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2013.11.05

第41回「電力消費量の“見える化”と省エネアドバイスで、区全体のCO2排出量削減を目指す ~省エネナビモニター事業の取り組み(練馬区地球温暖化対策地域協議会)」

試行錯誤しながら、設計してきたモニター事業

記念品のワットモニター 記念品のソーラーLEDライト

モニターとして協力してくれたご家庭には、ワットモニター(左)やソーラーLEDライト(右)を記念品として贈呈。

 3年目を迎えるモニター事業は、毎年少しずつやり方を変えながら試行錯誤を繰り返してきた。
 初年度は、震災直後に開始することになったこともあり、まずは夏の省エネについて取り組もうと、7~9月の3か月間をモニター期間として設定した。終了後、冬季モニターを新たに募集して、11月~2月まで計測することになったが、全般的に夏季よりも冬季の方がエネルギー使用量が高まる傾向が見られた。震災直後の節電呼びかけが声高かったせいなのか、夏季と冬季との違いなのかを評価するためにも、平成24年度は夏から冬にかけて同じモニターに継続して計測をお願いすることにした。
 データ処理の部分も、訪問から計測データの資料化、データの分析など全行程を担当委員が担ったことで、時間がかかるとともに負担も大きくなっていた。平成24年度からは資料化等の一部作業を委託して、事業の効率化を図っている。

 また子機を使って、個々の家電製品の電力消費量の計測及び機種等の違いによる比較なども行ってきたが、家電製品のコンセントにはさんで設置するため、取り外しや付け替えも容易だ。モニター宅によってはいろんな家電製品の消費電力を測定してみたいと頻繁に付け替えてしまうこともあり、継続的なデータの取得や比較検証のためのデータ取得に支障をきたすことになった。終了後のプレゼントとしてモニター世帯に差し上げていたワットモニター【3】と呼ばれる簡易型電力量表示器を、25年度は事前に、「自分で測りたいものは、これで測ってみてください」とお渡しした。モニター世帯によっては、子どもの夏休みの自由研究に使ったりして活用しているという。家庭で自由に好きな家電に付け替えて使ってもらうワットモニターと、モニター事業の中で継続や比較のためのデータ蓄積を行う子機と、「同じ電力の見える化」でも使い分けられるようにする工夫だ。

電力消費量の“見える化”によって発覚した家電製品の不具合・トラブル

 モニターとしてデータを計測していたことで、家電製品の不具合が判明したケースもあった。初年度の冬季モニターのときに、1軒だけ電力消費量が増加した世帯があった。エアコンを使用しても、まったく暖まらなかったからガンガン温度を上げ続けて使用していたという。委員の提案で業者を呼んでみたところ、フロンが抜けていたためだということがわかった。
 また、25年度のモニターの中に、電気式の床暖房を設置している世帯があった。床面を3分割して暖房面積を切り替えるうちの真ん中だけをONにしているのに、全面が暖まってしまい、温水器の湯切れも多いとの話を訪問調査の際のヒアリングで聞いた。委員に相談すると、「それはおかしいから施工担当の者を派遣してみてはどうか」とのアドバイスをくれた。そこで、モニター世帯の了解を得て確認したところ、配管バルブの緩みが見つかった。
 「モニター世帯にとっては、専門業者がバックについて、わが家の省エネを支援してくれているようなものです。23年度のエアコンにしても、今回の床暖房にしても、自分では気付かなかった、もしくはおかしいと思っていたものの、業者を呼んで確認するまでもないと思っていたようなことが解決したという事例です。使用しているのに効果が出ていない、もしくは使用しているつもりがないのに使用していたという、非効率的な使用実態が浮き彫りになっていくのも、見える化の効果の一つといえます」
 『ねり☆エコ』の会員団体には、エネルギー事業者も参加しているから、専門的知見の中で対応することができるわけだ。

平成23年度モニター/夏季

平成23年度モニター/冬季

平成23年度モニター(上図が夏季、下図は冬季)の前年比削減比率と合計電力使用量を示したグラフ。


 平成23年度モニターの結果を取りまとめたグラフを見ると明らかなように、この年は前年比で30%以上の削減効果を示した家庭が10件中3件にのぼった。逆に、あまり減少率が高くなかった家庭は、すでに省エネの取り組みをしている家庭だったといえる。そういう家庭がさらに絞って工夫を凝らして取り組んだということも見えてきた。
 「まったく考えていなかった家はドンと減るんです。よくこれだけ減らしたなと思うくらいですが、何も考えずに電気を使い放題だったのが、節電しなきゃとエアコンを止めたり窓を開けたりといろんな取り組みをしてくれました。それと、IHを使っているご家庭の削減率が高かったですね。熱源のエネルギーを電気からガスに変えることや、IHの火力を調整する適正な使用方法をアドバイスして、さがったところもありました」
 特にお子さんがいる家庭では、お子さんが率先して熱心に取り組むケースも多かったという。

話をお伺いした、『ねり☆エコ』事務局の斉藤祥司さん(公益財団法人練馬区環境まちづくり公社)。
話をお伺いした、『ねり☆エコ』事務局の斉藤祥司さん(公益財団法人練馬区環境まちづくり公社)。

 最終年度を迎えた省エネナビモニター事業は、これまでの成果を生かしつつ、翌年度からは貸出事業に移行していくことになる。その後、『ねり☆エコ』としての調査・啓発事業をどう設計していくかは、今のところまだ白紙の状態だが、一つ事務局案として構想していることがあると、事務局の斉藤さんが紹介してくれた。
 「昨年度、区役所の補助で太陽光発電設備を取り付けた家庭が500軒ほどあり、その意識調査を現在、区からの補助事業の一つとして実施しているところです。太陽光発電を付けようと思った動機や、設置前後の意識の変化、発電・売電量の実績などを調べるものですが、今年が初年度ですから、まだどんな結果が出るかはまったく予測もできません。ただ、身近な創エネ設備の設置がどうすれば進むのか、特に自然エネルギーの創エネ設備は地球温暖化対策に大きく寄与することになりますから、我々としても非常に関心があります。よいデータが取れれば、それを踏まえて委員さんたちといっしょに取り組んでみませんかと呼びかけていくこともできるかなと思っています」
 委員の主体的な興味・関心をもとに活動をつくりながら、一方で事務局としてもさまざまなプログラムを提示していって、より関心を高めてもらい、結果として区内の環境活動の活性化につなげていこうというのが、『ねり☆エコ』の役割だ。

注釈

【3】ワットモニター
 コンセントと家電製品の間に接続して、リアルタイムの消費電力量を計測・表示する機械。表示は、電力量のほか、電気料金や二酸化炭素排出量などに切り替えることができる。
 独立型の計測器のため省エネナビとリンクした家庭全体の消費電力計測などはできないが、接続した家電製品の消費電力測定に関しては、省エネナビの子機と同等の機能を持つ。

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