トップページ > みどり東京レター > ごみ収集車の中が見えると、何かが変わる! ―町田市 ごみ収集車の中が丸見え!! “みえるくん”がみんなの町にやってくる!!
みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度の更新を予定しています。ぜひご一読ください。
2022.08.01
荷箱の側面が透明のアクリル板で作られ、中が見えるようになっている、ごみ収集車“みえるくん”。ごみの減量について啓発する役割を担って、町田市内各地で活躍中です。
ごみ収集車の荷箱の中って、どうなっているんだろう!
町田市では、ごみの減量について啓発するために製造された、環境学習用のスケルトンごみ収集車“みえるくん”が活躍しています。この収集車は、ごみを積み込む荷箱の側面が透明のアクリル板でできていて、中がしっかり見えるようになっています。中が見えるとどんな効果が期待できるのか、そもそもごみ収集車の中はどのような仕組みになっているのか、町田市環境政策課3R推進係の出前講座を取材してきました。
トラックやバスなどの「働く車」の中でも、ごみ収集車は子どもたちに人気です。町田市内の幼稚園の園庭にやってきた収集車は、すぐに子どもたちの輪に囲まれました。
出前講座が始まる前に、町田市環境資源部環境政策課3R推進係の馬川賢一さんに、“みえるくん”誕生のいきさつなどについてお話を伺いました。
町田市におけるごみの減量の啓発活動は、2005年頃から本格化しました。当初は普通のごみ収集車を使っていましたが、多くの子どもたちが、ごみ収集車の中でごみを分別し、焼却していると思っていることが分かりました。そこで、馬川さんたちは、ごみ収集車の側面を透明にした特別車両でごみ収集車の中を見せようと考えました。こうして誕生したのが“みえるくん”で、2013年から活動を開始しています。
中が見えると、ごみ収集車では、ごみの分別や焼却はできないということが一目で理解できます。“みえるくん”の活動を通して、分別はごみを出す人の役目であることが、しっかり伝わるようになりました。
市内にある幼稚園の出前講座では、ホールに集まった年長組の園児たちが声を揃えて「ごみ収集車のおじさーん」と呼ぶと、楽器を持った馬川さんたちが登場しました。
今回の講座では、「みえるくんとのおやくそく」として「ごはんはぜんぶたべよう」「ものをたいせつにしよう」「なかまどうしにわけよう」の3点を学びました。
また、講座の中で3R推進係の皆さんから、「いろいろ考えながらごみの減量に取り組むと楽しくなるよ。」と、お話がありました。
紙芝居の後は、みんなで一緒に「ごみ収集車のうた」を歌い、踊って、楽しくごみの減量について学びました。ホールから教室に戻る子どもたちの「ごーみー収集車、みんなのおともだち!」と楽しげに歌う声がいつまでも園の中に響きました。
ホールに集まった園児たちが声を揃えて「ごみ収集車のおじさーん」と呼ぶと、ギターを持った馬川さんを先頭に、3R推進係の吾妻正弘さん、柿本琢さんが、ホールの後ろの扉から登場してきました。
手作りの紙芝居「ごみブクロくんダイエット大作戦」の始まりです。大きすぎてごみ収集車に入らないごみブクロくんをどうしたら小さくできるか、みんなで考えていきます。
「なかまどうしにわけよう」の約束は、資源分別への学びにつながります。
分別したところで、「リサイクル変身ボックス」と呼ぶ秘密兵器の登場です。牛乳パックをボックスに入れると…。
「リサイクル変身ボックス」から、トイレットペーパーが出てきました。これで、牛乳パックがトイレットペーパーに生まれ変わることが、子どもたちにも伝わります。
紙芝居の最後は、「みえるくんとのおやくそく」を、もう一度確認して、子どもたちにしっかりと覚えてもらいました。
ホールでの講座が終わった後は、園庭に出て、ごみ収集車の仕事の実演と体験です。
まずは、作業者の安全の確認について学びました。ごみの投入口には回転板が付いていて、巻き込まれると危険なため、車の後ろのカメラで運転席から作業の様子が見えるようになっています。また、投入口の開閉動作や回転板は、スイッチを押すことですぐに停止できるようになっています。
その後、子どもたちが一人ずつごみ袋に見立てた荷物を投入口に投げ入れて、ごみ収集の仕事を体験しました。すぐに「ごみがいっぱいになったらどうするの?」と質問が飛び出してきて、子どもたちの関心の高さが窺われました。
ごみ投入口の横に付いているボタンで、投入口の開閉や回転板の操作をします。
両手がふさがっているときは、足で下の赤いバーを踏んで回転板を操作することもできます。
透明になった側面から、収集車の中を見ると、荷箱の中は平らになっていて、投入口から入れたごみ袋が回転板で中に押し込まれていくのが見えます。
荷箱にいっぱいになったごみは、清掃工場に運ばれて、後ろの投入口が持ち上げられ、ドサッと吐き出されます。子どもたちは、みんな真剣に見入っていました。
“みえるくん”は、幼稚園や保育園、小学校で行われる出前講座のほか、市内の様々なイベント会場でごみ収集体験や乗車体験などを行っています。年間の出前講座やイベントへの参加は延べ130回を超え、時には1日に2カ所を回ることもあります。
この活動によって、子どもたちにごみの収集や減量について知ってもらうとともに、体験した子どもたちから親・家族へと伝わっていく効果も期待されます。20代から40代の、いわゆる子育て世代は、多忙なこともあって、ごみの減量などに関する最新の取り組みが最も伝わりにくい世代といえます。出前講座で学んだことを子どもたちが家に持ち帰って親に伝える、または子どもたち自身が「みえるくんとのおやくそく」を実行することで親の気付きにもつながります。
幼児期の子どもたちは出前講座を体験しても、しばらくすると忘れてしまうかもしれません。そこで、小学校や市内の様々なイベントで何度も“みえるくん”に会い、ごみの減量の3つの約束を思い出してもらうことが大切と、馬川さんは言います。
ごみの減量の啓発活動は、息の長い活動です。歌と踊り、ゲームやクイズを交えて楽しく学ぶこの活動で、子どもたちの心にごみの減量への意識が根付き、実を結ぶことを願いたいものです。
ごみ収集車“みえるくん”の正面には、大きな目玉が付いています。ここにも市民に愛されるキャラクターになってほしいという願いが込められています。
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
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