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 みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度の更新を予定しています。ぜひご一読ください。

2020.01.07

第9号埋立てが終了した最終処分場で、日本の原風景の秋を楽しむ―秋の谷戸沢処分場自然観察会

11月16日(土)、心地よい秋空の下、日の出町にある広大な草原となった谷戸沢処分場の埋立地で「秋の谷戸沢処分場自然観察会」が開かれた。

11月16日(土)、心地よい秋空の下、日の出町にある広大な草原となった谷戸沢処分場の埋立地で「秋の谷戸沢処分場自然観察会」が開かれた。

イベント名称:秋の谷戸沢処分場自然観察会外部リンク

開催日時:2019年11月16日(土) 8時30分~16時30分
会場:谷戸沢廃棄物広域処分場内
参加人数:68人
主催:東京たま広域資源循環組合

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国蝶オオムラサキの保全をはじめ、里山的自然環境の再生が積極的に行われているよ!

壮大な里山的自然環境の処分場を歩く

 11月16日(土)、きれいに晴れた秋の日、色づきはじめた木々の間を車で走り抜けて、自然観察会の会場となる日の出町にある谷戸沢処分場に到着しました。ここは、昭和59(1984)年から平成10(1998)年までの14年間、東京都多摩地区の25市1町から出るごみの最終処分を行っていた場所です。埋立て終了後にできた22haの平地は、一部がサッカー場やグラウンド、緊急時のヘリポート、メガソーラー施設に使われていますが、残りは草地となっています。
 処分場の管理・運営を行っている東京たま広域資源循環組合では、埋立てが始まる前の昭和56年からこの地域の生態モニタリング調査を開始し、現在も、水質や発生ガスなどの調査により、周辺環境に影響を及ぼしていないことを調べると同時に、草地と周辺の樹林で、生態モニタリング調査を継続しながら、里山的自然環境の再生という壮大な事業に取り組んでいます。
 普段は閉鎖管理されていますが、処分場への理解とごみ問題を考える契機になるようにと、年数回、自然観察会などが開かれていて、参加者の中には、これまでにも何度か訪れている人もいるようでした。


自然観察会のはじめに挨拶された、東京たま広域資源循環組合の事務局長戸谷氏のお話には、最終処分場を設けることができず、困っていた25市1町に「三多摩は一つなり」の精神で手を差し伸べてくださった日の出町と日の出町の住民に感謝したいという発言があった。

自然観察会のはじめに挨拶された、東京たま広域資源循環組合の事務局長戸谷氏のお話には、最終処分場を設けることができず、困っていた25市1町に「三多摩は一つなり」の精神で手を差し伸べてくださった日の出町と日の出町の住民に感謝したいという発言があった。また、埋立てが終了して20年以上経過した今でも、地中ではごみが分解されている最中との説明もあり、ごみを出すとはどういうことか、改めて考えさせられた。


敷地内に建つ「谷戸沢記念館」。なかには草原や水辺、管理地区の樹林で見られる動物や植物などの写真が展示され、多くの生き物たちが、ここを生きるための場所として使っていることがわかる。

敷地内に建つ「谷戸沢記念館」。なかには草原や水辺、管理地区の樹林で見られる動物や植物などの写真が展示され、多くの生き物たちが、ここを生きるための場所として使っていることがわかる。


オオムラサキケージの中で育つ幼虫。

オオムラサキケージの中で育つ幼虫。エノキの葉を食べて育ち、落葉とともに地面に落ちると、エノキの根元の落ち葉の下で寒さをしのいで、春になるとふたたびエノキの木に登って葉を食べる。6月にはサナギになって過ごし、その後、成虫になって飛びはじめる。ケージで保全されていた幼虫は、成虫になると外に放され、処分場周辺の樹林にあるクヌギやコナラなどの樹液を吸って生活し、やがてエノキの葉に卵を産みつけて一生を終える。


自然観察会は、ススキなどの群落を刈らずに残している「刈り残しエリア」と清流復活のためにつくられた貯水池をめぐる外周道路を中心に行われた。

自然観察会は、ススキなどの群落を刈らずに残している「刈り残しエリア」と清流復活のためにつくられた貯水池をめぐる外周道路を中心に行われた。ここでの埋立て作業は、はじめに森林を伐採して埋立て地をつくったあと、細かく破砕された不燃ごみなどの廃棄物と覆土を交互に埋め立てるサンドイッチ・セル方式で行われた。埋立てが終了した場所で、ススキやチガヤなどの種子が風に運ばれ、根付き、植物の群落が形成されていったという。


つながる野生生物たち

 現在、埋立区域の植物種は平成27年で222種となり、埋立て終了時の2倍近くに増えています。
 草原に食べものとかくれ場所ができたことで小動物や昆虫が増え、それをねらって鳥やほかの動物たちがやってくるのです。エリア内には鳥の巣箱がいくつもかけられていますが、平成28年にはフクロウが巣箱で繁殖したことが確認されました。フクロウが使った巣箱はムササビにも利用されているそうです。また、日の出町の天然記念物になっているトウキョウサンショウウオの保全にも積極的に取り組んでいて、数が増えているとのことでした。
 草原では、やってきた鳥やタヌキなどの動物が糞として残していった“置き土産”からヒメコウゾなどの樹木も生えてきていました。これから植生遷移が進み、徐々に姿を変えていくことが予想されます。100年後、200年後、ここがどうなっているか想像してみるのは楽しく、できれば、野生生物の楽園になっていてくれたらと願いつつ、自然観察会を終えました。


自然観察会のガイドさんが手に掲げているのは、カヤネズミの古い巣。

自然観察会のガイドさんが手に掲げているのは、カヤネズミの古い巣。ススキなどの葉を絡ませてつくってあるのだという。カヤネズミは、体長が大人の親指ほどのネズミで、小さな球状の巣の中で子育てをする。ススキなど背の高い草の間に身をかくして生活している。谷戸沢処分場で初めてカヤネズミが確認されたのは、平成8(1996)年で、その後しばらく確認されなかったが、平成14(2002)年に始まった草の刈残しエリアを作るという自然再生の取り組みにより、平成18(2006)年に再び生息が確認された。


樹林や草原でみられるさまざまな木の実・草の実の一部。動物たちの大切な食料になる。

樹林や草原でみられるさまざまな木の実・草の実の一部。動物たちの大切な食料になる。
 秋の鳴く虫も透明なケースに入れられて、手にとって見られるようになっていた。「火使えますか」というのが、秋の鳴く虫の覚え方だそうで、ヒガシキリギリス、ツユムシ、カネタタキ、エンマコオロギ、マツムシ、スズムシ、カンタンの7種が代表的な鳴く虫。草の葉やたねを食べる昆虫はほかの昆虫やカエル、小鳥たちの餌になる。


アオダイショウに触わらせてもらう。

アオダイショウに触わらせてもらう。ウロコはぬめっとしているのかと思ったが、意外なことに乾燥していてつやつやのさわり心地でおどろく。ヘビやカエルなどの両生類や爬虫類は、全国的に数が減って、絶滅危惧種に指定されている種類もたくさんある。多くは餌をえられる里山のような環境がなくなってしまったためだ。こうした生き物たちにとって、ここが貴重なサンクチュアリーになれば、ごみを出し続ける人間のささやかな罪滅ぼしになるのかもしれない。


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