【第23回】東京でエコツーリズムを

海津 ゆりえ(かいつ ゆりえ)

 今年の夏休みは空前の旅行ブーム、との報道が先ごろ流れました。時は夏休み目前。国内外の海や山へ遊びに行く計画を立てている方は多いことでしょう。世界遺産に登録されたばかりの富士山も気になりますね。でも著名な観光地もいいけれど、私は身近な自然や生活文化をガイドの力で楽しく体験できる「エコツアー」をお勧めします。エコツアーと聞くと、自然体験観光や省資源型観光などと思いがちですが、少し違います。エコツアーとはガイドによって訪問先の自然や地域文化を案内してもらいながら楽しく体験し、学ぶことができる旅のこと。実は日本は2008年には世界初の「エコツーリズム推進法」も施行された、アジアにおけるエコツーリズム先進国なのです。ではエコツーリズムとは?身近な場所、「東京」を舞台にみてみましょう。

1 エコツーリズムって何?

エコツーリズムの概念―エコツーリズム・トライアングル(海津・真壁1999)

2 東京都の自然

3 身近な水環境の全国一斉調査の推進

ザトウクジラ
(提供:小笠原ホエールウォッチング協会)
母島乳房山にて 撮影:海津ゆりえ
ごった返す船客待合室 撮影:中田智大

4 御蔵島(みくらじま)

 伊豆諸島の一つ、巨樹・巨木林の島として知られる御蔵島も、上述の「東京都版エコツーリズム」の対象地です。海から突き出た山のような形をした御蔵島の周辺海域は波が荒く、渡航が阻まれることも珍しくありません。だからこそ残された自然の中で江戸時代から柘植を主産品として人々は暮らしてきました。5000年以上も噴火を経験していない島は、陸地のほとんどがスダジイ(ブナ科シイ属の常緑広葉樹)を中心にした原生林に覆われ、低木~高木までバランスのとれた生態系を形成しています。地面は数百万羽のオオミズナギドリがすみかとして利用しています。その巨木の森を守るために東京都と御蔵島は利用できるコースを限定していますが、観光協会を通してガイドウォークかセルフガイドで歩くことができます。御蔵島のエコツアーの目玉はドルフィンウォッチング。屋久島と並ぶほど多い雨が森の恵みを含んで流れ落ち、豊富な栄養分を海に運んでバンドウイルカの生息を支えています。ウォッチングボートは1日30隻までとルールを決めてツアーを実施しています。しかしセルフガイドコースの保全・補修やウォッチングガイドの育成等が課題となっています。

ドルフィンウォッチング 撮影:滝口貴美子
御山 撮影:滝口貴美子

5 檜原村

 東京都で最も面積が広く、「都民の森」ももつ檜原村は、奥多摩と並んで多摩地域を代表する森林地帯です。もともと一大林産地でしたが、林業の斜陽化にともない過疎化と地域振興策に悩んでいました。1981年に結成された檜原村の村おこし青年グループ「冬雷塾」が村内の森の中に、公益信託富士フイルム・グリーンファンド(FGF、自然保護をテーマとした活動及び研究助成事業を行っている)の「未来のための森づくり」として助成を受けて木造2階建てのロッジ(約90坪)を建てたのが1990年。「フジの森」と名づけて都市住民の自然体験や村民とのふれあいの場として活用してきました。2005年には運営母体が「NPO法人フジの森」となり、ログの研修施設や宿泊棟を活用して自然観察や林業体験、食育、ネイチャーゲーム、コンサートなど季節に応じた多種多様な年間数十回のプログラムを運営しています。滝めぐりなどのエコツアーやオーダーメイドのプログラム提供にも対応しており、来年度からは初心者にも参加しやすい森のエコツアーも主催予定です。

森づくり体験
払沢の滝(ほっさわのたき)
(提供:NPO法人フジの森)

6 エコツーリストになろう

参考サイト