【第23回】大島町:季節ごとに咲く花が、島民・観光客にやすらぎと小さな感動を与えることをめざす(地域に花を咲かせる事業)

※本記事の内容は、2016年5月掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

都道の脇の花壇などを中心に、季節の花を植える

大島空港の花壇に植えた花々。住民や観光客にやすらぎをもたらしている。

島内にある7地域の婦人会が花の管理を担う

 花を植えているのは、地域の婦人会のメンバーたち。大島の気候に合って、潮風にも強く長持ちする草花を、各婦人会の好みも交えて選び、四季を通じていろいろな花が入れ替わっていくように設計している。
 例えば、秋から冬にはキンセンカ、冬から春にかけてスイセンやパンジー、春から初夏にかけチューリップ、夏はヒマワリ、秋は百日草や日々草などを植えている。
 島内では、やぶ椿・大島ザクラ・ツツジ・アジサイなど四季折々に花の咲く木も自生するが、年間を通じて彩り豊かな花を咲かせて楽しんでもらおうという趣旨だ。
 各地域の婦人会では、花の植え付けだけでなく、水やりはもちろん、雑草取りや枯れた草花の除去など、常に一帯の管理を担っている。

 「花が咲いているのは見ていますが、私自身は花に詳しくはありませんから、種類などはよくわかりません。ただ、ポイント・ポイントに花が咲いているのは気持ちもいいよねという感覚は、住民皆が持っていると思います。それとともに、たぶん婦人会の皆さん自身が一番満足しているんじゃないですかね。事業がきっかけになって、地域のコミュニティの活性化につなげがるのも、この事業のめざすところです」
 同事業について、倉田さんはそんなふうに話す。

幹線道路沿いに整備している花壇。

島の全域に及んだ松枯れ被害の対策にも

 地域に花を咲かせる事業とともに、大島町の助成金事業としては松枯れ対策も実施している。
 大島は、全島が富士箱根伊豆国立公園に編入され、海岸線などに松(クロマツ)が多く繁殖している。こうした松は、景観を高める要素になっているとともに、風の強い島の過酷な環境の中で、防風林の役割も担っている。
 島内の松に松くい虫被害が目立ち始めたのは、昭和58年頃からだった。松枯れは島の全域に及び、島内の松は全滅の危機に陥った。その対策として始まったのが松枯れ対策事業だった。
 松くい虫被害の拡大を防ぐため、枯れた松の伐倒と焼却、防除のための薬剤の樹幹注入や消毒などさまざまな保護・保全対策を実施したことで、近年は少しずつ効果が表れてきている。また、こうした対策とともに松の苗木を植栽して、松林の再生をめざしていると話す倉田さんだ。

松枯れ対策事業で薬剤を注入。

注釈

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