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みどり東京レタータイトル

 みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度の更新を予定しています。ぜひご一読ください。

2023.03.31

第37号持続可能な住いづくり目指して─西東京市 環境講座 知っておきたい! 省エネ住宅~新築・リフォームのポイント~

エコプラザ西東京。2008年に環境学習の拠点としてオープンし、環境保全と循環型社会の推進のための環境講座やイベントなどを開催しています。今回はエコプラザ西東京がワクチン接種会場であったため、住吉会館ルピナスにて開催いたしました。


西東京市 環境講座 知っておきたい!省エネ住宅~新築・リフォームのポイント~

開催日時
令和5年2月18日(土) 13:30~15:30
会場
住吉会館ルピナス 研修室
対象
市内在住・在勤・在学の18歳以上の市民
主催
エコプラザ西東京、西東京市環境保全課
講師
一般社団法人全国工務店協会(JBN)理事、岡庭建設株式会社、一級建築士 池田浩和氏
参加者
18名

shiina

CO2の排出を抑えながら快適に暮らせる住まいづくりの方法について、
実際の住宅建築やリノベーションの例を見ながら学んだよ。

なぜ、省エネ住宅を目指すのか?

 西東京市にあるエコプラザ西東京では、市内在住・在勤・在学の市民を対象にした「環境講座」を定期的に開催しています。今回の講座は、一般社団法人全国工務店協会理事であり住宅設計・施工の専門家として活躍している一級建築士の池田浩和さんを講師に招き、快適に過ごせてなおかつ経済的な省エネ住宅の新築・リフォームのポイントについて学びました。

 新築の住宅では、省エネを実現しつつ快適な住空間を実現するためにさまざまな技術が取り入れられています。ところが、完成した住宅の内部に設置された省エネ技術は壁などに閉じ込められています。池田さんは、政府や東京都の政策や、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と呼ばれる最新の省エネ住宅について解説し、一般市民にとってなかなか知ることのできない最新の住宅事情と技術を紹介してくださいました。

 新築住宅では、壁の内部や屋根の下地などには断熱材を入れ、窓やドア等の開口部に2重ガラスや内窓を使って外気と室内の空気を遮断し、対流を抑えて快適な温度を保つように工夫しています。こうしてエネルギーの使用量そのものを削減するとともに、再生可能エネルギー発電設備を導入してエネルギーを創り出すことで、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする住宅が、ZEHなのです。

ZEHの実現には、建物に断熱材や断熱窓などを使用することと高効率設備の導入でエネルギー消費を抑え、同時にエネルギーを創る方法が勧められている。

講師の池田浩和さんの話に聞き入る受講者たち。

断熱材や内窓などを用いて建物の高断熱化と設備の高性能化を進め、エネルギー消費とCO2の排出を抑えつつ快適に暮らせる住宅づくりが求められています。

既存住宅を省エネ住宅に生まれ変わらせる

 既存の1戸建てやマンションなどの対策も新築とほぼ同じ考え方です。ただ新築と異なり、一気に作業できない場合もあるので、池田さんは3つの段階で対応していくことを勧められました。

 1つは、エアコン・給湯器などのエネルギー消費設備を高効率なものに交換する方法です。2つ目の方法は、窓やドアなどの開口部を断熱化すること。そして3つ目として、リフォームやリノベーションは壁の中や屋根の下地、床下などに断熱材を入れるチャンスだということです。高効率機器への交換や断熱リフォーム等に対する国や都、市区町村の助成金もありますので、活用できれば施主の負担を減らすことができます。

 また、家電製品は価格よりも省エネ性能を確認して選ぶことが重要と池田さんは強調されました。初期の購入費は高くなりますが、長い期間で比べると結果的に省エネによる節約効果が高く経済的になるのに加えて、快適な住空間づくりにもつながります。

新築・リフォームにかかわらず、エアコンや照明器具などの家電製品、温水設備などの住宅設備は、購入時に星印で示された統一省エネラベルを確認して、可能な限り省エネ性能の高いものを選ぶと、快適で経済的な省エネ生活の実現につながります。

リノベーションは住宅の断熱性能を高めるよいチャンスです。マンションの場合は、たいてい南北側に窓があるので、多めに断熱材入れると効果的です。

次世代を担う子どもたちにより良い環境を残すために ―西東京市「ゼロカーボンシティ」宣言

 現在東京都内では、国や都の主導によって住宅や車などさまざまな分野で2050年カーボンニュートラルの実現のための施策が急ピッチで進められています。

 西東京市でも、2022年2月に「ゼロカーボンシティ宣言」をしています。しかし、住宅の新築やリフォームなど個人の資産にかかわることは、市民の理解と協力がなければ進みません。一方で、市民の側からすると、専門性が高いため業者にお任せだったり、何から手を付ければよいのかわからなかったりします。初期投資が高くなるのも躊躇する原因になっています。

 今回の環境講座では、最後に時間を設けて、現在の住居に問題を抱えている方や新築を考えている方からの質問・相談を受けていました。

 西東京市の「ゼロカーボンシティ宣言」では、「次世代を担う子どもたちにより良い環境を残すために」と記載されています。宣言が実効あるものとなるためには、市民と行政の意思疎通を密にした協働が欠かせません。一級建築士として日々現場に立ちつつ、同時に行政が目指す方向を専門的な知識をもって理解している講師の方を招いて行われた今回の環境講座は、情報へのアクセスが少ない市民にとって行政の目標やその実現のためのロードマップなど最新の動向について知り、一市民としてできることを考える絶好の機会となりました。

講座の後半は、リノベーションや新築を考えている受講者からの困りごとや質問に対して、池田さんが丁寧に回答してくださいました。

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本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。