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 みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度更新しています。ぜひご一読ください。

2024.01.19

第47号山に遊び、森に学び、子どもたちとともに未来をひらく――青梅市「おうめ環境フェスタ2023」基調講演会

「おうめ環境フェスタ」基調講演会の準備の様子。森を舞台にして保育や教育を実践している方々を講師に招いて開かれました。


青梅の山は子どもがつくる 〜大人もいっしょに創ろうよ〜:青梅市「おうめ環境フェスタ2023」基調講演

開催日時
令和5年12月9日(土) 14:00〜16:00
会場
青梅市役所2階 会議室
主催
青梅市/おうめ環境市民会議
講師
(基調講演発表順)
青梅幼稚園 園長 横山牧人氏
エンジョイ・フォレスト女性林研 会長・二俣尾保育園 理事長 福田珠子氏
自由の森学園 理事長 鬼沢真之氏
参加者
13名

shiina

「おうめ環境フェスタ」は6月から継続している取り組みだよ。
SDGsの実践は息長くコツコツ積み重ねるのが大切だという趣旨からなんだ。

幼少期からの「山遊び 山歩き」が感性と気づきを育む

 令和5年12月9日(土)の午後、青梅市役所において「おうめ環境フェスタ2023」の基調講演会が開催されました。この日は、担い手が減少する林業の現状を踏まえ、青梅の自然、森林を守り育てることをテーマとして、未来の青梅の森を担う幼児から中高生までを対象に森での体験を実践している3人の講師を招き、日頃の実践を聞きました。

青梅市環境部長の川島氏による挨拶。幼少期からの山歩き・山遊びなどを通して、豊かな青梅の自然を体感し、地元の森を次世代に引き継いでいく一助になってほしいとお話しされました。

おうめ環境フェスタ実行委員長の濱田氏。子どもが山で遊び、山で考え、山で五感を育てる教育を実践し、これからの青梅の山を考える上で大事なところを担っていると述べ、基調講演会への期待を表明しました。

 最初に登壇した横山牧人氏が園長を務める青梅幼稚園では、2018年度から保育の一環として森歩き・森遊びを取り入れています。子どもの心に美しい原風景を残し、「幸せだった」という記憶を残したい、それが森を守ることにつながるという熱い思いが込められていました。
 エンジョイ・フォレスト女性林研の会長で、二俣尾保育園の理事長を務める福田珠子氏は、子どもたちが自然の中で行う作業や物作りを「労作保育」と位置づけ、そこから「想像と創造」の2つを育てることが豊かな人間性形成につながるといいます。「子どもたちは無の中からさまざまなものを見つけてきます。森という自由に感じるフィールドがあることが大事です」という氏の言葉は、森と人間の関係性を端的に表しているようです。

青梅幼稚園園長の横山牧人氏。子どもたちは森で虫やカニ、カエルなどの動物に触れ、木の葉や木の実などを手に取って命の大切さを学んでいる、感性の回路が開くと知性の回路も開く、感じることを大事にしたいと話されました。また、現状の針葉樹中心の森から針広混交林の森になると遊びが広がる、より懐の深い森が感性を育てるとのお考えを述べました。

二俣尾保育園理事長の福田珠子氏。森の中には宝物があるといい、山歩きの中で見つけたもので壁掛けやクリスマスリースづくりなどを実践しています。そうした活動を「労作保育」と位置づけ、そこから2つの“そうぞう”「想像と創造」を身につける、そのための森が必要だと話されました。

職としての林業を考える場をつくりたい

 自由の森学園の理事長を務める鬼沢真之氏は、1985年の学園創設以来、地元に溶け込む方法を模索するうちに「林業をやろう」と考えるに至りました。2002年より地元の林業家の協力を得て林業を選択コースとして実施しています。林業選択コースでは毎週90分の授業で間伐などを行い、夏休みには白神山地へのスタディーツアーを実践しています。その中から山の仕事を職業に選ぶ子どもたちも出てきています。こうした活動から森を楽しむ、森を守る、地域を守ることが地球を守ることにつながっていると語りました。同時に、子どもが自由に遊べる森林の確保と創設の必要性を強調し、青梅や自由の森学園がある飯能など都市近郊では山の専門家を育成し、都市の住民や子どもたちと山をつないでいくことが大事であるなど、示唆に富む考えを述べられました。

自由の森学園理事長の鬼沢真之氏。同学園では環境の問題を子ども任せにしない。大人が創ることに子どもが協力するというスタンスでやっているとのことで、小中学生ではイベントの形で、高等学校では選択コースとして林業に関わる学習を実践しています。

白神山地へのステディーツアーの様子(左)。林業選択コースでは、樹木の伐採やツアー、薪づくりや炭焼きなどを行います。こうした授業を経て、実際に林業を職業として選択する子どもたちも生まれています(右)。

1年を通して環境貢献を考える環境フェスタの新しい形にチャレンジ

 青梅市では新型コロナウイルス感染症の流行にともない、令和2(2020)年からそれまでの集客型イベントとしての環境フェスタの形を見直し、新たな環境フェスタの構築を目指しています。新たな環境フェスタでは、パネル展示と「おうめ環境マップ」の作成・配布、基調講演会を3つの柱として実施しています。これにより数日間のイベントから、年間を通じて環境への関心を高める啓発活動へとつなげようとしています。
 「おうめ環境マップ」には市民による日々の小さな努力が地図上に載せられています。こうした活動こそが気候変動や温暖化防止への意識変革とゼロカーボンシティ実現への突破口になるように見えました。

「おうめ環境ニュース」と「おうめ環境マップ」。マップには市内で環境保全に取り組んでいる法人や団体、個人などを示し、それぞれの活動内容を紹介しています。
マップを使ったスタンプラリーも行われていて、指定された7カ所のうち3カ所以上を回ると景品がもらえます。昨年は100名弱の市民が景品を受け取りました。

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本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。