かれん と シーナの『エコ質問箱』質問09

2016.10.26

今回は、「水」をテーマに取り上げたいと思います。実は今、シーナといっしょにある場所に来ています。

ヒントは、おいしい水道水。わっかるかな~?

東京都内では、東京都水道局が提供する高度処理水を水道水に使っているところが多いんですけど、地下水100%の水道水を提供しているのが、ここ、昭島市なんです。

今日はかれんといっしょに、そんな昭島市に来ているので、現地からレポートするよ!

市役所の職員さんにお越しいただいていますので、さっそくお話をお伺いしましょう。

よろしくお願いします!

ようこそ、昭島市へ。それでは、さっそくですが、昭島市の水道水を飲んでもらいましょうね。

ありがとうございます。
わあ、冷たくておいしいですね!

うん、おいしいね!

ありがとうございます。昭島市の水道水は地下水を使っているというのはご存知ですか?

はい。でも、東京都の水道水源は多摩川や利根川から取っていると思っていたので、地下水100%と聞いてびっくりしました。

昭島市は、多摩川の作用によって長い年月をかけて形成された砂利層が厚く堆積しています。山に降った雨が地層に浸透した後、その砂利層の中を流れて、豊富な地下水として蓄えられています。昭島市では、その地下水を水道水源として使っているのです。

へえ、まさに自然の恵みなんですね。

地下水を使っていることと、おいしい水になることには、どういう関係があるのですか?

河川やダム湖、湖沼などの陸地表面に存在する水を地表水といいます。河川水は降水状況などの自然条件によって水質が変動しやすいのです。これに対して、地下水は水質が安定しています。
昭島市の水道水源は、地下70メートル以上の深い地層を流れる地下水を汲み上げています。この地下水は、山に降った雨や雪が約30年もの長い年月をかけてしみ込んだものです。その過程で土壌がフィルターの役割を果たして不純物を取り除くとともに、炭酸やミネラル成分などが水に溶け込んでいくため、ミネラルウォーターと変わらないおいしさの水になっているのです。しかも、概ね24時間以内に使い切っていますから、新鮮な水が常に供給されます。

そうか、山の湧き水が新鮮でおいしいのと同じ理屈ですね。

あ、そういえば地下水は水温が安定しているから、夏は冷たく、冬は温かく感じるって聞いたことがあります。

よくご存じですね。昭島市の水道水も地下の深いところにある水ですから、外気温の影響を受けず、1年中一定の水温になっています。それもおいしい水の秘密の一つなのです。

いいこと尽くしだなあ。

ただ、地下水ですから、汲み上げすぎると地下水位が下がって枯れてしまいますし、地盤沈下の発生につながる危険もあります。
昭島市では、20本の井戸で1日5万トンの汲み上げにとどめていますので、市民の皆さんにも節水をお願いしてきました。
今は社会的にも節水が定着してきていますから、十分にまかなえていますし、地下水位低下による目立った地盤沈下の発生もありません。

うらやましいなあ。ぼくも昭島市に住みたいなあ…。

シーナにとっては水が一番大事なのよね。

それはうれしいですね。ただ、東京都水道局でも高度浄水処理を備えた浄水場を整備していますから、水道水もおいしいですよ。

そう、実は案外いけるんだよね。

貴重な水ですから、大切に使うことが大事ですね。
今日はどうもありがとうございました。

ありがとうございました!

さて、ではここで問題です。
昭島市の水道は、おいしいだけでなく、料金的にも全国でも5本の指に入るくらい安く提供されているそうです。その理由として正しいのは、次のうちどれでしょうか?

地下水は天然の土壌ろ過がされているため人工的な浄化処理は必要ありませんが、水道法による必要最低限の塩素を加える必要はあります。
また、残念ながら昭島ブランドの地下水は販売されていませんし、仮に売れたとしても、その結果、限りある水資源が枯渇することになってしまったら本末転倒ですね。