トップページ > みどり東京レター > 生ごみを発酵させたガスで発電 ―町田市 「町田市バイオエネルギーセンター施設見学」に密着!
みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度更新しています。ぜひご一読ください。
2024.08.20
バイオガスを学べる「スゴラボ」
毎週火曜・木曜日に一般見学を開催。予約制。
町田市バイオエネルギーセンターは、東日本で初めて
ごみ処理施設の一部にバイオガス化施設を導入したよ!
生ごみの発酵で発生したメタンガスを利用して発電するんだ!
梅雨明けをためらって迷っているような、薄い曇が空に広がる昼下がり。町田駅からバスに揺られて、25分ほどで「町田市バイオエネルギーセンター」に到着しました。バイオガス化施設に興味津々の9名と一緒に、いざ施設見学の始まりです。今回は、私立の中学校・高等学校の理科の教員と、都内でプラスチックフリーのお店を営むご家族が参加されていました。予約をすれば、誰でも見学でき、同センターの来場者数は2022年1月開設から2024年5月に1万人を突破しました。幼稚園・保育園~大学まで、団体の見学も受け入れています。
まずは、講義とDVDで、施設の概要や家庭での分別の大切さ、3R(リデュース・リユース・リサイクル)などを勉強しました。ごみ処理場では、火災が発生することは珍しくありません。その原因は、燃やせるごみや燃やせないごみの中に、スプレー缶や充電式電池(リチウムイオン電池)が紛れているためです。「よくわからないから」という理由で適当に捨てているものが火災や事故につながります。同センターには、ごみをためるピットやごみを運ぶコンベヤに火災の爪痕が残っており、現場にいた職員の方は振り返って「怖かった」と話していました。電池はビニールテープで絶縁して有害ごみに出すなど、各自治体の分別方法に従って廃棄しましょう。
DVDでは登場するオリジナルキャラクターにほっこりしながら、大人も子どももわかりやすく学べます。
小学4年生を対象に制作された15分間のDVD
同センターのごみ処理機能を大きく分けると、「熱回収施設(焼却施設)」「不燃粗大ごみ処理施設」「乾式メタン発酵施設(バイオガス化施設)」の3つになります。可燃ごみや不燃ごみを処理する機能にプラスして、生ごみを発酵させたメタンガスで発電する設備が新たに導入されています。
このバイオガス化施設は、焼却施設の蒸気タービン発電と合わせて、施設の電力消費の全量を賄い、余剰電力は売電のほか鶴見川クリーンセンター(下水処理施設)で利用されます。また、災害時に電力供給する体制も整えています。発電量は1日あたり、最大約150,000kwh (約14,000世帯分)の電力を賄える計算になります。
町田市とごみの歩みがわかる「ごみの年表」
見学は、工場模型とごみ年表からスタート。案内してくれたのは、町田市環境資源部循環型施設管理課の伊藤徳仁さんです。過去には旧焼却工場プラントの運転を監視していたこともあり、町田市のごみ事情にとても詳しく、わかりやすく説明してくださいました。年表では、町田市の歴史とともに、ごみの種類や量が大きく変遷していることがわかります。ここから、不燃・粗大ごみ→燃やせるごみ→バイオガス化の順で、施設内を見て回りました。
ごみのことを学べる体験型学習を写真つきでご紹介していきます。
【分別マスタークイズ】
町田市の分別方法がどちらかを選ぶクイズが出題されます。正解だと思う選択肢A・Bに移動して答えよう。
大人でも悩んでしまうような難問も
【ファイヤーロード】
焼却がどのように行われているかを疑似体験。壁の大スクリーンの前に一列に並び、よく燃えるように手を振り上げて風を送ろう。
皆で空気を送って燃やそう
がんばって手であおぐ参加者
【チャレンジ3Rタップ!】
まちがごみでいっぱいになるのを阻止するゲームです。ゆれ動くボールのような選択肢の中から制限時間内に3Rを選ぼう!
力を合わせて、正しい3Rをタッチ!
「まちだごみ博士になろう」
タッチパネルのテーブルで、クイズやごみの投票などのコンテンツを楽しめます。乾電池の捨て方は何だったっけ?
置いた物によってクイズが変わる
いよいよバイオガス化施設の実態に迫るよ!
バイオガスとは、微生物の力を使ってえさ(生ごみなど)から発生するガスのことです。「メタン」という燃えやすい気体が約50~60%含まれており、発電や熱の供給などエネルギーとして利用することができます。
銀色のタンクが発酵槽
エネルギーを生み出すまでには時間がかかります。ごみ収集の段階では様々なものと混ざっている中から生ごみを取り出し、「発酵槽」と呼ばれるメタン菌の活動場所に運びます。メタン菌は約55℃に保たれている発酵槽の中で、約20日間かけてバイオガスを発生させます。1日に約50トンの生ごみを処理する能力を備えています。
メタン菌のメタぼうとメタまるがわかりやすく解説
こうしてバイオガスから発電すると、石油などの化石燃料から発電するより、温暖化の原因となる二酸化炭素を排出する量を減らすことができます。案内の伊藤さんは「ただのごみからエネルギーを創り出せるバイオガスは、万能に見えますが、何よりもごみを出さない行動を心掛けることが大切」とごみ処理の根本を説いてくださいました。
参加者は「バイオガスについて勉強になった」「生ごみのたい肥化だけでは、資源を循環させるのに限界があるので、自分の居住地にもバイオガス化施設を作りたい」と意欲的な感想を述べていました。
併設されているリユースショップは、町田市内全域から収集された粗大ごみを修理・再生し、販売している専門のお店です。お値打ち価格の家具や楽器がずらりと並んでいます。
ようこそ!まちエコ
営業は同センターと異なり、月曜日~日曜日10:00~16:30、休日は祝日と年末年始(12月29日~1月3日)です。
背後に煙突がそびえる町田市バイオエネルギーセンター
町田市では、新しいごみ処理施設の建設に向けて、2006年に134名の市民委員が参加する「ごみゼロ市民会議」を立ち上げました。「ごみになるものを作らない・燃やさない・埋め立てない」という基本理念のもとに、ごみの減量資源化の方策などが提言され、2011年4月にバイオガス化施設の導入を含む「町田市一般廃棄物資源化基本計画」を策定しました。
生ごみを燃やさずに減量するバイオガス化施設は、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、全国規模で電力不足に直面し、エネルギーの安定供給が求められる中で、再生可能エネルギーを安定して回収できる理想的な施設でした。
こうした経過を経て、東日本初のごみ焼却施設と併設するバイオガス化施設が2022年に誕生しました。緑地広場やスポーツ公園、温浴施設が併設され、今後はビンや缶、プラスチックなどの資源化を推進する施設の建設も計画しています。
■町田市バイオエネルギーセンター
〒194-0202 東京都町田市下小山田町3160
開館時間 8:30-22:00(毎月第2月曜日は17:00まで)
施設見学 火・木曜日(祝日、12月29日から1月3日を除く)
午後1時30分から午後3時
団体見学は別途対応
見学受付 042-797-2732
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
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