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 みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度の更新を予定しています。ぜひご一読ください。

2023.01.06

第35号SDGsを意識した経営を模索─狛江市 事業者向け環境セミナー「店舗・テナント・オフィスのECO! “無料”からはじめる?”何から”はじめる?」

狛江市役所で市内の事業者を対象に、環境を意識した経営の在り方を考える環境セミナーが開催されました。


狛江市 事業者向け環境セミナー「店舗・テナント・オフィスのECO! “無料”からはじめる?”何から”はじめる?」

開催日時
令和4年12月6日(火) 14:00~15:40
会場
狛江市役所 4階特別会議室
講師
リコージャパン(株)西東京支社 コーディネート営業部
プロモーショングループ SDGsキーパーソン 池田美紀子さん
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)
技術専門員、エネルギー管理士 中澤美昇さん
主催
狛江市 後援:狛江市商工会
参加者
9名

shiina

エコな取り組みは事業を続けていくうえでメリットになることを学んだよ。
事業者も積極的にエコな活動をやってみようという気持ちになれるね。

「ゼロカーボンシティ」の実現に欠かせない事業者の協力

 晩秋のひんやりとした空気に包まれた12月6日(火)の午後、狛江市役所で事業者を対象に、環境セミナーが開催されました。セミナーの主な目的は、ESG(環境・社会・企業統治)投資やSDGsに象徴される持続可能な社会を目指す活動を、自らの事業や経営に活かしたいと考える経営者・事業者に参加していただき、具体的にどこから手を付ければよいかを学んでもらうことです。

 セミナーに先立ち、狛江市環境部環境政策課長の秋山尊利さんから、狛江市のCO2排出量を分野別に示したグラフをもとに、事業系の排出量が22%を占めること、狛江市が目指す「ゼロカーボンシティ」の実現には事業者の協力が欠かせないことなどの説明がありました。

開会の挨拶をされる狛江市環境部の秋山尊利さん(写真奥左)。 「市が宣言している『2050年ゼロカーボンシティ』の実現には事業者の皆さんの協力が必要です」と説明しました。

資料として提示された狛江市のCO2排出元の内訳を示すグラフ。事業系の排出量38千t-CO2は全排出量の22%を占めています。 出典:オール東京62市区町村共同事業「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」多摩地域の温室効果ガス排出量(1990年度~2019年度)

気候変動による災害が事業継続を脅かす時代に

 セミナーの第一部では、リコージャパン株式会社に所属し、SDGsキーパーソンとして活動している池田美紀子さんが登壇されました。

 2015年の国連サミットで世界共通目標としてSDGsが採択されるまでの大きな流れについて説明した後、気候変動によって世界中で激甚な災害が起こっていること、その災害が事業活動の継続に影響を及ぼす場合があること、そのため世界の潮流としてESG投資が重視され、企業活動はサプライチェーンやバリューチェーンなどによって生産者や材料の調達先、取引先、消費者と深く関わり合っていることを解説されました。

 参加者の皆さんも、今後の事業活動の継続にとって、環境に配慮した活動を行うことと、E(環境)・S(社会、人権)・G(企業統治)の3つを意識することが重要なファクターとなることについて、理解が進んだようでした。

 池田さんから、「産業革命前とくらべて、地球の平均気温は何度変化したでしょうか」というクイズが出されました。①「+1.2℃」、②「-1.2℃」、③「+4℃」、④「-0.1℃」の四択から選ぶ問題で、ほとんどの参加者が正解の①に手を挙げていました。

セミナーの第一部の講師を務めたSDGsキーパーソンの池田美紀子さん(左奥)。 SDGsの17の目標は、地球上の誰一人取り残さないように、第17の目標である「パートナーシップで目標を達成しよう」と相互につながっていると強調しました。

細やかな省エネでゼロカーボンを意識した経営戦略を

 第二部で講師を務めたクール・ネット東京の中澤美昇さんはエネルギー管理士としての豊富な専門的知見を活かして、コスト削減を実現するために有効な手段・方法について、具体例をもとに解説されました。特にセミナーが行われている会場内の照明を全灯点灯した照度と半分程度に間引いた照度について数値を挙げて説明した際には、室内の明るさの違いを体感した参加者から、省エネとしてすぐにも実行できると高い関心が示されました。

セミナーの第二部の解説を行うクール・ネット東京の中澤美昇さん(左)。エネルギー管理士である中澤さんは、省エネとゼロカーボンに向けた効果的な取り組みについて具体例を挙げながら説明し、経費削減と環境負荷の削減を同時に実現する戦略について細やかに解説をされました。

ワークショップで対話しながら、大きな話題をジブンゴト化する

 第三部の「カーボンニュートラル ジブンゴト化ワークショップ」では、リコージャパン(株)のプロモーショングループが進行役になり、ダンボールでつくった丸テーブル「ダンボログ」を囲んだ意見交換会を実施しました。円卓を囲むことによって心理的な緊張が解けて話しやすくなるとのことで、参加者は講演の感想をダンボログの上で自由に書き込みながら、気候変動やカーボンニュートラルと経営との関連などについて、話し合いました。

 多くの参加者が、近年日本に近づく台風の激甚化や局地的な集中豪雨による災害の発生に不安を感じていました。こうした不安を解消し、SDGsに掲げられた目標を実行していくこと、それぞれの企業活動をどのように結びつけていけばよいのか、話し合いや意見交換は尽きない様子でした。

 今後、持続可能な社会に向けてSDGsに取り組む企業が選ばれていく時代になること、事業活動の継続にはESG投資を意識しなければならないことなど学びが多く、セミナーの時間を大幅に超過してもなお話し合いは続きました。

ダンボログを用いたワークショップの様子。ダンボール製の丸い円卓の上の模造紙に、それぞれ自己紹介と感想を書きながら、自由に意見交換を行いました。

ワークショップの途中で、地球環境に起こっている変化や災害の事例を紹介した動画が映し出され、地球温暖化や気候変動の現実について学びました。

狛江市エコパートナーの取り組み

 狛江市は、2021年4月に「2050年ゼロカーボンシティ」の宣言を行いました。二酸化炭素の排出をプラスマイナスゼロにしようというこの宣言を実現するには、事業系はもちろん、狛江市の総排出量の58%を占める家庭からの排出を削減することも大きな課題となります。

 市では今回の環境セミナーのような環境保全に関する講座を企画して、参加した市民・事業者・団体等をエコパートナーとして認定する活動を行っています。多くの課題がある中、行政・市民・事業者・団体などが一丸となって「ゼロカーボンシティ」の実現に取り組んでいます。

狛江市のエコパートナー認定証
裏面(右写真)にそれぞれが取り組む具体的な内容を書き込み、宣言します。

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本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。