【第20回】生活に密着したバイオマスの利用

藤江 幸一(ふじえ こういち)

 スタジオジブリ制作の「となりのトトロ」には昭和30年代前半の農村風景が映し出されており、里山から採った薪が煮炊きに利用され、家畜が田畑を耕す主役でした。灯りを点す電気とまだ数少なかった自動車やバイクの燃料を除けば、日々の生活はバイオマスによって支えられていました。もはやそのような光景を目にすることはできませんが、日常生活の中には利用した方が良い、利用しなければならないバイオマスが多々あります。潤いのある社会の実現を目指したバイオマスの有効活用について考えてみましょう。

なぜ農村風景は大きく変わったのでしょう?

図1 昭和30年前半までの稲作を中心としたバイオマスの流れ
(東京大学・迫田章義教授の資料をもとに作成)

バイオマスの利用は里山を救う!

竹藪と化した雑木林(栃木県鹿沼市)

積極的に活用したい身近なバイオマス

図2 堆肥の施用による微生物の増加と多様化※1

バイオマス利用の着実な促進には

 食品加工残渣、生ごみ、下水汚泥等の再資源化に加えて、環境・生態系の保全など、多くの場面でバイオマスの利用が選択肢になります。バイオマス利用における物質収支、エネルギー収支と経済性の推定に基づいて、地域性も考慮しながら、そのメリット、デメリットを的確に把握して置くことが必要です。労力や経費等の負担者と受益者についても確認しておくべきでしょう。例えば、バイオマスから正味のエネルギー生産が見込めない場合でも、生態系保全や環境負荷低減、雇用創出などの波及的効果が十分に期待できる場合も考えらます。信頼できる定量的データや情報の提供を通して、広い視野での評価と合意形成を推進し、地域社会のニーズと受容性を反映したバイオマス利活用が進むことを期待しています。

引用文献

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