【第17回】都市の樹林、公園林、街路樹から学ぶ環境保全

桜井 尚武(さくらい しょうぶ)

はじめに

 都市の樹林地は私達が環境保全を学ぶためのいい教材になります。ここでは、自然林に思いを馳せながら、都市化した所に意図的に作り上げた公園林や並木など都市の樹林地に焦点を当ててこれらのあり方を考えてみることにします。

何が今問題か

① 都会にも森林が出来る、
都庁から見た明治神宮の森林

樹木の形

② 枝垂れた枝に沢山葉をつけるケヤキ
③ 青山通りの枝を何べんも切られたプラタナス
④ 明治神宮外苑のイチョウ並木
⑤ 靖国神社の自然樹形を保った
イチョウ並木
⑥ 強い剪定の後に萌え出た萌芽枝、切られた跡が瘤になっている

公園・樹林地の価値

 自然は大事だということは認めて貰えるとして、どうしたら好適な自然環境を守りつつ自然を利用する事が出来るのでしょうか。そのためには、自然を形作る主役である樹木を知ること、その第一として樹木の種類を見分けられることだと思います。次いで、夫々の樹木の性質を知り、それが作っている自然環境を理解することです。このことは、言い換えれば森林生態系を理解するということです。その森林生態系の中から、緑化したいところに適した樹種を抜き出してきて、新たに樹林を造成することから、都市に身近な自然を造成することが始まります。こうして作られた樹林地には、鳥や獣、風力の力で色んな種類の植物の種子がやってきて、徐々にですが自然と色々な植物が生育するようになり、多様性の高い植物社会が出来てきます。そしてそこは、管理の手間の余りかからない、自然の様子をそこに再現した、心地よい樹林になるはずです(写真⑦)。
 このように作られた樹林地は、新たにそこにやってくる人達に、自然を理解する手ほどきとなる多くの情報を提供してくれるでしょう。地域の樹林地は、たとえ都市林、街路樹であっても、地域の人々に朝に晩に慣れ親しんで貰い、ついには樹種名を覚える手助けとなり、環境保全に目覚める道を開くものであって欲しいと思います。そのためにも、できる限りその場所に本来あった樹種、しかも身近に普通にあって私たちの環境維持に役立ってきた樹種を使って欲しいものです。そして、樹形をいじり過ぎて傷害樹にするのでなく、その種特有の自然樹形を見せるような管理をして欲しいものです。

⑦ 自然林のような明治神宮の森林