トップページ > 環境レポート > 第24回 目黒区:無理なく、楽しく取り組むことで笑みも出る、省エネ・温暖化防止の取り組み(家庭版めぐろグリーンアクションプログラム『めぐろ笑エネトライ』)
2016.05.27
当プロジェクトの助成金を活用した都内62市区町村の環境事業の取り組み状況について順番に紹介する「環境事業紹介」のコーナー。第24回は、目黒区が省エネを通じた地球温暖化対策事業として実施している『めぐろ笑エネトライ』について紹介します。
“楽しみながらトライすると笑も出る!”と、無理なく、楽しく、省エネに取り組んでもらおうと平成27年度にリニューアルしたこの事業。事業の概要とねらいについて、担当者の話を聞きました。ぜひご一読ください。
『めぐろ笑エネトライ』は、目黒区環境保全課温暖化対策係が平成27年度に前年度まで実施していたものをリニューアルした事業。区民が『笑エネ宣言』を行い、省エネの取り組みを実践して、温暖化防止対策を進める。
オールカラーの表紙が楽し気な『笑エネトライ』のパンフレットは、区役所の窓口で配付するほか、区内に全4か所ある地区サービス事務所および22の住区ごとに設置されている住区センターでも配布している。また、区のホームページからもPDFファイルとしてダウンロードできる。
エントリーするには、毎月届く電気・ガスの検針票、2か月に一度届く水道の検針票から、当月および前年同月の使用量を転記するだけでよい。1か月間『笑エネトライ』を意識して電気・ガス・水道の使用状況を考えて取り組んだ感想を一言、連絡先とともに記入して、環境保全課内事務局に郵送・FAXで送付または持参すれば、もれなくオリジナルの付箋セットが参加賞としてプレゼントされる。
「以前、区民向けのイベントを実施した際に、検針票を見たこともないし、気にしたことがないという声がありました。シートに記入するため検針票から転記することで、見方を知ったり、エネルギー使用量を気にするようになったりしてほしいというのがねらいのひとつです。それとともに、楽しくエネルギーを使いながら消費量を減らし、家計にやさしく、みんなで笑いながらトライしてもらうことを大事にしています。省エネというと、我慢して節約するといったイメージがありますが、それでは長続きしませんから、無理なく、楽しく取り組んでもらいたいのです」
そう話すのは、環境保全課温暖化対策係の松尾さん。
『めぐろ笑エネトライ』の表紙とエントリーシート
1か月のエントリーでもれなくプレゼントされるオリジナルの付箋セット。
『笑エネトライ』は、1か月のエントリー(笑エネ宣言)のあと、4か月ごとの継続的な取り組みをして、エネルギー等の使用削減をめざしていく。このため、シートには4か月分の記入欄が設けてある。
毎月、当月と前年同月の使用量を記録し、4か月間のトータルで前年比1%削減の達成をめざす。目標が達成できると、環境保全課から記念品のプレゼントがある。現在、4か月間の継続によって前年比1%削減の目標を達成した人が5名出ていて、記念品としてLED式のルームランタンをプレゼントした。継続のモチベーションを高めるとともに、LEDの光を感じてもらいたいという思いを込めたと松尾さんは言う。
今後、8か月、1年間とさらなる継続によって目標を達成した場合には、別の記念品を用意する予定だ。
4か月間の集計で前年比1%削減を達成した人たちにプレゼントしたLED式ルームランタン。LEDの光を感じてもらいたいと選んだ。
『笑エネトライ』は、27年度から始めた事業だが、それ以前にも同じような内容で22年度から実施してきたのが、『「だれか」ではなく「わたし」から大作戦』だった。
「家族で話し合って決める我が家の環境キャッチフレーズなどを記入した参加登録シートの提出から始まって、電気やガス、水道、ガソリンなどの節約行動についてチェックする1stステージ、最終的にCO2削減に取り組む3rdステージまで4枚のシートを用意したのですが、ステージが多く、最終ステージまで達成できる世帯の数が伸びなかったという課題がありました。より取り組みやすいものにしようとリニューアルしたのが、『笑エネトライ』なのです」
手に取ってもらいやすくするためフルカラーでイラストを多くし、検針票から簡単に取り組みの成果を評価できるように工夫したと松尾さんは言う。
『目黒区地球温暖化対策地域推進計画(第二次計画)』の表紙
目黒区は住宅地が多く、各家庭における省エネの取り組みが、区全体のエネルギー消費に大きく影響する。しかも、家庭での取り組みは、“地球にやさしい”のに加えて、光熱費の節約による“家計にもやさしい”効果をも生み出す。
目黒区が26年3月に策定した『目黒区地球温暖化対策地域推進計画(第二次計画)』では、2010(平成22)年度を基準とし、2014(平成26)年度から2020(平成32)年度の期間に、目黒区全体で二酸化炭素排出量・エネルギー使用量を、毎年度1%以上、計画最終年度(2020年度)において7%以上削減することを目標にしている。これによって、計画で掲げた将来像「みんなでつくる みどりと省エネのまち めぐろ」に向けて、区民、事業者、区のそれぞれが、「だれか」ではなく「わたし」から地球温暖化対策に取り組み、みどりを活かしながら省エネを進め、「住みたいまち、住み続けたいまち目黒」の実現をめざす。
『めぐろ笑エネトライ』の前年比1%削減の目標は、この温暖化対策地域推進計画の目標になぞらえた設定にしてあるわけだ。
ただ、これまで何もしてこなかった人にとって1%の削減はそれほど難しくもない反面、すでに省エネ活動の取り組みをしてきた人がさらに1%の削減を実現するのは困難という声もあがっている。継続的な取り組みをしている人たちを評価する仕組みづくりも今後の課題になると松尾さんは言う。
27年度は、『笑エネトライ』の啓発パンフレットを配布しながら周知を図ったが、1か月間の参加が21名、4か月間の継続が10名にとどまった。より多くの区民に取り組んでもらうことが最大の課題だ。
「区では、半年間で6回の講座を実施する環境ナビゲーター養成講座を開催し、その修了生たちが環境ナビゲーターとして活動しています。その中の十数人が、『笑エネトライ』に取り組むグループをつくって、省エネの工夫や課題などを話し合いながら、いっしょに取り組んでいます。はじめは9人のグループとしてスタートしましたが、途中から加わった人も数人います。前年同月との比較によって取り組みの評価をするので、いつからでも開始できるのです」
メンバーたちは、6月の環境月間に合わせて平成28年6月12日開催予定の『エコまつり・めぐろ』にブースを出展して、『笑エネトライ』を紹介しようと準備をしているという。環境ナビゲーターたちにとっても、修了後の活動として取り組む格好のテーマになるのだろう。そんなサポートも受けながら、地道に周知を図っていきたいと話す松尾さんだ。
27年度は啓発パンフレットを作成・配布した。1枚のカードを展開していくと4ページ分の記事が表示できる“変わり絵”式だ。
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
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