【第18回】クールシェア・ウォームシェアのすすめ

堀内 正弘(ほりうち まさひろ)

 夏のクールシェア、冬のウォームシェアは、産業部門に比べると遅れている家庭での省エネルギーを推進するための提案です。「冷暖房器具の設定温度の最適化」に加え、個人で使う冷暖房器具の使用をひかえ、みんなで楽しく、気持ちよく暑さ寒さを乗り切ることで、さまざまな「プラスの価値」も生み出そうというアイデアです。ご家庭や地域でのコミュニケーションのきっかけになり、地域の活性化や一人暮らしの方へのお声がけにもつながります。

1.クールシェアとは

夏の日中(14時頃)の消費電力

 エアコンの台数が少なかった頃のライフスタイルに戻り、家族みんなで一部屋に集まりましょう。例えば、3人が3台のエアコンを使っていたら、2台のエアコンを止めることができ、家族の絆も強くなります。

 「ちょっとクールシェアにいらっしゃいませんか?」と声をかけ合い、ご近所で集まったらどうでしょう? いわば、涼しさのおすそ分けですが、ひとり住まいの方が声をかけあうきっかけにもなりますね。

 暑い時には電車やバスを使って、自然で涼しい場所に行き、ゆっくりとした時間を過ごすことを提案します。日帰りで、あるいはちょっと長めの夏休みをとって、涼しい場所で避暑をしてみてはどうでしょう?

 まちには涼しいパブリック空間があります。クールシェアスポットに登録された商業施設などでは、「家のエアコンを止めて来ました」と言うと、ドリンクの割引などのサービスをしてくれるところもあります。

2.ウォームシェアとは

地域別エネルギー消費量年間変動

3.クールシェア・ウォームシェアのさまざまな展開

 クールシェア・ウォームシェアは、家庭での実践からまちでの展開まで、さまざまなケースを提案していますが、いちばん反響が大きいのがまちでの展開です。暑い時、寒いときには出不精になりますが、あえてまちに出るという逆転の発想の意外性と、客足が遠のく時間帯の商店の活性化につなげようというメリットが合致した結果だと考えられます。
 クールシェアは猛暑時の熱中症対策にも有効だということで、自治体が進める「まちなか避暑」にもつながりました。
 図書館や美術館などの公共施設、ショッピングセンターの休憩所といった、ほかのひとに気兼ねなく、ゆっくりと涼めるところが多くあるので、「クールシェアスポット」として、登録を推進しています。
 商業施設では、さまざまな「クールシェア特典」「ウォームシェア特典」のアイデアが生み出されています。入館料割引や粗品のプレゼント、飲食店ではドリンクのサービスや割引、食後のデザートの提供など、ショールームでのお茶やおしぼりのサービス、そして美容院でのクールシャンプーのサービスなど、ユニークなアイデアもあります。
 企業のショールームなど、冷暖房が効いている空間がありますが、目的がないと入りづらいです。クールシェアスポット、ウォームシェアスポットとして登録されたところなら、「家の冷房、暖房を止めてきました」と声をかけると、スタッフは営業の話はしないで、座れる場所に案内してくれます。企業にとって直接の利益にはなりませんが、地球温暖化防止に配慮している企業だというメッセージが伝わることでしょう。

4.地域での展開のすすめ

 クールシェアは、東日本大震災直後の多摩美術大学のゼミで、「東京に居ながらにして何ができるか?」という問いを投げかけたところ生みだされたアイデアです。当初は計画停電の回避が目的でしたが、地元の商店街や企業の協力を得てモデル展開することで、現在の流れの基本ができあがりました。その後は、デザイナーやクリエーターによるCSR活動として展開しています。2012年度には環境省の施策にも取り入れられたことで、活動が全国に拡がりました。
 そもそもは地域での取り組みとして始まったクールシェア・ウォームシェアなので、全国展開になっても市区町村レベルでの取り組みが活発です。いち早くクールシェアに取り組んだ埼玉県熊谷市は「日本青年会議所アワードジャパン2012グランプリ」を受賞しました。岩手県紫波郡矢巾町では、町の職員有志によるユニークなウォームシェアの取り組みを推進しています。
 「省エネ」というと、何でも節約しなければという誤解、そしてちょっと暗いイメージがあります。クールシェア・ウォームシェアは、「楽しくなければ参加しないね、」という気づきから、皆で楽しみながら危機を乗り越え、エネルギーシフトを推進することを提案します。

5.シェアマップ

 お近くにある、クールシェアやウォームシェアに適した場所は、「シェアマップ」を使うことで、パソコンやスマートフォンでお手軽に検索することができます。
 シェアマップへの登録は無料で、場所のオーナーによる登録のほか、利用者が推薦して登録することもできます。登録の方法、規定などについてはこちらをご覧下さい。
 それぞれの地域での取り組みで生み出されたクールシェア、ウォームシェアのノウハウをシェアマップで共有します。そして、次のステップとしては、地域間の連携によるクールシェア、ウォームシェアの展開を目指したいと考えています。

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