第9号 「選ぶ」を考えるサステナブル体験ツアー

会場となったIKEA立川

お買い物から見えてくるサステナブルな取り組み

 降雪予報が都内を席巻し、朝から小雪がちらつく2月7日、IKEA立川で、「IKEA立川サステナブル体験ツアー」が開かれました。このツアーは、同店と包括連携協定を結ぶ立川市が、隣接自治体(小平市、日野市、国分寺市、国立市、福生市、東大和市、武蔵村山市)の広域連携事業の一環としてIKEA立川の協力で開催し、小学3年生~6年生とその保護者を対象に各市で参加者を募りました。立川市内に留めず、多摩地域で持続可能な社会を目指す狙いがあります。
 募集と同時に瞬く間に定員になるほど人気のツアーとあって、底冷えする寒さの中でも、28組70名の親子が集まりました。生活の中で取り入れられるサステナブルな暮らしを、座学や売り場での商品選択などを通じて学ぶイベントです。自治体の広報やSNSを見て、子どもの学びになればと思い、参加された方が多くいました。総合的な学習の時間でSDGsを学習している子もいるようです。

 はじめに、IKEA立川のレンベルト アンデス店長が「もっと家庭の中でサステナブルな暮らしを知ってもらうとともに、子どもたちの新しいサステナブルなアイデアに期待しています」と挨拶しました。
 立川市政策財務部企画政策課の五箇野豊課長からは、8市での広域連携事業であることや、楽しみながら持続可能な取り組みを学んでほしい旨が伝えられました。

 ここからはIKEA立川のスタッフが、クイズを交えてイケアの会社の成り立ちや使命、ビジョンなどを説明しました。スウェーデン発祥で、物を大切にして無駄なく使うこと、協力して働く連帯感を重視しているところが日本との共通点だといいます。

2階スウェーデンレストランで座学とクイズ

 イケアは目標・ビジョンに「より快適な毎日を、より多くの方々に」を掲げ、家具を作るときに大切にしていることが「デモクラティックデザイン」です。イケアが考えるデモクラティックデザインとは、美しいデザイン、優れた機能性、サステナビリティ、高品質を兼ね備えながら、低価格で入手できる製品です。
 さらに、SDGsにも取り組んでおり、店内の電気は再生可能エネルギーを使い、荷物を運ぶ車は空気を汚しにくい電気自動車を採用しています。家具のリユースにも積極的で、「サーキュラーマーケット」と呼ばれるアウトレットコーナーも充実させています。

 3つのサステナビリティ戦略の話もありました。

「健康的でサステナブルな暮らし」
「気候・自然・循環型社会」
「公平性と平等性」

 今回は「健康的でサステナブルな暮らし」に焦点を当て、買い物の疑似体験を行います。小さなアイデアでもっとサステナブルな暮らしができるという発想のもと、どの商品を使うとどんな暮らしができるか考えてもらうのが狙いです。地球にも人にもやさしい商品を選ぶヒントを教わりました。

  1. よりよい食品を選ぶ
  2. 廃棄物の削減(使い捨てを減らす)
  3. エネルギー消費量の削減(LEDを使用)
  4. 節水
  5. 長く愛用する

 例えば、ガラス製の保存容器を使うことによって、食品ロスを減らし、残り物をおいしく食べる習慣をつけることなどです。プラスチック製は自然分解に数百年かかるといわれているため、繰り返し使えてリサイクルもできるガラス製を選ぶのも重要です。
 それでは、いよいよ店内でのサステナブル商品探しが始まります。一人一つ、「これは」と思う商品を選びに出発しました。

サステナブル商品はグリーンの壁紙
ペットボトルなどの資源を再利用したリサイクルポリエステルに注目

 サッカーコート3面分ほど(23,723㎡)の売り場面積に、約9500品目の商品が並ぶ中、雑貨エリアを中心に約20分、親子で店内を巡りました。見ているだけでわくわくするような品揃えに興味をそそられながら、これはサステナブルかな?と表示の説明を読み、思い思いに”サステナブル”を探しました。

何を選んだ?サステナブルな暮らしを考えよう

自分の言葉で商品のことをまとめよう
選んだ商品を説明する子どもたち

 「○○を使って、○○します」をみんなの前で発表しました。

  • 人感センサーを利用して、使う電気を最小限にします。
  • ステンレス製の水筒を使って、ペットボトルの使い捨てを減らします。
  • シリコン製のフタを使って、ラップの使用を減らします。

 参加後の保護者アンケートでは「充電式電池を使用してみたい」「買い物するときに今回学んだことを意識したい」とあり、暮らしを考え直すきっかけになったようです。

 最後はお待ちかねの試食の時間です。サステナブルな毎日を送るために、よりよい食品を選ぶのも大事なポイント。原材料の異なるフードメニューの食べ比べを通じて、日々の食生活を考えるきっかけにしてほしいという思いがあります。試食したのは次の3つです。

イケアで人気のボール三種類

(左から)
緑の旗:プラントボール(エンドウ豆のたんぱく質、オーツ麦など植物由来)
カラフルな旗:ベジボール(ヒヨコ豆、コーン、ケール、にんじんなど)
スウェーデンの旗:ミートボール(牛肉・豚肉)

 北欧の定番家庭料理のスウェーデンミートボールと、植物由来のボールを食べ比べました。
「ベジボール」は、見た目からも野菜の色が見え、肉というより野菜を食べている感じだといいます。あっさりと食べられるようです。
「プラントボール」は、食感・風味・味も肉らしく、エンドウ豆が主体の植物性とは思えない食べ応えとのことです。参加者の圧倒的人気を獲得し、お肉そっくりの味と食感なのに動物由来の素材が入っていないことに驚く声が聞かれました。

 では、どうして植物由来の食品をつくっているのでしょうか。それは、お肉を作るには、広い土地、家畜のエサ、大量の水が必要であり、森林や草原を放牧地に変えると、二酸化炭素を吸収してくれる自然を破壊することにもつながります。なおかつ、特に牛のゲップや排泄物などからは多くの温室効果ガスが排出されます。一方、野菜や豆、穀物などの植物由来の食品は、水の消費量、温室効果ガスの排出量が少なく、環境負荷の少ない食品といえます。

 食品が私たちのもとに届くまでに環境に配慮しているかを伝える認証マークもあります。

ASC認証
レインフォレスト・アライアンス認証

 「ASC認証」は、海や魚、海の環境にやさしい育てられ方をした証です。Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)が運営し、養殖水産物を対象とした認証制度です。イケアのサーモンはすべてこの認証を受けた養殖場から仕入れています。
 カエルのマークが印象的な「レインフォレスト・アライアンス認証」は、動物が暮らす森を壊さず、農場で働く人たちが安全に働きやすい環境で育てられた証です。厳しい基準要件を満たす認証農園で生産した作物が製品に使用されていることを示し、コーヒーやチョコレートなどのパッケージで見つけることができます。

 サステナブルな生活を送るには一人ひとりの選択が大事であることを体験しながら学び、ツアーの全工程が終了しました。
 小学6年生の男の子は「実際に商品を選べるのが楽しかった。また参加したい」と目を輝かせていました。
 保護者は「別の地域から越してきたのですが、立川市は環境に力を入れていると感じる」「曖昧だったイケアのコンセプトをより知ることができて、もっと好きになった」と心に刺さるものがあったようです。

ここからは、立川市の包括連携協定と広域連携事業に迫るよ!

立川市の戦略 多摩地域と企業ともに持続可能を目指す

 今回のツアーは、日常生活圏や地域経済圏が重なりあう多摩地域の広域連携事業の一環でもありました。広域連携事業は、多くの行政課題に近隣自治体とともに対応することを目的に、2024年度(令和6)に共同文書を取り交わしています。個々に地域課題がある中でも、人口減少・少子化・高齢化などの共通課題を地域一体で取り組んでいこうというものです。そのなかで、持続可能な地域社会の形成が連携項目の一つとなっており、今後もさらなる連携が期待されます。

関連リンク
注釈

【注1】IKEA立川では、入会費・年会費無料のメンバー「IKEA Family」を対象に、同様のサステナブル体験ツアーを実施することもある。