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 みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度更新しています。ぜひご一読ください。

2024.06.10

第49号サンゴが知らせる気候変動―港区 「海とわたしたちの暮らし~夏が来る前に知ってほしい、地球環境とサンゴのお話~」

白化したサンゴ礁、生き物が生息するサンゴ礁(左から)

白化したサンゴ礁、生き物が生息するサンゴ礁(左から)


港区立エコプラザ 「海とわたしたちの暮らし~夏が来る前に知ってほしい、地球環境とサンゴのお話~」

開催日時
令和6年5月19日(日)14:00~15:30
会場
港区立エコプラザ
講師
Romi氏(#reefsafejapan 代表/リトルハンズハワイ総代理店)
参加者
25名

shiina

港区立エコプラザでは展示や講座を含め、年間170本以上を企画して、区民に環境保全の大切さを伝えているよ

 東京都心では最高気温28.8℃を記録した夏日の前日から一転、ぽつりぽつりと雨粒が落ちた5月の土曜日。都内だけではなく、神奈川県や埼玉県、さらには沖縄県からも総勢25名が集まりました。「海とわたしたちの暮らし~夏が来る前に知ってほしい、地球環境とサンゴのお話~」を受講する参加者の皆さんです。
 講師の#reefsafejapan(リーフセーフジャパン) 代表のRomiさんは、2016年に宮古島で目撃した大規模なサンゴの白化(はっか)をきっかけに、海の自然環境を守るための情報発信や保全活動をしています。
 サンゴの白化現象とは、サンゴに共生している褐虫藻(かっちゅうそう)が抜け出すなどして、サンゴの白い骨格がむき出しになってしまう現象のことです。数多くの生物がすみかとしているサンゴが白化して死んでしまうと、住む場所がなくなり海の生物多様性が失われる恐れがあります。サンゴが白くなる原因は海水温の上昇のほか、一般的な日焼け止めやメイク用品に含まれる成分が影響しています。ハワイやパラオでは、サンゴ礁に有害な化学物質を含む日焼け止めの販売を禁止する法律ができているほどです。
 Romiさんはこの現状に胸を痛め、海の自然を守りたい想いを多くの方に伝えています。

サンゴ礁は、80年以内に死滅する可能性が高い

 講座では、サンゴの生態や日焼け止めが与える海への影響、海の中でのサンゴ礁の役割などを実際の写真を交えながら説明がありました。参加者は、日焼け止めに含まれる注意すべき成分が表示されると、写真を撮ったり、熱心にメモしていました。

【日焼け止めで注意すべき成分】

紫外線吸収剤
・オキシベンゾン
・オクチノキサート(=メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)

合成防腐剤
・パラベン

 講座の後半では、「気候危機と私たち」と題して、世界の平均気温が高くなると食糧難や災害が増えることを解説。2023年12月に神奈川県で23℃を記録し、その異常気象が現実に起きていることを改めて共有しました。
 また、Romiさんが神奈川県から小笠原諸島の父島までを2週間かけてヨットで航海した「太平洋ヨット航海プロジェクト」のお話では、リアルな体験談として受講者から驚きや感嘆の声が聞こえました。航海中には、トビウオやカツオドリ、ツバメなどの生き物との出会いがあった一方で、波で揺れる足場での食事づくりや、夜間の交代での見張り(ワッチ)は過酷な環境でした。船員とのコミュニケーションはとても重要で、「イエス・ノー」をはっきり伝えないと命に関わる事態になるといいます。海という広大な自然と共生する醍醐味など、詳しくは下部のリンク(Instagram)で紹介されています。

サンゴの世界と私たち展

 港区立エコプラザでは、サンゴのこと、海の未来を考えてもらうため、5月2日~19日の間、サンゴにまつわるパネル展示と海の生き物たちの骨や貝なども展示されました。

港区立エコプラザの事業・企画広報の粟野いづみさんとRomiさん(左から)

 展示物は、マッコウクジラの骨、ウミガメの甲羅、イルカの脊髄など、見たことのない天然の造形物に改めて自然の偉大さを感じます。学校の授業でウミガメを調べている、小学4年生の児童は、目を輝かせて1つ1つを手に取り、じっくりと観察していました。

ウミガメの甲羅

トゲクサビライシ(サンゴ礁にくっついていない、単体性のサンゴ)

shiina

ここからは、年間170本以上の展示やイベントを開催する港区立エコプラザに迫るよ!


港区立エコプラザでできること

 港区立エコプラザは、JR浜松町駅から徒歩4分。大都会のビル群に位置しながら、建物に一歩踏み入れると木の香りとぬくもりに包まれます。木材は、港区とあきる野市の交流による間伐材がふんだんに使われています。

2階が吹き抜けで、解放感が抜群

 同施設は2008年開館から指定管理者制度を導入し、民間事業者が運営しています。年間の利用者数は約7万人(2023年度)です。午前中は近隣にお住まいの方、昼休みにはお勤めの方、夕方以降は学校帰りの小中学生や保育園帰りの親子などが訪れます。
 1階では、定期開催する展示や講座のほか、環境に関する図書1,300冊を閲覧することができます。保護者からは体験と学びを両立した講座にニーズがあり、子ども自然教室やモノづくりのワークショップが人気です。イベントは6名の企画担当者で、毎月10本程度を実施しています。
 事業・企画広報の粟野いづみさんは「環境問題は刻一刻と変化するので、同じ講師の方に依頼する際も前回と少し内容を変えてもらっています」と多様な講座を開く秘訣を語ります。
 東西の2か所の出入口にはビオトープがあり、子どもたちが定期的に自然観察や体験する活動の場となっています。キンカン、ブドウ、ブラックベリーなど、生物多様性が育まれる環境が管理されています。

子どもたちと職員で整備するビオトープ

館内にも緑がいっぱい

 3階には会議室があり、港区で環境保全に関して活動する団体ならば無料で利用することができます。現在、約18のグループが利用登録していますが、利用者募集中とのことです。仲間と一緒に環境のことを考えてみませんか?


■港区立エコプラザ
東京都港区浜松町1-13-1
開館時間 9:30-20:00
休館日  毎月第4月曜日 ※第4月曜日が祝日の場合はその翌日
     年末年始(12/29-1/3)

関連リンク

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本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。