第19回 自然の力と人の暮らしが豊かな未来をつくる・世田谷区
東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。

世田谷区にやってきました。
東京23区中の西南端にあり、面積は58.05平方キロメートルで、最も小さい台東区の約6倍にあたります。
都内でも有数の遺跡密集地であり、その分布は区内のほぼ全域におよびます。時代的には約3万5千年前の石器製作跡から近世の大名陣屋に至るまで、ほぼ全時代を網羅しています。
大正から昭和初期には京王線・小田急線・大井町線・井の頭線などが開通しました。大正12年(1923年)9月、関東大震災が発生すると被害を受けた下町の人々は地価が安く交通の便のよい近郊へ移住し、世田谷区も急激に人口が増え、電車の沿線は住宅地に変貌していった歴史があります。
そんな世田谷区の街で「エコ」を探して散歩してみましょう。
- みどりを守る制度
- エコフレンドリー
- エコプラザ用賀
- 自然観察
小田急小田原線の喜多見駅を降りて、駅前のシェアサイクルポートで自転車を借ります。南東に住宅街を走り抜けていくと、道路の片側に竹の垣根が続く道があらわれました。外から竹林が見え、小学生が入っていきます。自転車を置いて、子どもたちの後ろ姿を追うと、竹を縫うように通り道がありました。風が吹くと、さわさわと竹の葉がこすれ、心地よい音が聞こえてきます。
Q1 世田谷区内には、多くの人に憩いの場を提供しようと「○○緑地制度」を利用してみどりが保全されています。○○に入る言葉はどれ?
1 公開
2 市民
3 街角
4 公園
正解と解説
正解 2 市民
市民緑地制度は、都市に残された貴重な民有地のみどりを保全し、地域に憩いの場を提供することを目的とした都市緑地法に基づく制度です。
指定されると、敷地内のみどりの維持管理支援が受けられるとともに、固定資産税や都市計画税、相続税等の税制上の優遇措置等が受けられます。
区と連携して市民緑地を運営している一般財団法人 世田谷トラストまちづくりが、土地所有者の方と契約を結んでいます。
竹林が残る「竹山市民緑地」は、約20年間にわたって市民緑地に指定され、ボランティアが整備してきましたが、令和4年(2022年)年春に世田谷区に寄付され、「喜多見5-21遊び場(竹山緑地)」としてリニューアルしました。

竹山緑地から自転車で10分ほどの砧(きぬた)公園に向かいました。砧公園の中にある「世田谷美術館」にはカフェが併設され、多くのお客さんでにぎわっていました。何やらお店に「せたがやエコフレンドリーショップ」と書かれたステッカーが貼ってあります。
Q2 「せたがやエコフレンドリーショップ」の取り組みとして、誤っているのはどれ?
1 食べきれなかった料理の持ち帰りが可能
2 小盛りメニューの提供
3 商品をプラスチック容器やラップで包装して販売
4 ペットボトルや発泡トレイなどの店舗回収
正解と解説
正解 2 商品をプラスチック容器やラップで包装して販売
「せたがやエコフレンドリーショップ」は、食品ロスや海洋プラスチックごみが世界的に問題となる中で、食品ロスの削減やプラスチックごみの削減に積極的に取り組む飲食店や小売店等を登録し、区が支援しています。
登録店は、店舗の情報が区のホームページに掲載され、啓発用のポスターやステッカーが配布されます。
食品ロスを減らすための具体的な取り組みとしては、小盛りメニューの提供や、ばら売り・量り売りの実施、余った料理の持ち帰りの推奨などです。
プラスチックを削減するため、プラスチック製ストローやスプーンの紙製代替品の使用も登録店の取り組みの一つです。

認定ステッカー
砧(きぬた)公園から用賀駅に向かって自転車で7分ほど、資源回収やリユース品を取り扱うエコプラザ用賀に辿り着きました。リユースコーナーには、家具や生活雑貨など様々な品が有償・無償で並べられています。
Q3 エコプラザ用賀で販売されているあるものは、区内で回収された紙パックとオフィス古紙を一部原料とした古紙100%で作られています。その商品とはどれ?
1 ノート
2 新聞
3 トイレットペーパー
4 ふせん
正解と解説
正解 3 トイレットペーパー
世田谷区では、リサイクルの啓発の一環として、区内で回収された紙パックとオフィス古紙を一部原料とした古紙100%の世田谷ブランドのトイレットペーパー「世田谷ロール」を販売しています。
リサイクルを進めるためには、資源を分別して排出・回収するだけでなく、それらを原料とした再生品を使用することで資源を循環させることが大切であることを、商品を通じて呼びかけています。
世田谷ロールはシングルとダブルの2種類あり、区内のスーパーや個人商店で取り扱っています。

エコプラザ用賀から自転車で20分ほど、梅が丘駅北側に広がる羽根木公園には、野球場やテニスコートも併設し、幅広い年齢層の方が訪れています。園内をゆっくりと散策していると、数組の親子が集まっていて、楽しげな声が聞こえてきました。
Q4 「せたがやエコフレンドリーショップ」の取り組みとして、誤っているのはどれ?
1 せたがやエコアップ探検隊
2 せたがやクリーンアップ清掃隊
3 せたがやグリーンアップ植樹隊
4 せたがやネイチャーアップ浄化隊
正解と解説
正解 1 せたがやエコアップ探検隊
「せたがやエコアップ探検隊」は、世田谷区と「せたがや環境学習リーダー連絡会」が共催で行う体験型環境学習事業として、平成10年(1998年)にスタートしました。その後、世田谷区主催「世田谷環境学習スタッフ養成講座」の修了生などを中心に結成された「世田谷環境学習会」を加えた3者による運営を経て、現在は「世田谷環境学習会」の単独事業として、世田谷区の後援を得て実施されています。
対象は小・中学生とその保護者で、季節ごとに年4回開催しています。
春編:多摩川の河原を草花の観察や春探しの探検。ヨモギを摘んでヨモギ団子づくり
夏編:芦花公園で夜、セミの羽化とカラスウリの花の観察
秋編:総合運動場公園で自然観察や木の実拾い、クリスマスリースづくり
冬編:羽根木公園で冬芽の観察、プレーパークで焚火をして花炭・焼き芋づくり
自然観察等の体験型プログラムを通して、子どもたちが身近な環境を知り、自然に親しみ、自然を大切にする感性を養うと共に、世田谷の環境を良くしようとする意識づけをし、親子で話し合いながら、家族で環境保全に取組むきっかけづくりをすることを目的としています。
羽根木公園には、子どもが自由にのびのび遊べる羽根木プレーパークもあり、「地域の遊び場」となっています。(「NPO法人プレーパークせたがや」が、区と住民との協働で運営)
羽根木公園を訪ねた後は、最寄りの梅ヶ丘駅前のサイクルポートに自転車を返却して、電車に乗り替えて、帰宅することができます。

