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2014.03.31

第47回「花を植え・管理しながら、街をつくり・育てていくことにかかわるきっかけを得る ~ガーデニングによる地域コミュニティづくり(GREEN UP&ヒルズガーデニングクラブ)」

アークガーデンの専任ガーデナーに習いながら、交流を楽しむ

屋上に築き上げられた森「アークガーデン」。大都会の中にいることを忘れさせるような雰囲気だ。
屋上に築き上げられた森「アークガーデン」。大都会の中にいることを忘れさせるような雰囲気だ。

 ヒルズ内の人たちに向けて実施しているコミュニティ活動である「GREEN UP」に対して、一般からの参加者を含めて広く会員を募集しているのが「ヒルズガーデニングクラブ」。こちらは、会費を徴収する会員制のクラブ活動で、月3回の土曜日を定例活動日として、年間30回の活動を行っている。1年ごとの更新だが、10年15年と継続している会員が多いという。
 指導を担当するのは、アークヒルズにある都心の屋上庭園「アークガーデン」の専任ガーデナーで、NHKの趣味の園芸の講師もされていた、風とみどり塾主宰の杉井明美さん。日本の気候に合った日本原産の植物にこだわった庭づくりや、屋内外を問わず鉢植えを配置して飾りつけるコンテナガーデンの普及を進める第一人者だ。

 もともと“都市に人のかかわる緑をつくりたい”という想いで17年前にスタートしたアークガーデン。緑の空間をつくり出すだけでなく、緑地があることで生まれる風や季節感、においなど植物が運んでくれる気持ちよさを都市に住み、働き、行き交う人たちのもとに届けたいという思いがある。
 そんな“かかわる”ことを形にするため始めたのが、当初は「アークガーデニングクラブ」と称した、ガーデニングクラブの取り組みだった。植物の知識の有無に関係なく、植物やガーデニングに興味のある人たちが集って、街の中に手づくりの緑を育てていこうというのがめざすところ。2003年に六本木ヒルズが開業すると、同じようなコンセプトで「六本木ヒルズガーデニングクラブ」が誕生(2005年)し、2008年4月からはこれらを統合して「ヒルズガーデニングクラブ」として、アークガーデンと六本木さくら坂の2つの活動フィールドで、一週おき交互に植え付けや手入れの作業等をしている。

アークヒルズでのガーデニング作業。

アークヒルズでのガーデニング作業。

アークヒルズでのガーデニング作業。週末ごとに見舞われた都内の大雪の影響で、久しぶりの土いじりとなった今年(2014年)2月半ばの作業日。この日の作業は、主に花がら摘み。次々と花を咲かせるタイプでは、枯れた花を摘み取っていくことで、新たな花を咲かせることにもなる。


日本原産の植物にこだわった植栽

ガーデニングクラブのもう一つの活動フィールドになっている『六本木さくら坂』。日本原産の植物をテーマに植栽している。

ガーデニングクラブのもう一つの活動フィールドになっている『六本木さくら坂』。日本原産の植物をテーマに植栽している。
ガーデニングクラブのもう一つの活動フィールドになっている『六本木さくら坂』。日本原産の植物をテーマに植栽している。

 アークガーデンでは、「フォーシーズンガーデン」と呼ぶ日本原産及び古い時代に日本に渡来してきた植物のみを集めた庭園もあるが、ガーデニングクラブの活動場所になっている「メインガーデン」では、園芸種など花の鮮やかな品種も多く扱っている。一方、後から始まった六本木ヒルズでのガーデニングクラブの活動では、75本の桜並木の足元にある沿道花壇で日本原産の植物だけに限定した“和の植物”を植え、メンテナンスしている。昔からあったような山野草といわれるものだから、園芸種に較べると地味な植物だ。
 「かなり“植物偏差値”としては高く、見る人が見ないとわかりづらいかもしれません。ほとんどの方は桜にしか目がいかないんでしょうね。ただ逆に、わかる人が見れば『こんな草花が六本木に咲いているの!?』と感動していただけるような、珍しい植物を実は植えてあります。ガーデニングクラブでは、そうした植物の植え付けからメンテナンス、名札付けなどの活動をベースに、年に数回は遠足や懇親会などのレクリエーション要素のある企画も実施して、皆さん楽しく活動に参加されています」

 例えば、毎年春にアークガーデンで実施しているのが、懇親を兼ねた春の花を活ける講習。普段は非公開の「ルーフガーデン」という庭園から好きな花を摘み取ってきて、思い思いに活けた花を前に、お茶やときにはお酒も飲みながら先生の講評を聞く。
 杉井先生の植込みデモンストレーションをメインとした『Let'sコンテナガーデン』では、先生がふだんどうやって植物と向き合っているのか、どのように作品を仕上げていくのかというプロセスをじっくりと見学して、コンテナガーデンづくりを体験する。
 取材日の前週には、明治時代から園芸用具をつくり続けている、杉井先生ご用達の園芸刃物店を訪問する“遠足”があった。古いものから現在の道具まで、その特徴やこだわりを聞いて、充実した一日となったと参加者たちも満足げだ。


今年の“遠足”は、明治時代から園芸用具をつくり続けている、杉井先生ご用達の園芸刃物店を訪問。

今年の“遠足”は、明治時代から園芸用具をつくり続けている、杉井先生ご用達の園芸刃物店を訪問。

今年の“遠足”は、明治時代から園芸用具をつくり続けている、杉井先生ご用達の園芸刃物店を訪問。


開発によって施設や建物ができたあとからはじまるのが、まちづくり

お話を伺った、タウンマネジメント事業部で六本木ヒルズエリアを担当している秋葉千恵さん(中央)と、広報室の田澤由梨さん(左)および徐桑安さん(右)。
お話を伺った、タウンマネジメント事業部で六本木ヒルズエリアを担当している秋葉千恵さん(中央)と、広報室の田澤由梨さん(左)および徐桑安さん(右)。

アークヒルズの再開発前後の緑被面積の変化を表した図(左が1990年、右は2011年)。20年以上の月日を経て、緑被率は23.3%(1990年)から43.4%(2013年)に、緑被面積は1.15haから2.15haに増えた。
アークヒルズの再開発前後の緑被面積の変化を表した図(左が1990年、右は2011年)。20年以上の月日を経て、緑被率は23.3%(1990年)から43.4%(2013年)に、緑被面積は1.15haから2.15haに増えた。
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 森ビルがこうしたコミュニティ活動に力を入れている理由は、前述のとおり、街に関わる人たちの参加があってこそのまちづくりという思いがあるからだ。
 「森ビルの活動は、街をつくって終わりではなく、街ができあがってからがスタートだ”というふうによく言うんですね。再開発によって施設ができあがっても、その街を育てるための取り組みが必要です。ただ、街を育てるのも森ビルだけでできることではありませんから、街に関わる人たちといっしょに育てていこうと、街に参加してもらうための仕掛けをいろいろとつくっているんです。タウンマネジメント事業部というのは、まさにその街に参加する仕掛け、街を育てるための仕掛けづくりをさまざま手掛ける事業部です。街を育てる取り組みの一つに、GREEN UPがあり、ヒルズガーデニングクラブがあるわけです」
 そう説明するのは、広報室の田澤由梨さんだ。

 六本木ヒルズができて11年。道路の上の広場や屋上などにも草木を植えて、緑化空間を大きくとっている。できた当初はヒョロヒョロだった木々も大きく育ってきていて、六本木さくら坂ではきれいな桜のトンネルができている。
 アークヒルズでは、開設当初の1990年に23.3%だった緑被率(緑被面積は1.15ha)が、2013年には43.4%(2.15ha)と大幅に向上・拡大している。
 両施設ともに、ショッピングなどの商業利用だけでなく、散歩目的で訪れる人も多いという。近所の人がふらっとに訪れてきたり、近くに職場がある人が昼休みの時間を過ごしたり。そんなふうに使われるのもここで育つ緑地空間が大きな役割を果たしているのだろう。


六本木ヒルズ周辺(左)のサーモグラフィー画像。

アークヒルズ周辺(右)のサーモグラフィー画像。

六本木ヒルズ周辺(左)およびアークヒルズ周辺(右)のサーモグラフィー画像。赤い部分は温度が高いところで緑~青が低いところ。緑地ができたことで、周辺に比べて青い部分が多く、気温が低く抑えられていることがわかる。
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