第38回 人と自然が共生するまち ”国立らしさ”を守り・育てる・国立市
東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。

国立市にやってきました。
国立市は、東京都の中央部にあって、東が府中市、西が立川市、北が国分寺市、南が多摩川をはさんで日野市と接しています。
面積が8.15平方キロメートル、長さが東西2.3キロメートル、南北3.7キロメートルとなっており、多摩地域で2番目に小さく、また全国でも4番目に小さな市域です。
南部地域に多摩川、矢川をはじめとした多くの河川・用水が存在し、ハケ(崖)下には湧水があり、恵まれた水環境を有しています。
国立市で「エコ」を探して散歩してみましょう。
- 市民の願い
- 雨水浸透ます
- ママとは?
- 湧水量
JR中央線の国立駅にやってきました。駅前から南に向かってまっすぐのびる大学通りの両脇には、桜並木が続き、春には多くの人が訪れます。
Q1 国立の桜を長年守り続けるボランティア組織の名前とは?
1 くにたち桜保護の会
2 くにたち桜クラブ
3 くにたち桜花部
4 くにたち桜守
正解と解説
正解 4 くにたち桜守
国立の大学通りとさくら通りの桜並木は1933年(昭和8年)、当時の皇太子(現上皇)がご誕生になったことを記念し、翌1934年から1935年にかけて、谷保村青年団と国立町会によって桜が植樹されたといわれています。
長年市民に愛される一方で、高樹齢によって衰弱していく桜に危機感を募らせていました。そこで有志が集まり、根元を踏まれないように草花を植え、生け垣を作り、トラックの荷台で削られた傷口に癒合促進・殺菌剤を塗布する活動が芽生えはじめ、2000年に市民と二人三脚で行うボランティア組織「くにたち桜守」が誕生しました。
老木の治療と並行して、若い桜への計画的な植え替えの提案等を進め、数年かけて回復を目指しています。
国立の大学通りは「新東京百景」「環境色彩10選」「新東京街路樹10景」の三つに選定されています。
JR南武線の谷保駅から徒歩7分、国立市役所の敷地内に入ると「雨水浸透ます」と呼ばれる、見た目がマンホールのようなものが設置されていました。
Q2 「雨水浸透ます」の役割とは?
1 雨水をためて使うため
2 干ばつに備えるため
3 浸水被害や河川の氾濫を抑制するため
4 雨水を植物が利用するため
正解と解説
正解 3 浸水被害や河川の氾濫を抑制するため
雨水浸透ますは、雨水を地中に浸透させるための設備です。雨水を一時的に地中に貯めることで、地表を流れる水の量が減り、浸水被害や河川の氾濫を抑制することができます。地下水や湧水の保全・回復を促し、地盤沈下の防止にもなります。
普通の雨水ますと違って、底と壁面に穴が開いていて、ますの底と周りを砕石で囲み、土がますにじかに触れない構造になっています。
国立市では雨水浸透ます設置助成金を設け、一般家庭での導入も支援しています。
JR南武線の矢川駅南口から徒歩12分、湧水が流れる「ママ下湧水公園」にやってきました。ここは、東京の名湧水57選に選定されているようです。
Q3 崖を意味する"ママ"下湧水が現在まで残っている理由とは?
1 多摩川の水をポンプでくみ上げているため
2 広い範囲から地下水が集まり、自然に湧き出しているため
3 雨量の多い地域のため
4 地下鉄工事によって地下水が集まるようになったため
正解と解説
正解 2 広い範囲から地下水が集まり、自然に湧き出しているため
「ママ」とはこの辺りの古語で「崖」を意味し、ママ下湧水公園付近は多摩川の流れによってつくられた階段のような形をした崖で、青柳(あおやぎ)段丘と呼ばれる中にあります。
崖下の湧き水は、昔から生活や農作業に利用され、昭和の初めまでは、この豊かな清水を利用してわさびが作られていました。
現在は、子どもが湧水に親しめる場所が残る一方、生きものが住みやすい環境を整えようと、国立市とボランティアが協力してビオトープを整備している箇所もあります。
ママ下湧水公園に立ち寄った足で、そこから東側にあるくにたち郷土文化館に向かいました。国立市の自然・歴史・文化を総合的に学び、人と自然の関わりを知ることができる施設です。
Q4 くにたち郷土文化館下の湧水の量は大正時代と比べて減っていますが、その理由とは?
1 雨量の減少
2 気候変動の影響で蒸発している
3 都市化に伴って、建物や舗装された地面が増えた
4 野生動物の増加が影響
正解と解説
正解 3 都市化に伴って、建物や舗装された地面が増えた
くにたち郷土文化館下の湧水では、雨水などが地下に浸みこんで蓄えられる水の量が減っていることがわかっています。その減少率は1917-1924(大正6-13)年に対して、2017(平成29)年は約55%と半分以上減っています。
減少の理由としては郷土文化館下の湧水の集水域では、ほとんどが建物用地となり、雨水が地面に浸透しにくい土地が増えたことが挙げられます。
一方で、湧水が湧きだす元となる集水域は国立市内全域に及び、崖線に沿うように主に3か所から湧いています。これらの湧水を保全するため、国立市では雨水浸透ますの導入を奨励し、くにたち郷土文化館の建屋周辺には計10か所設置されています。





