じながら、達成感のある活動をめざす。

ボランティアの活動の様子。楽しく、かつ社会を変える意義を感じながら、達成感のある活動をめざす。

都立公園を舞台にした“花見のごみ対策”

 2014年春、ごみゼロナビゲーションでは新たに公益財団法人東京都公園協会とのコラボレーションによる、“お花見”ごみゼロを実施した。花見に訪れる見物客で賑わう代々木公園、光が丘公園、善福寺川緑地の3つの公園で、4週間にわたってごみ資源の分別回収とごみ袋の配布を行うもの。
 花見会場ではお酒も入って、屋外の解放感から羽目を外しがちである。周辺はごみの海というのが実情で、公園を管理する東京都公園協会にとって悩みの種でもあった。
 公共のお花見空間だからこそ、自分たちの出したごみは自分たちで所定のごみステーションに持って行って分別し、みんなが気持ちよく花見を楽しめるようであってほしい。そんな気持ちがつながって、全国の花見会場へと連鎖することを願った取り組みだ。ごみゼロナビゲーションとしても、音楽フェスだけでなく、より日常に近い場での環境対策への取り組みの一環としてはじめた。
 「イベントの環境対策はごみゼロナビゲーションの原点ですので継続していきますが、今後は“行楽の場”での環境対策に力を入れていきたいですね。今春から始めた“お花見”ごみゼロもそうですし、例えば夏の海のビーチの環境対策にも関われたらと思っています。対象が広がって難しくなる反面、市民意識を高める効果はより高まることが期待できます。毎回のイベントでは活動の終了時に運営スタッフ・ボランティアが集まって、一日をふりかえってその日のできごとを全体でシェアしていていますが、ボランティアたちからは『見た目は怖そうな人が声をかけると気持ちよく分別してくれた』『ありがとうと声をかけてもらったのがうれしかった』、そんな声も聞かれます。分別を呼びかけるときも、一方的にやり方を押し付けるのではなく、来場者一人ひとりが気持ちよく分別できる環境を提供し、サポート役に徹することで、クリーンな会場づくりの担い手として自発的な活動をいっしょにつくりあげていってもらうように盛り上げていくわけです。こうしたスタンスは、音楽フェスの会場でやっていることと何ら変わりはありません」

お話を伺った、事務局長の濱中聡史さん。お花見ごみゼロの取り組みは、濱中さんが担当者として全体を取り仕切った。
お話を伺った、事務局長の濱中聡史さん。お花見ごみゼロの取り組みは、濱中さんが担当者として全体を取り仕切った。

 ただ、スタッフの人数は限られているから、活動場面が増える分、関わるプレイヤーも増やしていかなくてはならない。お花見ごみゼロの活動では、公園協会の協力で、普段から公園で活動している人たちや、大学のボランティアサークルで活動している人たちに協力を呼びかけた。地方のイベントで地元NGOなどに声をかけていったように、現地で地域に根ざした活動をしている人たちといっしょに問題解決に向けた活動をしていきたいと話す濱中さんだ。

 イベント会場という閉鎖空間からより不特定多数の人たちが出入りする場での活動への広がり。ただ、対処療法的に目の前のごみを拾ってきれいにしていくのではなく、場に関わる全ての人に呼びかけ、分別の体験をしてもらうことで何かしらの気づきを与え、社会の問題として考えてもらうことをめざす姿勢は変わらない。ごみゼロナビゲーションの分別体験をした一人ひとりが、日常の中で一歩行動へと踏み出していくとき、社会が変わる兆しが見えてくる。

お花見ごみゼロの活動の様子。

お花見ごみゼロの活動の様子。

お花見ごみゼロの活動の様子。


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