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 みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度更新しています。ぜひご一読ください。

2024.09.20

第52号「中央区の森」で自然にひたろう!――中央区環境学習事業「檜原村自然体験ツアー」

檜原村数馬地区にある「中央区の森」。スギ、ヒノキ中心の二次林は、立木の枝打ちや間伐、下草刈りなどの森林整備が行われ、木漏れ日がさす心地よい空間になっています。

檜原村数馬地区にある「中央区の森」。スギ、ヒノキ中心の二次林は、立木の枝打ちや間伐、下草刈りなどの森林整備が行われ、木漏れ日がさす心地よい空間になっています。


檜原村自然体験ツアー 川で魚のつかみ取りをしよう!

開催日時
令和6年8月5日(月)
開催場所
檜原村内「中央区の森(数馬地区)」、檜原温泉センター数馬の湯
主催
中央区
参加者
23名

shiina

同じ東京都内なのに、こんな森が
残されているなんて、なんだか不思議だな!

「中央区の森」を歩こう!

 都心では猛暑が続く8月5日(月)、濃い緑に覆われた檜原村数馬地区にある「中央区の森」で、中央区在住・在学の小学生とその保護者を対象とした「檜原村自然体験ツアー」が開催されました。
 朝7時30分に中央区役所前を出発したバスは、10時頃に「中央区の森(数馬地区)」入口に到着、現地は秋川渓谷の中でも源流域に近く、標高630m前後で、緑も一段と濃くさわやかです。3時間近くバスに揺られた参加者は、涼しく静寂な空気に包まれて一息ついていました。
 中央区では、令和6年度内に15回の自然体験ツアーを計画していて、この日は「中央区の森」の散策から秋川での川遊びと魚のつかみ捕り、温泉センター数馬の湯での貸切入浴と盛りだくさんのイベントが予定されました。

バスを降り、山の空気に触れてホッとした様子の参加者たち。あちこちから「涼しい」という声が聞こえてきました。

バスを降り、山の空気に触れてホッとした様子の参加者たち。あちこちから「涼しい」という声が聞こえてきました。

自然散策の前にNPO法人自然再生塾の代表大久保一自さんから、安全な山歩きのための注意を聞きました。
この季節はスズメバチやアブなど刺されると危険な虫もいますが、騒がずじっとしていれば刺されないと自然の中で安全に過ごすコツなども教わりました。

自然散策の前にNPO法人自然再生塾の代表大久保一自さんから、安全な山歩きのための注意を聞きました。
道路沿いに立てられた「中央区の森」の標識。

道路沿いに立てられた「中央区の森」の標識。このすぐ下に散策路の入り口があり、よく整備された山道を登って森林を散策できるようになっています。

命に必要なものは森が作り出しているんだよ

 「中央区の森」入り口から300mほど散策路を登ったところに炭焼き小屋がありました。ここでは今でも森から切り出した木を使って炭焼きを行っています。大久保さんから炭焼きのやり方を説明してもらい、作業の大変さを実感しました。
 大久保さんが「人間にとって大事なものは何だろう?」と子どもたちに問いかけると、子どもたちからは「命」という答えが返ってきました。
 すかさず「じゃあ、その命を支えているのは?」と問いかける大久保さんに、「水」「空気」と子どもたちから答えが返ってきました。
 大久保さんは、「その大切な水や空気を作り出しているのは森の木々だよ」と続けます。木々がCO2を取り込んで酸素を作っていること、森の土が雨水を貯めてきれいにしたり、降った雨水を吸い込んで水の流れを抑えてくれたりしていることなどを丁寧に説明していました。

懐中電灯で暗い炭焼き窯の中を照らして見せてもらいました。

懐中電灯で暗い炭焼き窯の中を照らして見せてもらいました。窯の中に1本ずつ丸太を並べたあと、灰で蓋をして蒸し焼きにして炭ができることを教わりました。

炭焼き小屋の裏に回り、煙出しの穴を発見した子どもたちから、その役割について質問が出ました。
煙の色や量、においなどで、炭の焼け具合を知る手がかりにしているという説明に感心した子どもたちでした。

炭焼き小屋の裏に回り、煙出しの穴を発見した子どもたちから、その役割について質問が出ました。
檜原温泉センター数馬の湯。

檜原温泉センター数馬の湯。この日の昼食や休憩の場所となり、川遊びのあとはゆっくりと温泉につかりました。

渓流の水の冷たさを実感

 森を下りて、バスで檜原温泉センター「数馬の湯」に移動して、お昼をとったあと、午後からは川に入れる格好に着替えて、すぐ近くを流れる秋川源流で川遊びをしました。参加者に川遊びの経験を聞いたところ、経験したことがあるのは1人だけでした。
 渓流の水は思いの外冷たく、流れる水の圧力も強かったためか、最初は川に入るのに勇気がいるようでしたが、皆すぐに慣れて、水中眼鏡や水鉄砲などを手に川遊びを楽しみはじめました。

ほとんどの参加者がはじめはスタッフの手を借りて流れの速さや水の冷たさを確認するように慎重に川に入っていきました。

ほとんどの参加者がはじめはスタッフの手を借りて流れの速さや水の冷たさを確認するように慎重に川に入っていきました。

川に入ってしばらくすると全員が川の流れに慣れ、用意されていた水中眼鏡や水鉄砲、浮き輪などを使って川遊びを楽しみました。

川に入ってしばらくすると全員が川の流れに慣れ、用意されていた水中眼鏡や水鉄砲、浮き輪などを使って川遊びを楽しみました。

 しばらく川で遊んだ後、いったん川から上がってスタッフが用意したヤマメの塩焼きをいただきました。新鮮な魚の塩焼きは身がふわふわで、皮ごとかぶりついて感触を楽しんでいるようでした。
 体が温まった後は、川の中に作った囲いの中に放した魚のつかみ捕りに挑戦しました。皆初めての体験を楽しみながら、すばしっこく逃げ回る魚を追いかけて、目を輝かせていました。

川から上がると、炭火を使ったヤマメの塩焼きが準備されていました。

川から上がると、炭火を使ったヤマメの塩焼きが準備されていました。

初めての魚の塩焼きの丸かじりで、ほとんどの参加者は尻尾まで食べ尽くし、中には頭からかぶりついて味わう姿も見られました。

初めての魚の塩焼きの丸かじりで、ほとんどの参加者は尻尾まで食べ尽くし、中には頭からかぶりついて味わう姿も見られました。
ヤマメの塩焼きを食べて温まった後は、再び川に入って、魚のつかみ捕りに挑戦。

ヤマメの塩焼きを食べて温まった後は、再び川に入って、魚のつかみ捕りに挑戦。
岩の下に逃げ込んだ魚を競って追い詰めます。水中を素早く逃げる魚と粘り強く追いかける子どもたちの攻防が続きました。

自然を体験し、森林保全を学ぶ

 「中央区の森」の森林保全活動は、地球温暖化を防ぎ温室効果ガスの排出を抑えるため、平成18年に始まりました。檜原村と協定を締結し行政区域を超えて区と区民、事業者の連携によりCO2の吸収源となる森林を荒廃から守り、育てることを目的としています。森林の整備は檜原村に拠点を置く認定NPO法人里山再生塾が中心となって実施、中央区はその活動資金の助成を行っています。
 一方で、「中央区の森」を環境学習の場として活用するために、さまざまな環境イベントを里山再生塾とともに企画し、実施しています。また自然体験ツアーとともに、間伐材の利活用にも力を入れていて、中央区内の公園のベンチや図書館の什器に活用したり、木製玩具の工作キットを製作して環境イベントでワークショップを実施したりと、幅広い活動を行っています。
 こうした取り組みを通じて、森林の保全や自然・生物に対する区民の理解が進むとともに、檜原村という同じ東京都内に残された貴重な森林が、区民にとってより身近な存在になっていくのではないでしょうか。

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本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。