【第73回】市民参加型予算で持続可能な都市を:フランス、パリ市

テネシー州ナッシュビル市(共にGoogle Mapから)

パリ市の参加型予算の概要と成果

【年間スケジュール】
 パリ在住であれば、年齢や国籍を問わず参加できるこのプロジェクトは、一年を通じて、以下のようなスケジュールで運営されています(以下は2017年の例)。

プロジェクト募集期間(2017年1月24日~2月21日)

「Madame La Maire, j'ai une ideé (市長、提案があります)」の仕組み

Agoraと呼ばれる集会等の開催期間(2017年3月~5月)

Agoraの様子。パリ市民、パリ議会議員、行政職員などが参加した。

市の担当職員による提案プロジェクトの検討期間(2017年3月~9月)

 その後、審査を通過した提案に対してフィージビリティテストが行われ、実際にどの程度の費用が必要になるか概算します。その上で実現可能と判断されたプロジェクトは、学識経験者、行政職員、専門家、市内の各種市民組織の代表、市民から成る委員会にかけられ、ここで投票対象となるプロジェクトの候補リストが選定されます。最終的には、パリ市全域を対象とするプロジェクトは市長が、区対象のプロジェクトは区長が決定して、住民投票にかけるファイナルプロジェクトが発表されます。

住民投票(2017年9月)

2016年に採択されたプロジェクトの実施場所

まとめ

 市民参加型予算は、環境問題をターゲットにした制度ではありませんが、提案されたアイデアの多くが環境問題に関わる内容でした。冒頭でも述べたように、環境問題は、その原因や影響が複雑で広く深いからであって、その解決が市民生活の質の向上や都市の持続可能性に直接的に関わっているからでもあります。
 市民提案型予算の手法は、課題解決のための具体的な手法や場所が市民から提案されることで、環境問題の解決策として見落としている方法や場所、資源などが具体的に提示されるという大きなメリットがあることもわかり、この手法の持つ可能性が期待されます。

注釈

Info

参考サイト