【第52回】森を育ててきた先人たちの思いと苦労を引き継ぐ ~森を買って、自由に山を駆けめぐる、みんなの森運動(一般財団法人みんなの森財団)

2014.08.20

 みんなの森財団事務局長の堀内拓馬さんも、そんな森林ボランティアの活動に魅入られた、都市住民の一人だ。ただ、森に関わるきっかけは、ビジネスチャンスを求めてということがより現代的といえる。
 「もともとIT関係の会社を2人でやっていたのですが、受託仕事で追われるよりも自分たちの裁量でできる仕事をしたいと思っていました。目をつけたのがカーボンオフセット。みんなの森は2010年5月に財団として登記していますから、ちょうど丸3年が経っていますが、さらにその3年ほど前に思いついて、森の現状を調べ始めたのです。そうするうちに森林ボランティアという活動を知るようになり、ある団体の活動に顔を出すようになりました。次第にのめり込んでいって、いつしかビジネスのことはどこかに行ってしまいました。元は山梨出身で子どもの頃から自然体験をしてきましたし、学生時代はカナダの山の中で暮らしていました。久しぶりに山の自然に触れて楽しかったし、なにより山に関わるいろんな人との出会いが本当に魅力的でした」

みんなの森財団の代表理事をお願いしている、園田安男さん

森の中で火を焚く。山火事の心配などもあって公有地では禁止されていることも多い。

 人の土地を借りた活動の制約に窮屈さを感じていたからこそ、“自分たちの森を持つ”ことに対してワクワクするような可能性の広がりを覚えた。当時、堀内さんのまわりにいた人たちにとっても魅力的な響きを持って受け入れられたという。

景観の森。スギ・ヒノキを伐って、広葉樹の森にする計画だ。

冒険の森。沢あり、滝あり。岩登りなどもできる。

銀の森は、入り口に孟宗竹林、その上にマダケの竹林がある。

3つの森のビジョンを描いた図 ※クリックで拡大表示します

タケノコや山菜などを山で調理。さらは、半割にした竹だ。窯で炊いた混ぜご飯も美味!

そんな森づくりをめざすうえで大事にしていることがあると堀内さんは言う。
 「子どもたちに、何でもできる自由な体験をさせてあげたいんです。今の子たちって、小学校の小さい学年からすごく現実的だし、それこそ大人とも対等な対話ができるんですよね。それはいい面もあるんですけど、社会を変えていくようなとんでもない力は生まれてこない気がするんです。現実的で、醒めているから、本気で“空を飛ぶぞ!”みたいなめちゃくちゃな空想を大人になるまで持ち続けるような子が出てくる社会にはなっていない。だからこそ、子どもたちが自由にできる環境が身近にあるようにしたいし、そんな場の一つとして、みんなの森が機能できるとうれしいですね」

みんなの森財団・事務局長の堀内拓馬さん。趣旨に賛同して森の寄付を申し入れてくれた例もあるが、現在は一般財団法人として登記しているため贈与税が発生し、負担が大きくなってしまう。今年中に準備を整えて、2~3年後をめどに公益財団法人としての活動を始動したいと意気込む。

注釈

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