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第57回世界初、道路で発電する「ソーラーロード」:オランダ、北ホラント州

 地球環境問題をはじめとするさまざまな課題の解決に向けて、世界各地で先端技術の可能性を探る実験が行われています。本稿ではオランダの北ホラント州クロメニーで実証実験が行われている、全長70メートル(幅3.5メートル)におよぶ、世界初の、太陽光発電機能を備えた自転車専用道路――SolaRoad――を紹介します。

地図:グーグルマップ
地図:グーグルマップ

SolaRoad
SolaRoad

※北ホラントは、オランダの首都アムステルダムを含む、オランダ北西部の州。クロメニーはアムステルダムから北に15キロほど。
地図:Google Mapから
写真:SolaRoad Factsheet (http://www.solaroad.nl/wp-content/uploads/2015/10/SolaRoad_UK.pdf)
なお、本稿の図・写真はすべてSolaRoad Factsheetから。 

構想のはじまり

 道路がソーラーパネルだったら……。そこから生まれる電力で、その上を走る電気自転車や電気自動車を動かすことができれば……。路上の電灯や、近隣の住宅にも、その電気を供給できたら……。そして、究極的には、オランダ全域の道路、面積にして450km2に毎日降り注ぐ太陽光をエネルギーに変えるために、道路を一つの大きなソーラーパネルとして機能させられれば……。

SolaRoadのコンセプト 道路から電気自動車/自転車、電灯、家庭へと電気を供給
SolaRoadのコンセプト
道路から電気自動車/自転車、電灯、家庭へと電気を供給

 「こんな夢を一緒にみませんか」と呼びかけたのがTNOでした。そしてこの呼びかけに賛同したのが、北ホラント州政府、道路建設企業のOoms Civiel、技術サービス企業のImtechです。2009年のことでした。こうして、発電機能を持つ道路――SolaRoad――のためのコンソーシアムが誕生。TNOが研究開発を、Ooms Civielが道路敷設を、Imtechは電気集積のノウハウを、北ホラント州政府が資金と道路をそれぞれ提供して、遂に2014年11月、クロメニーでの実証実験、SolaRoadが実現したのです。

※TNO:オランダ応用科学研究機構――科学技術分野における応用科学研究を行うことを目的として、オランダ議会によって1932年に設立された欧州最大規模を誇る中立の総合受託試験研究機関

 北ホラント州のイノベーション・マネジャーであるポール・ルッティ(Paul Rutte):「北ホラント州は SolaRoadのプロジェクトに、資金提供者のなかでは最も大きい150万ユーロ¬(1億8200万円ほど)を拠出します。州政府と州議会は、このプロジェクトの可能性を認識し、それを支援しようと決めたのです。」

道路

 SolaRoadは縦2.5メートル、横3.5メートルのコンクリート製モジュールに、太陽光電池のセルを敷き、それを約1㎝の厚みの強化ガラスで覆っています。そして事故を避けるために、ガラスの表面には特殊な滑り止めの加工が施されました。自転車だけではなく、人がその上を歩いても滑らないように作られています。

ソーラーパネル敷設作業
ソーラーパネル敷設作業

滑り止め加工(右―なし、左―加工あり)
滑り止め加工(右―なし、左―加工あり)

2014年12月~2015年6月の発電量

 2015年6月15日段階(6か月間)での総発電量は4,700 kWh。これは単身世帯の電気使用量の1.5年分に相当し、これを一年に換算すると、2~3世帯分の電気を賄うことができるといいます。また、1平方メートルあたりの発電量でみると、実験室段階では年間50 kWh程度と予測されていましたが、実際には、70 kWh超となり、雨や曇りの日も多いオランダでは、最初の6カ月の発電量は予想を上回る好結果となりました。

今後のスケジュール

 コンソーシアムでは、SolaRoadの商品化を2019年以降に実現することを目指して、2015年からは、技術の改良や、道路の敷設ルート調査、さらに今年(2016年)4月には、アムステルダムのイノベーションEXPOに出展するなど、製品の事業化についての市場調査なども開始し始めています。

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 2014年にオランダのSolaRoadの実証実験が開始されて以来、2016年1月には、フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー省が、今後5年の間に1,000kmにも及ぶソーラーパネルを敷き詰める道路の敷設を予定していると発表しました。

http://www.votreenergiepourlafrance.fr/la-route-solaire-une-solution-pour-lavenir-/

 道路のソーラーパネル化は、コストや耐久性、効率の問題など、まだまだ解決しなければならない問題が数多くあるものの、どの国でも広大な面積の土地が道路として使われていることを考えれば、この技術が今後どのようなイノベーションをもたらすのか、楽しみにしていきたいと思います。


参考:


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