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2013.09.02

第37回「“モニタリング調査”と“保全活動”を一体として、横沢入の湿地生態系を守る(横沢入里山管理市民協議会)」

“モニタリング調査”と“保全活動”が一体となって守られている、横沢入の湿地生態系

 こうしたモニタリング調査は、湿地の保全活動を計画・実行する上で欠かせないデータとなる。
 保全活動は、例えば湿地の復元作業がある。かつて棚田がつくられていた谷戸も、長年放棄されてきたことで、乾燥化して陸地化が進行している。畔が崩れて、水が溜められなくなって、植生が遷移しているのだ。そこで、水田跡に積もった土砂をスコップでかき出し周囲に積んで畔を復元する。水の流出が押しとどめられると、たちまち水がたまって、湿地性の動植物の生息・生育環境ができる。
 保全地域内を流れる横沢川本流の河床保護のため、大雨時の雨水と土砂を引き入れる遊砂地の定期的な浚渫(しゅんせつ)作業も毎年冬の恒例作業になっている。
 草刈り作業はさまざまなところで実施している。乾燥化してきた湿地帯に繁茂する植物を刈り払って陸地化の進行を抑制したり、外来植物を根っこから抜き取って駆除したり、水路や沢を覆うように伸びてくる草を刈りトンボやホタルなど水面を好む生物の生息環境を整えたりしている。7月の共同作業日には、水路を覆うように繁茂しているヨシなどの草を刈り取って、水面を露出させる作業に勤しんだ。エンジン付き刈り払い機や鎌で草を伐って、レーキやフォークで寄せ集めてひとところにまとめる。草が伸びる夏の日の作業だから、体力も消耗する。作業は午前中で終わらせて、午後は鎌砥ぎなど道具の手入れに当てている。

7月の共同作業日には、ヨシの刈り払いをして、水路の水面を露出させた。上は作業前、下がほぼ作業終了時の様子。

7月の共同作業日には、ヨシの刈り払いをして、水路の水面を露出させた。上は作業前、下がほぼ作業終了時の様子。


7月の共同作業日には、ヨシの刈り払いをして、水路の水面を露出させた。上は作業前、下がほぼ作業終了時の様子。

7月の共同作業日には、ヨシの刈り払いをして、水路の水面を露出させた。上は作業前、下がほぼ作業終了時の様子。

 7月の共同作業日には、ヨシの刈り払いをして、水路の水面を露出させた。上は作業前、下がほぼ作業終了時の様子。

日付 午前の活動 午後の活動
2012.4.20 中央南側湿地ヨシ抜き セイヨウタンポポ・セリバヒエンソウの駆除
2013.5.18 下の川のヨシ抜き セリバヒエンソウ等の駆除
2013.6.9 ホタル調査ルートの草刈り
2013.6.15 オオブタクサ抜き取り カナムグラの根抜き駆除
2013.7.20 下流部横断水路の草刈り 鎌、ノコギリ手入れ
2013.8.17 オオブタクサ刈り取り 猛暑のため午後はなし
2013.9.21 中央南側湿地草刈り 水生生物調査とザリガニ駆除
2013.10.19 下の川湿地草刈り カヤネズミ調査のための研修
2013.11.16 カヤネズミ調査 午後も調査継続
2013.12.21 遊砂地の草刈り (未定)
2014.1.18 宮田西沢奥の倒木整理 (未定)
2014.2.15 遊砂地の浚渫 (未定)
2014.3.14 本流・下の沢合流点周辺の草刈り・ヤブ払い (未定)

【表】2013年度の年間作業計画。毎月第3土曜日、午後10時に集合して作業を開始する。横沢入里山管理市民協議会は、横沢入で活動する緑地保全登録団体の一つでもあり、同時にすべての緑地保全登録団体が加盟する協議会でもある。

 こうしたモニタリング調査と保全作業の一体的な計画・実施をしていくことで、湿地生態系の状態を常に把握し、作業の影響と効果を測っていくことができる。計画の進捗状況の点検と見直しを行いながら、保全活動を進めていく、このような管理手法を「順応的管理」【4】と呼ぶ。
 作業が自己目的化してしまうと、身体を動かしてよい汗をかいても、当人の健康管理に役立つだけで、自己満足にしかならない。藪を刈り払ってすっきりしたと満足したのが、実はある生物にとって重要な生息環境を破壊してしまっている可能性もある。まわりに似たような環境がたくさん残っていれば影響も少ないかもしれないが、横沢入はまわりが開発されていった中で残された貴重な湿地生態系が残る、いわば“最後の聖地”といえるから、そこで消えることは東京からの絶滅につながる可能性もある。
 そんな責任と覚悟を負いながら、横沢入を舞台にした湿地生態系保全の取り組みは今日もまた続く。


注釈

【4】順応的管理(Adaptive Management)
 不確実性を伴う対象を取り扱うための考え方・システムで、特に野生生物や生態系の保護管理に用いられる。
 例えば、野生生物保護管理の対象は、(1)基本的な情報が得られない不確実な系であり、(2)絶えず変動し得る非定常系であり、(3)境界がはっきりしない解放系である。そのため、当初の予測がはずれる事態が起こり得ることを、あらかじめ管理システムに組み込み、常にモニタリングを行いながらその結果に合わせて対応を変えるフィードバック管理(順応性)が必須となる。また、施策は多くの場合リスクを伴うので、その説明責任を果たす義務も必要となる。順応性と説明責任を備えた管理を順応的管理と言うが、その実施にあたっては合意形成の努力も必要となる。

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