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2017.08.01

第38回神津島村:手を加えなければ草で覆われ荒れた印象を与える場所を、緑化整備して、島民や観光客にとって心地よい癒しの空間を創り出す(神津島村緑化推進事業)

 「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」の助成金を活用した都内62市区町村の環境事業の取り組み状況について順番に紹介する「環境事業紹介」のコーナー。
 第38回は、神津島村の緑化推進事業について紹介します。道路脇のスペースや観光地の一角に花壇を設置して、四季折々の花を植え、島民や観光客に心地よい癒しの空間を与えています。
 事業の概要及びねらいについて、担当者のお話を伺いました。ぜひ、ご一読ください。

 ※本記事の内容は、2017年7月掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

黒潮が流れる透き通った海に囲まれ、花の百名山にも選ばれた天上山が聳(そび)える神津島

 神津島は、太平洋に浮かぶ伊豆諸島の島。東京本土からは南に約180km。面積約18.87km2の島内には人口約1900人が住んでいる。
 神津島に渡るには、竹芝桟橋から大型客船やジェット船に乗るか、静岡県下田港から出航するフェリーで海路を行くか、または調布市の調布飛行場からプロペラ機も飛んでいる。
 狭すぎず広すぎない生活圏のため、島内は徒歩だけでも十分生活可能だが、定期船が入港する2つの港のうちの1つは歩いていくには遠いため、原付バイクや軽自動車があると便利だ。坂が多く、塩害もあるため自転車や電動アシスト自転車に乗る人はほとんどいないという。
 黒潮が流れる透き通った海と、花の百名山にも選ばれた天上山(てんじょうさん)、夜には満点の星空など豊かな自然が島の特徴だ。

きれいな海が特徴の前浜海岸。

きれいな海が特徴の前浜海岸。

天上山の不動池。水深によってハート形に見えることがある。

天上山の不動池。水深によってハート形に見えることがある。

村道14号線脇のスペースや観光地の一角に花壇を設置

 そんな神津島で緑化事業が始まったのは平成24年のこと。村道14号線沿い、前浜漁港から望める岩壁の根元にぽっかりと穴をあけた「えんま洞」の前や近くの公衆トイレ前に植栽しているほか、神津島灯台や沢尻湾フォトスタンド広場、ありま展望台、船客待合所(まっちゃーれセンター)などの観光スポットに花壇を設置して、四季折々の花を植えている。
 「島内には自然が多く残るものの、住民と自然とのふれあい機会は意外に多くはありません。緑化事業を行うことで、緑に興味を持ってもらったり、島の自然にふれあう機会を増やしたりするのが、この事業の目的です」
 そう説明するのは、神津島村の地域おこし協力隊員の一人、中村圭さん。島生まれの地元っ子で、2015年11月から、観光活性化として村役場ホームページやブログの更新、facebookやTwitter、instagramなどSNSを活用して、島の自然など観光情報を発信している。

えんま洞前の花壇。
えんま洞前の花壇。

えんま洞前の花壇。

地域を変える力になるために ──地域おこし協力隊

 地域おこし協力隊は、平成21年度から総務省が進めている事業で、概ね1年以上3年以下の期間、地方自治体の委嘱を受けて、地域で生活し、各種の地域協力活動を行う。人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度だ。総務省の統計によると、平成28年度には全国11都道府県及び875市町村で、3,978人の地域おこし協力隊が活動したと報告されている。

 中村さんは、中学卒業まで神津島で育ち、本土の高校と大学、都内の企業勤務を経て、地元に戻ってきた。
 「“何もない!”と言われる島ですが、海、山、空、雲、星、夕日、歴史、文化、行事、島人などなど、見えてくるものはたくさんあります。能動的に見ようと思って色々と探し始めれば、楽しさがいっぱいに見つかり楽しめる島なので、島を見てくれる方を増やすようにしていきたいです!」
 そんな思いで、島に脈々と受け継がれてきた自然と伝統をつないでいきたいと意気込む。
 緑化事業も、そのためのきっかけの一つとして位置づけられている。

海に浮島を設置。役場の職員と一致協力して地域おこしの活動に従事。

海に浮島を設置。役場の職員と一致協力して地域おこしの活動に従事。

同じ地域おこし協力隊の小林隊員は、学童の立ち上げに携わった。

同じ地域おこし協力隊の小林隊員は、学童の立ち上げに携わった。

一定の場所に毎年違う種類の花を植えることで、住民も心待ちにしてくれるようになった

 緑化事業は、5月と12月の年2回、神津島村シルバー人材センターに委託して植え付けをしている。その他、年5回ほどの維持管理作業として、植え替えや草刈り、管理作業(水やり等)も行っている。
 春にはベゴニア、メランポ、アゲラタム、インパチェンス、バーベナ、ケイトウなど1400本、また冬にビオラ、パンジー、カザニアなど300本の花を植えている。業者と連絡を取りながら、夏季は日光に強い花、冬季は風に強い花が咲くように苗の選別を行っている。
 円形花壇は、島ならではの潮風の影響等を考慮し、なるべく外側が低く、内側が高くなるように植え付けするなど工夫しているという。

 「村道14号線は比較的平坦な道路のため、徒歩や自転車で通行する観光客も多く、花があるだけで華やいで見えます。一定の場所を毎年整備することで、植栽を心待ちにしてくれる住民も年々増えています。一方で、毎回種類の違う花を植え付けるので、どんな花が植えられるか、とても楽しみにしているという声も届きます。多くの方が通る場所を整備でき、観光地としてのイメージアップもでき、住民の皆さんも花を見て喜んでSNSにアップロードするなど、緑化を進めたからこそ感じられるうれしさがあります」
 そんなところに緑化事業の効果がある。今後もこの楽しみの提供を継続して、小さいながらも大切な集いの場として活用してもらいたいと中村さんは紹介する。

四季折々で彩りを変える花壇。
四季折々で彩りを変える花壇。

四季折々で彩りを変える花壇。


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