第29回 地球にやさしいひとのまち・足立区
東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。

足立区にやってきました。
足立区は、東京23区の最北端に位置し、東は中川をはさんで葛飾区、西は隅田川をはさんで北区と荒川区、北は埼玉県川口市と草加市と八潮市、南は葛飾区と墨田区と荒川区に接しています。
区内の総面積は53.25k㎡で東京23区の約9%にあたり、大田区、世田谷区についで第3位の広さです。
区内は全体的に平らで、人工的に築かれた荒川の堤防や公園内の丘以外に丘らしい高地はほとんどありません。北西部はやや高く、南東部に行くに従って緩やかに傾斜しながら下っていることから、昔から足立区は農耕に適していました。
四方を川に囲まれた足立区で「エコ」を探して散歩してみましょう。
- 捕獲作戦
- 樹木を後世に
- 地道につなぐ緑
- 図鑑
綾瀬川と伝右川(でんうかわ)に挟まれた、足立区桑袋ビオトープ公園にやってきました。園内には綾瀬川や身近な生き物について楽しく学べる「あやせ川清流館」が併設され、たびたびイベントなどが行われているようです。公園では、子どもたちが生き物を熱心に捕まえようとしています。
Q1 公園では生態系を守るため、来園者に楽しみながら”ある生き物”を捕獲してもらっています。その生き物とは?
1 ウシガエル
2 アメリカザリガニ
3 ヤゴ
4 テントウムシ
正解と解説
正解 2 アメリカザリガニ
アメリカザリガニは、昭和初期に日本に持ち込まれた外来種で、足立区桑袋ビオトープ公園でも年々増えつづけ、 ヤゴや水生植物が激減するといった、水辺の生態系への影響が出ています。
そこで、水生生物の生息環境を守り、公園の生態系のバランスを良好にするために、来園者に釣ってもらったアメリカザリガニを駆除する、という仕組みを取り入れています。
2010年から取り組み、以前と比べてヤゴの数の増加、スジエビの増加など、確実に成果が現れてきています。
東武スカイツリーラインの西新井駅から歩いて、國土安穏寺(こくどあんのんじ)にやってきました。広い敷地内には木々が生い茂っている場所があり、静寂とともに風が吹くと葉擦れの音が心地よく聞こえてきます。
Q2 國土安穏寺などにある木々を守るために足立区が行っていることとは?
1 樹木医の育成
2 樹木スタンプラリー
3 保存樹木・樹林の指定制度
4 クラウドファンディング
正解と解説
正解 3 保存樹木・樹林の指定制度
足立区では、高さ10m以上で地上1.2mの幹周りが1.5m以上ある樹木や、面積300m2以上の樹林を「保存樹木・樹林」に指定し、維持管理費用などの一部を助成しています。
この制度により、区内に残された地域の貴重な財産を守るため、剪定や落葉掃きなどの維持管理費を軽減しています。
國土安穏寺には、約4,185m2の保存樹林があり、その中には、大人3人が両手を伸ばしてやっと届くほど幹が太いクスノキや、江戸幕府第3代将軍・徳川家光が手植えをしたと伝わるクロマツなどがあります。(※樹木の観覧については状況により対応できない場合があります。)
國土安穏寺から南東の綾瀬駅方面に徒歩20分、足立区役所にやってきました。庁舎の外の歩道には花壇や植栽がある中、北側のプランターで何やら作業をしている人たちがいます。
Q3 プランターで作業している人たちの名称は?
1 緑の継承者
2 緑の配達員
3 緑の三銃士
4 緑の協力員
正解と解説
正解 4 緑の協力員
緑の協力員とは、区長から委嘱され、区の緑化に関する施策に協力するとともに、自ら緑化推進運動を進める方々のことです。
活動内容は「しょうぶまつり」などのイベントの際にワークショップやミニ講座を開催するほか、花壇の植え付けや撤去、区立公園等の樹名板の取り付けなど、活動は多岐に渡ります。
日暮里・舎人ライナーの舎人公園駅で下車すると、スポーツ施設、遊具、広場、池などがある、65ヘクタールの広大な公園がありました。子どもたちは何やら生きものを探している様子で、しゃがんでスマートフォンのレンズを向けています。
Q4 アプリに写真を投稿してみんなでつくる「あだち生きもの図鑑」を通して見つかった区内の絶滅危惧種とは?
1 クビアカツヤカミキリ
2 ツミ
3 アライグマ
4 ハクビシン
正解と解説
正解 2 ツミ
足立区内で発見されたタカの仲間「ツミ」は東京都の絶滅危惧種に指定されています。オオタカやチョウゲンボウなど、同様に貴重な種が生息していることがわかっています。
「あだち生きもの図鑑」は、いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」を利用しています。
身近な生きものや植物の写真を撮って自分だけの図鑑を作成したり、AIによって画像から生物の名前を判定してくれる無料のスマホアプリです。「マップ」「クエスト」など、生きものにまつわる様々な機能を備えています。
これにより、科学者や専門家だけでは時間がかかりすぎるような大規模なデータを収集でき、外来種の侵入に気づいたり、希少種の分布を解析することができます。





