トップページ > みどり東京レター > 四季折々の風景の一瞬を伝える ――奥多摩町「第40回ふるさと奥多摩写真コンクール」
みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度更新しています。ぜひご一読ください。
2024.11.14
ふるさと奥多摩写真コンクール展示会(奥多摩文化会館一階ロビーで)
【賞】
推薦1名(賞状・楯・副賞・賞金3万円)
特選2名(賞状・楯・副賞・賞金1万円)
奥多摩町長賞(賞状・楯・副賞)
奥多摩観光協会長賞(賞状・楯・副賞)
写真コンクール審査会長賞(賞状・楯・副賞)
入選7名(賞状・楯・副賞)
デジカメが普及する前のフィルムカメラの時代から
続いているコンクールだよ!
濃い空気が迫ってくるような新緑の木々。霧が沸き立つ渓谷。水面に反射する陽の光がきらめく湖面。紅く燃ゆる山肌。氷雪の滝。四季折々の一瞬を切り取った写真は、人の心を大地に還らせます。
ふるさと奥多摩写真コンクールが始まったのは1984年。開催当初から奥多摩の季節の風景をテーマとして掲げ、奥多摩らしい渓谷と紅葉、新緑などが被写体として扱われ、令和6年度に第40回を迎えました。奥多摩町には獅子舞などの郷土芸能もあり、自然の中の営みも対象としています。
応募作品は入賞作品を中心に、(一社)奥多摩観光協会が発行するカレンダー「奥多摩の歳時記」や町のPRチラシに採用されます。カレンダーは毎年、同協会が奥多摩駅前で約500部を販売し、売り切れる人気ぶりです。町役場には「今年はいつ頃、販売するの?」と問い合わせがあるほど、楽しみにしている方も多く、地域に根付いています。
カレンダー「奥多摩の歳時記」
第40回となった令和6年度の応募点数は28点。13ある賞の10賞の審査を務めるのは、地元の「おくたま彩然会」の方々です。平均年齢80歳を超える、経験豊富な写真家が、入賞作品を互選と話し合いで選びます。審査のポイントは、奥多摩の四季を感じ、町民でも知らない目新しい着眼点や構図だといいます。
同会の小川正人代表は「最終的に町の観光PRに使われるため、行ってみたい!と思うような第一印象も大切に選んでいます」と話します。近年はデジタルカメラの普及によって、画像を加工できることから、応募作品の中には紅葉などの色が不自然なこともありますが、できるだけ自然な色味の写真を選んでいるそうです。
ここからは、純粋なありのままの自然を切り取った第40回の入賞作品を見ていきましょう。
第40回ふるさと奥多摩写真コンクール上位3作品
【推薦】「色づく大丹波渓谷」 内野隆造
最上位の賞に当たる「推薦」に選ばれたのは、内野隆造さんの「色づく大丹波渓谷」。グラデーションを描く紅葉と緑のコントラスト、清流の流れ、奥行きを感じられる渓谷の自然を切り取った1枚。奥茶屋キャンプ場付近の少し観光地から外れた場所で撮影されました。苔むしたごつごつとした岩と傾斜のある地形が、人があまり入っていない手つかずの自然を想起させます。
【特選】「元栖神社の獅子舞」 鈴木保信
「特選」の一つに選ばれたのは、鈴木保信さんの「元栖(もとす)神社の獅子舞」。奥多摩町は、郷土芸能が慣習として続いており、14地区で毎年初夏から秋にかけて、五穀豊穣や無病息災を願って獅子舞やおはやしが行なわれています。その中の一つ、白丸の獅子舞を写した1枚。躍動感ある3匹の獅子とそれを囲む4人の花笠を見事に捉えています。
【特選】「厳冬の滝」 青木聖一
もう一つの「特選」は、青木聖一さんの「厳冬の滝」。雪景色の中に繊細な白糸が流れ落ちる水のしぶき。見る者にひんやりと凍える温度感を伝えるとともに、時を切り取った一瞬の切なさ。動かない石像のように、あの日流れていたことを忘れさせる“止まった時間”を意識させます。
応募者は60~80代の男性が多く、入選者は町外在住の方が多いといいます。奥多摩の魅力と写真コンクールへの思いを伺いました。
内野隆造さん(東大和市) SNSで気軽に写真を共有して、多くの人に見てもらえる時代ですが、撮影の熟練者が数ある中から吟味して、賞に選ばれることはまたとない機会です。さらには、自身の作品がカレンダーやチラシになるのは名誉であり、写真の腕に自信もつきます。
近年は、地球温暖化(気候変動)の影響で紅葉の色づき方が一様でなかったり、野生動物が里に下りてきていることで柿などの実のなる木が減っていたりと、常に自然環境は変化しています。そう思うと、今ある奥多摩の風景を写真におさめることも素敵に感じられるのではないでしょうか。
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