トップページ > みどり東京レター > 里山の雑木林で遊び、整えて、自然を感じよう! ―あきる野市「第89回森っこサンちゃんクラブ ―雑木林を整備して、シイタケのコマ打ちに挑戦しよう!―」
みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度の更新を予定しています。ぜひご一読ください。
2023.2.21
「森っこサンちゃんクラブ」の活動は、普段は小宮ふるさと自然体験学校の周辺で行っていますが、この日はあきる野市菅生地区にある市有林の中で行われました。森林レンジャーの杉野二郎さんから、昔の人の暮らしと里山の関わりなどを教わりました。
森っこサンちゃんは、トウキョウサンショウウオをモチーフにしたあきる野市のイメージキャラクター。
サンちゃんたちが生きていける自然を守る気持ちを育んでほしいな!
あきる野市では、市内の子どもたちを対象に、個人向けの自然体験イベント「森っこサンちゃんクラブ」を定期的に開催しています。1月29日(日)の回では、小学校低学年の子どもたち6人が参加して、雑木林の整備とシイタケのコマ打ちを体験しました。
大寒を過ぎたばかりのこの日は、前夜に降った雪が草むらのあちこちに残る肌寒い一日となりました。参加した子どもたちは、元気な姿で会場の雑木林近くに集いました。
子どもたちに参加動機を聞くと、虫や自然が好きだから自分で参加を決めたと言い、ほぼ全員がすでに「森っこサンちゃんクラブ」に参加した経験があると話してくれました。
開会あいさつの後、山に入る際の注意事項を聞き、簡単な体操で体をほぐしてから、雑木林の中の細い道へと分け入っていきました。5分ほど山を登り、この日の活動拠点の広場に到着すると、樹木医で「森林レンジャーあきる野」を務める杉野二郎さんを先頭に、まずは広場を囲む山道を駆け回って雑木林を探検しました。
広場に戻った後は、雑木林の整備として、熊手を使って落ち葉掻きを行いました。集めた落ち葉は、腐葉土を作るために使います。
朝の開会のあいさつまでは保護者も同席していましたが、その後はお迎えの時間まで子どもたちを預けて、帰宅しました。
最初に広場を囲む雑木林の中をぐるっと回って足慣らし。何種類の落ち葉を拾い集められるか、競争しながら進みました。
雑木林の整備をする前に、あきる野市のスタッフから雑木林の成り立ち、人とのかかわりなどを教わりました。
地面に厚く積もった落ち葉を掻き集めて、雑木林の整備をしました。集めた落ち葉は木枠の中に積んでいき、腐葉土を作ります。
3年生は、さすがに力持ち。袋一杯に詰めた落ち葉を木枠の中に積んでいきます。木枠は、古くなったコナラの丸太を有効活用しました。
今回の自然体験イベントの参加者は6人でしたが、子どもたちは想像以上にパワフルで、子どもたちを見守るスタッフの目を行き渡らせるにはちょうどよい人数でした。時間が経って慣れるにつれて、子どもたちの行動は大胆になっていきます。
落ち葉を求めてどんどん坂道を上っていったり、集めた落ち葉を踏み固めて遊んだり、古いほだ木の集積場所を掘り返してカブトムシの幼虫を探したりと、雑木林には楽しい遊びのタネがたくさんあります。大人の行動をよく見ていて、楽しそうだとわかるとすぐに真似する姿が見られました。スタッフの巧みなリードで、子どもたちはどんどん引きこまれ、新しいワクワク体験を発見していくようでした。
みんなで力を合わせてたくさんの落ち葉を集めることができました。集めた落ち葉は、足で踏んで細かく砕きます。
やがて、落ち葉のプールに次々とジャンプ・イン! ふかふかの落ち葉の山は、子どもたちにとって格好の遊び場となりました。
古いコナラの丸太を積んだ場所を掘っています。カブトムシの幼虫が眠っていると教えられて、期待がどんどん膨らんでいく子どもたちでした。
土の中からカブトムシの幼虫を発見した子どもたちは、素手で感触を確かめずにはいられません。
幼虫は子どもたちの手から手へと渡されて、すっかり冬眠から覚めてしまいました。
落ち葉掻きを終えてお弁当を食べたら、午後はシイタケのコマ打ちに挑戦しました。まずは、雑木林に分け入って、前もってスタッフが切っておいたコナラの丸太の中から、自分の気に入った丸太を選んで、腕に抱えて運び出します。広場に丸太を並べたら、丸太の表面にチョークで目印を付けて、電動ドリルで穴を開けます。この穴にシイタケ菌を繁殖させた「コマ」を打ち込みます。電動ドリルの使い方と危険について説明するスタッフの手元を、子どもたちは真剣な眼差しで見つめていました。
実際に子どもたちが穴を開けるときはスタッフが一対一でサポートしますが、子どもたちが怪我をしないように手を添えるだけで、あくまでも主体は子どもたちです。子どもたちも自分の力でやり遂げる意思をしっかり持って、真剣に取り組んでいました。コマを打ち込んだ丸太は自宅に持ち帰り、キノコが出るまで半年から1年ほど管理します。
穴が開くと、子どもたちの緊張も解けて、キノコが出てきたときの家族の様子を想像しながら楽しそうに会話を交わしていました。すでにコマを打ってあったコナラの丸太からシイタケが生えているのを見つけた杉野さんが、キノコの出てくる仕組みを解説すると、子どもたちは真剣に聞き入っていました。
シイタケのコマ打ちに使う丸太を運ぶ子どもたち。ほだ木用の丸太は、前もってスタッフが切って用意しておいたものです。
どの丸太がいいか、子どもたちは自分で選んで、自分で運び出します。大きく重い丸太を選んだ子も頑張って運びました。
目印を付けたところにシイタケのコマを打ち込む穴を電動ドリルで開けていきます。最初はちょっと怖がっていた子どもたちも、数回やっていくうちにどんどん慣れて上手になっていきました。
ドリルで開けた穴にシイタケ菌を繁殖させたコマを差し入れて、木のハンマーで打ち込んでいきました。
杉野さんが、シイタケの出始めたほだ木を見せながらキノコの出方を教えていました。
あきる野市「森っこサンちゃんクラブ」は、小宮ふるさと自然体験学校が主催する自然体験事業の一つとして平成24(2012)年に始まり、10年以上続いています。当初は年間4回ほどの不定期開催でしたが、コロナ前には年10〜11回も開催されるようになりました。コロナの感染拡大で開催回数が減ったものの、今回で第89回目となり、参加する子どもが着実に増えています。
スタッフは、「小学生の頃に参加した子どもたちから、中学生になっても参加したいという声があり、今は中学生を対象にした活動も始めています」と話されました。「五感で自然を感じる体験をしてほしい」というクラブの趣旨が、楽しかった思い出とともに、しっかりと根づいていることが窺えます。
この活動が息長く続き、豊かな自然を体験する子どもたちが増えるなかで雑木林や里山の役割に対する理解が進み、ふるさとの自然を慈しむ心を育んでいくことを願います。
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
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