【第32回】花粉の少ない森づくり運動

宮林 茂幸(みやばやし しげゆき)

図-1 スギ花粉 写真:矢口行雄
(東京農業大学教授 地域環境科学部 電子微鏡室)

私たちの暮らしと森林

図-3 木材価格の推移

都民参加の森づくり運動

 東京の森林は、安心・安全な都民生活に欠かせない財であるといえます。森林の循環利用を進め、持続的に、健全な森林を創ることとは、みどり豊かで、健康的な循環型社会を創るために大切なことであるとともに、次世代に対する責任であるともいえます。
 そのためには、一つは、都民の共通財産である森林を都民全体で守ることです。花粉は生命を持続し、子孫を繁栄するために欠かせない役割を有しています。したがって、花粉を悪者とするのではなく、健全な森づくりを進めることこそが大切であるといえます。産・官・学・民などあらゆるセクターが参加し、関わりを持つ関係=森林化社会を構築することといえます。森林化社会とは、森を守り、森に学び、森に生きることです。
 二つには、木材の地産地消による街づくりということです。地元産の木材を使うことは、温暖化防止に役立つと同時に、カーボンオフセットにつながります。これからの街づくりは、限りなく環境を重視し、「量」より「質」を優先とすることといえます。木材の需給バランスでいうと100%を東京産の木材で賄うことは無理であることから、国産材を使用した、最も住みやすく、環境に優しい「木の都=東京」という街づくりを都民参加によって進めることです。

おわりに

 東京都は2007年よりスギ花粉症対策を一つの柱として森づくりを積極的に進めてきました。今後とも都民の共通財産としての森づくりという視点から多摩川上流域と下流域のような流域や農山村部と都心部、あるいは企業と山村などでの交流・連携といった中で展開することを期待するものです。

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