第23回 巨樹と清流のまち・奥多摩町
東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。

奥多摩町にやってきました。
西多摩郡奥多摩町は、東京都の北西端に位置し、全域が秩父多摩甲斐国立公園に含まれ、東京の奥庭として親しまれています。
面積は225.53km2と東京都の1/10を占め、都内区市町村の中で最も広い面積を有しています。
町域の大部分は山岳であり、奥多摩湖(小河内貯水池)を流下した多摩川が町の中心を西から東へと貫流しています。
豊かな森林や自然を求めて、多くの観光客や登山客が訪れる奥多摩町で「エコ」を探して散歩してみましょう。
- 名物の川魚
- オピト
- 巨樹の数
- 樹齢600年以上
奥多摩駅にやってきました。駅のすぐそばに日原(にっぱら)川が流れており、上流に向かって少し歩くと、氷川国際ます釣り場でニジマス釣りを楽しむ人がたくさんいました。澄んだ透明度の高い川には多くの生き物が生息しているようです。
Q1 奥多摩町で養殖している川魚を加工して販売していますが、その商品名は?
1 ひりょうず
2 しんじょう
3 やまぼこ
4 がんす
正解と解説
正解 3 やまぼこ
やまぼこは、ヤマメをすり身にして作ったかまぼこです。
これまで採卵後に年間約2.5トンも焼却処分していた養殖用のヤマメを有効活用する商品として、都産技研食品技術センターと奥多摩さかな養殖センターで研究開発されました。
ねりものは、漁獲量の多い海の魚を原材料とするのが一般的ですが、肉質に弾力があり、処分に困るほどあるヤマメは原材料にぴったりでした。
味付けは、砂糖・醤油・塩を入れた少し甘めのタイプと塩だけを使ったお酒に合うタイプの2種類があり、フードロス削減やSDGs、地域おこしにつながる商品として注目を集めています。

奥多摩駅に戻ってきました。登山客や観光客でにぎわっているなか、よく見ると、見かけないポスターが掲示されていました。
Q2 駅のポスターに大きく書かれている「OPT」とは何の略?
1 オクタマ・プラプラ・タイム
2 オクタマ・ピヨピヨ・トレイル
3 オクタマ・ペチャクチャ・トーク
4 オクタマ・ピカピカ・トイレ
正解と解説
正解 4 オクタマ・ピカピカ・トイレ
奥多摩町では、「日本一観光用公衆トイレがきれいな町」を目指し、トイレの建て替えや委託する清掃業者の変更等を行いました。
2017年、奥多摩総合開発(株)の清掃事業部門の所属で発足した清掃のプロフェッショナル集団『OPT(オピト)』は、観光用トイレを丁寧な清掃と斬新なアイデアで甦らせ、現在は(株)オピトを起業し、町から奥多摩観光協会への委託事業の再委託を受け、町内の観光用公衆トイレのうち半数以上の清掃を担っています。
以前は汚れや悪臭がひどかった奥多摩町のトイレは、住民や観光客から「きれいになった」と声が届き、見違えるほどのピカピカが維持されています。
しかし、きれいな状態の維持が大変だといいます。利用者にきれいに使ってもらう働きかけとして、顔の見える清掃員ポスターの掲示や、外観の清掃なども実施しています。

奥多摩駅からバスに揺られ、日原森林館にやってきました。全国の巨樹に関する写真、データなどが集められた博物館です。全国第2位の大きさを誇るミズナラの実物大模型は圧巻です。
Q3 全国で巨樹(幹周りが5メートル以上)の数が最も多い都道府県はどこ?
1 北海道
2 東京都
3 和歌山県
4 鹿児島県
正解と解説
正解 2 東京都
最も巨樹が多い都道府県は、東京都です。その中でも奥多摩町に巨樹は1,013本あり、全国の市区町村で東京都三宅島村に次ぐ2番目の多さとなっています。(平成30年7月)。
都内最大級の巨樹が、奥多摩町日原にある「倉沢のヒノキ」です。東京都指定天然記念物であり、推定樹齢1000年、樹高34メートル、幹周り6.3メートルの巨木は、都内最大級で新日本名木百選にも選ばれています。岩肌の見える尾根の頂上で堂々と天に向かって伸びる姿は、生命力と荘厳さを感じさせます。

巨木を見ようと、古里(こり)駅から少し歩いて、春日神社にやってきました。道路際の狭い場所に樹齢を感じさせる老木があり、窮屈そうに空に伸びています。
Q4 東京都の指定天然記念物に指定されているこの巨木の名前は?
1 ケヤキ
2 スダシイ
3 ビャクシン
4 イヌグス
正解と解説
正解4 イヌグス
巨木は「古里附(こりつき)のイヌグス」と呼ばれ、樹齢600年以上といわれています。幹の周囲は8メートル、樹高15メートルの古木からは風格が感じられます。
古里駅周辺には、奥多摩指定天然記念物の「小丹波(こたば)のイヌグス」と「梅沢のイヌグス」もあり、ハイキングのルートにする方もいるようです。
イヌグスの正式名称はタブノキといい、クスノキ科タブノキ属の常緑高木です。