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 みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度の更新を予定しています。ぜひご一読ください。

2020.02.28

第12号水素エネルギーを学び、未来の水素社会を考える――墨田区「令和元年度エコライフ講座(第4回)これからのエネルギー”水素”を楽しく学んで燃料電池自動車に乗ってみよう!」

水素情報館「東京スイソミル」の1階展示室。おもに小学校高学年を対象として企画されているが、大人でも十分に楽しめ、水素エネルギーとはどんなものか理解できる内容になっている。

水素情報館「東京スイソミル」の1階展示室。おもに小学校高学年を対象として企画されているが、大人でも十分に楽しめ、水素エネルギーとはどんなものか理解できる内容になっている。

イベント名称:令和元年度エコライフ講座 第4回 これからのエネルギー”水素”を楽しく学んで燃料電池自動車に乗ってみよう!

開催日時:2020年1月23日(木)13時00分~17時00分
会場:水素情報館「東京スイソミル」、「がすてなーに ガスの科学館」
参加人数:14名
主催:墨田区
協力:公益財団法人 東京都環境公社、東京ガス株式会社

shiina

今回は実際に燃料電池自動車に乗せてもらって公道を走ったよ!
燃料電池自動車は、水素と酸素の化学反応で発電する電気エネルギーを使って走るから、走行中にCO2を出さないクリーンな自動車なんだ!

新しいエネルギー「水素エネルギー」を学ぶ

 1月23日(木)、墨田区が開催する「令和元年度エコライフ講座」に参加してきました。エコライフ講座は、「少しの工夫で、楽しく無理なく、エコな暮らしを行うヒントを紹介、実践してもらう機会を提供する」と同時に、環境ボランティアの育成を目的に開催している連続講座で、すでに10年以上も続いているそうです。
 今年度は、昨秋11月から今年の3月末までに11回の講座が準備されています。第1回は群馬県多野郡上野村にある水力発電所の見学を予定していましたが、台風による土砂崩れのため中止。第2回は専門家を講師に招いてお片付けについて学び、第3回は東京湾の中央防波堤にあるゴミの最終処分場の見学をしました。お片付けとエコ? と不思議に思ったのですが、「お片付けによってものが増えるのを防ぐことで、ゴミの減量につながるのです」という担当者の説明に納得。工夫が凝らされた講座のようです。
 今回は、近年話題の水素エネルギーについて学び、燃料電池自動車にも試乗させていただけるということで期待がふくらみます。
 墨田区役所前からバスに乗り、まずは江東区潮見にある水素情報館「東京スイソミル」へ。ここでは水素をつくる方法や、燃料電池自動車のしくみ、化石燃料を使わずに水素エネルギーをつくることや、CO2を出さないクリーンな水素社会のしくみを学びました。


東京都江東区にある東京スイソミル

東京都江東区にある東京スイソミル 水素エネルギーに関する情報発信拠点として東京都が整備した水素情報館で、2016年7月にオープン。現在は公益財団法人東京都環境公社が受託して管理・運営を行っている。水素エネルギーとはどんなものなのか、水素社会が実現すると、どんな未来が開けるのかといったことが学べ、小学生の高学年の社会科見学や、企業・事業者の研修などにも利用されている。近隣に住む幼児を連れた若い家族にも人気のスポットのようだ。


東京スイソミル1階の展示室

東京スイソミル1階の展示室は、おもに小学校高学年以上の児童生徒を対象につくられていて、「わたしたちとエネルギー」「水素エネルギーの可能性」「水素社会のしくみ」「水素社会のいま」「水素社会と私たちの未来」という6つのコーナーに分けられ、各コーナーでは案内役のキャラクターの解説やマンガでの説明を読んだり、ゲームや水素を使った実験などを体験したりして、子どもたちも大人も楽しみながら水素エネルギーについて学べるようになっている。


「水素をつかう」のコーナー

「水素をつかう」のコーナーでは、燃料電池自動車などについての説明がありました。現在は、主に天然ガスから水素をつくっているので完全にCO2フリーではないものの、いずれは再生可能エネルギーでつくった電気で水素をつくれば、クリーンなエネルギーができることなどの説明の後、日本全国で約3000台の燃料電池自動車が走っていること、都内でも15台の燃料電池自動車の都バスが運行しているなどの解説がされた。 参加者の関心も高く、「バスはどこに行けば乗れますか?」「燃料電池自動車はおいくら?」「値引きは?」など具体的な質問に解説者がたじたじとなる場面も。


東京ガスの「がすてなーに ガスの科学館」で、東京都と国の取り組みを学ぶ

 「東京スイソミル」での見学を終えた後は再びバスで移動。1月にオープンしたばかりの、燃料電池バスへ2台同時に水素を充填できる豊洲水素ステーションを見ながら、江東区豊洲にある「がすてなーに ガスの科学館」に到着。ここは、東京ガス株式会社が運営する企業館です。天然ガスから生み出す水素エネルギーを活用した、同社の水素社会への貢献についてお話しくださいました。
 水素エネルギーを学ぶのに、なぜ天然ガス?と不思議にも思えるのですが、天然ガスの主成分メタンはCH4という化学式からもわかるように水素を多く含み、再生可能エネルギーの利用がなかなか進まない現状では、天然ガスから水素を取り出して使うのが主流になっているのです。
 東京ガス株式会社では、東京都と国の水素エネルギーへの転換施策に協力するため、2003年から実証実験を行い、現在は、先程見学した豊洲ステーションを含め、4か所で水素ステーションを運営しているそうです。担当者のお話では、東京都は2020年度中に燃料電池自動車のバスを100台にすることや、国の計画では2030年までに燃料電池自動車を80万台普及させることなどの説明がありました。また、オリンピック・パラリンピックの選手村跡地では、地中に埋めた配管を使って水素を供給したり、エネファームや燃料電池自動車の利用を加速、CO2の削減に取り組む計画だという話などを聞き、水素エネルギー利用への転換が着実に進んでいることを実感しました。


東京ガス株式会社の「がすてなーに ガスの科学館」

東京ガス株式会社の「がすてなーに ガスの科学館」で、東京ガスによる水素社会への貢献について学んだ。
東京2020オリンピック・パラリンピックでは、選手たちを燃料電池自動車のバスで送迎する計画だという。そのほか、東京都では2020年度中に燃料電池自動車を6000台まで、水素ステーションを現在の15か所から35か所まで増やすなど、都や国の具体的な計画も聞くことができ、実際に水素社会が近づいてきていることを実感した。


今回、参加者が試乗させていただいた燃料電池自動車トヨタのクラリティ。

今回、参加者が試乗した燃料電池自動車トヨタのクラリティ。たいへん乗り心地がよく音も静か。運転手を務めた墨田区環境保全課の方は、電気自動車では走行距離が400㎞程度なのに対し、燃料電池自動車は自分で発電しながら走るので、走り方によってはクラリティなら700〜800㎞は走行できるとのこと。車体が長くて大きい割にハンドルが軽くて操作性がよく、運転していて楽だと話してくれた。また加速もよく、実際に道路に出たときにも、ガソリンエンジン車のようにふかす感じや体への圧迫感もなく、非常にスムーズにスピードが出て、まわりの車の流れにのれたのも感心した点だった。
写真提供:墨田区環境保全課


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