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2018.09.26

第52回「武蔵村山市:空堀川の水質と水量の確保のための取り組みを流域4市合同でアピール(空堀川水環境確保対策会「親と子の環境教室」)」

 「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」の助成金を活用した都内62市区町村の環境事業の取り組み状況について順番に紹介する「環境事業紹介」のコーナー。第52回は、武蔵村山市が空堀川流域4市とともに組織する「空堀川水環境確保対策会」の活動の一環として毎年夏休み期間に合わせて実施している「親と子の環境教室」について紹介します。
 平成30年度は、7月27日(金)に、4市から総勢71名の参加者が集まり、空堀川が属する荒川水系の上流域・埼玉県寄居市にある埼玉県立「川の博物館」へのバスツアーとして実施しました。
 事業の概要や背景について、担当者のお話をお聞きしましたので、ぜひご一読ください。

 ※本記事の内容は、2018年9月掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

流域4市で構成する空堀川水環境確保対策会

 空堀川は、流域面積は26.8km2、河川延長15.0km、荒川水系の一級河川。狭山丘陵のふもとに広がる都立野山北・六道山公園(武蔵村山市本町)域内に源を発し、東大和市・東村山市を流れて途中で奈良橋川を合わせて、最下流域の清瀬市中里で柳瀬川に合流する。その後、埼玉県に入って新河岸川となり、最後は隅田川から東京湾に注ぐ。
 渇水期になると水がなくなり空堀になってしまう川というのが、川名の由来になったともいわれる。
 昭和40年代中頃からの急速な都市化による工場排水や一般家庭排水の流入で水質が悪化し、平成8年度までは多摩地域の水質ワースト5に入っていたという。公共下水道が整備され始めた昭和52年頃から徐々に水質の改善がみられる一方で、排水の流入がなくなったことで水量も減り、現在、一部流域では水が流れていないところもみられる。
 こうした空堀川の現状を踏まえた水質改善及び水量確保をめざした対策を目的に、流域4市で組織しているのが空堀川水環境確保対策会。取り組みの一環で年1回、4市合同企画として夏休みの時期に合わせて実施しているのが、今回のテーマとなる「親と子の環境教室」だ。

流域4市の市報に掲載された「親と子の環境教室」募集の案内(左上から、武蔵村山市、東大和市、東村山市、清瀬市) ※クリックで拡大表示します

川を学び、川に親しんでもらうための機会を提供

 親と子の環境教室は、過去の記録をさかのぼると、平成6年7月26日には東京湾に面した「ガスの科学館」(江東区豊洲)で4市がそれぞれ参加者を募って実施する今の形での実施がされていて、すでに20年以上続いていることになる。翌年の平成7年7月25日には多摩川源流域の小河内ダムと山のふるさと村(奥多摩町)、さらに平成8年7月23日には東京都葛西臨海水族園(江戸川区臨海町)と続き、空堀川流域内にとどまることなく、東京都近辺の源流域から河口部を舞台に、川や水をテーマにしつつ、親子で体験を通じて環境について学ぶための施設等の見学・体験の機会を提供している。
 「4市合同で実施している事業ですから、毎年、4市が持ち回りで幹事市を務めます。各市では、4年に一度、会場候補の選定や下見などを実施したうえで、毎月の定例打合せで決定しています。武蔵村山市では、ちょうど翌年(平成31年度)に幹事市を担うことになっているため、つい先日、4年前にも実施した会場の下見に出かけ、次回の定例打合せに報告する予定にしています」
 武蔵村山市協働推進部環境課環境保全係主任の西原辰也さんがそう説明する。係長の横堀哲也さんも次のように補足する。
 「参加者の皆さんには市役所に集合していただいて、バスで遠征しています。各市がバスを手配し、開始時間に合わせて集合・出発時間を設定して、現地で合流する方式です。各市から25名を定員に募集していますから、総勢では100名ほどになります」

 平成30年度の会場は、4年前及び8年前(それぞれ平成26年7月30日及び平成22年7月29日)にも実施した、埼玉県寄居市にある埼玉県立「川の博物館」。空堀川が属する荒川水系の上流域に当たる同博物館では、荒川流域の郷土文化や川とのかかわりなどを紹介する展示のほか、屋外には水の科学的性質(流力、浮力、水圧、抵抗力)や治水・利水の学習ができるウォーターアスレチック施設「荒川わくわくランド」も併設されている。
 今回のプログラムは、午前中に現地で集合したあと、4市の参加者全員が荒川流域の谷に伝わる獅子舞「あさぎ」の伝承に携わる人たちの活動を中心に、荒川の四季折々の自然や祭り、川とともに生きる人々の生活を紹介する映像上映を見たり、秩父山地から切り出した木材を水の力で下流に押し出すための人工ダム「鉄砲堰」の迫力ある実演(縮小再現した模型)を見たり、荒川流域で物資輸送に使われていた荷船の復元模型の中に入って楽しんだりした。午後からは、親子で屋外のウォーターアスレチック施設を楽しむなどそれぞれ自由に過ごしたあと、夕方17時頃に各市役所に戻れるよう15時をめどに現地を出発して帰還するという一日だった。

平成30年度は、夏休みに入ってすぐの7月27日(金)に、埼玉県立川の博物館(埼玉県寄居市)を会場に、荒川流域で物資輸送に使われていた荷船の復元模型の中に入ったり、秩父山地から切り出した木材を水の力で下流に押し出すための人工ダム「鉄砲堰」の迫力ある実演(縮小再現した模型)を見たりして楽しんだ。
平成30年度は、夏休みに入ってすぐの7月27日(金)に、埼玉県立川の博物館(埼玉県寄居市)を会場に、荒川流域で物資輸送に使われていた荷船の復元模型の中に入ったり、秩父山地から切り出した木材を水の力で下流に押し出すための人工ダム「鉄砲堰」の迫力ある実演(縮小再現した模型)を見たりして楽しんだ。。

平成30年度は、夏休みに入ってすぐの7月27日(金)に、埼玉県立川の博物館(埼玉県寄居市)を会場に、荒川流域で物資輸送に使われていた荷船の復元模型の中に入ったり、秩父山地から切り出した木材を水の力で下流に押し出すための人工ダム「鉄砲堰」の迫力ある実演(縮小再現した模型)を見たりして楽しんだ。

地域の人たちからは、かつて水量豊かな川で泳いでいた時代もあったと聞く

 武蔵村山市では、平成31年度に空堀川水環境確保対策会の4市持ち回りで幹事市となることから、平成30年8月初旬に「親と子の環境教室」の予定会場の下見を実施している。
 「先日、次年度の下見に行ってきましたが、会場を選定する際にはいろいろな条件を確認する必要があります。100人規模で川や水を体験できる施設であるか。天候が悪くなっても、屋内で過ごせる施設があるか。荒天時に屋内で100人規模のプログラムが実施できるかなどです。各市とも、4年前に実施した会場を基本としつつ、参加者の反応なども踏まえ選定しているようです」
 バスに乗り、日帰りで川や環境に関する施設を訪れることから、往路のバス車内で事業やプログラムの趣旨説明をしながらその日のプログラムに向けて気持ちを盛り上げ、施設で様々な体験等を通じて学習をし、復路ではその日一日の感想などを伺う。最近の子どもたちには少なくなった川の自然体験をこうした機会に提供することで、少しでも川や水の楽しさを感じてもらうきっかけにしてもらいたいという思いを込めて話をしている。
 「空堀川も、今は川の周りをフェンスで囲っていますから、昔のように河原に下りて魚やザリガニを釣るといった自然と触れ合う経験を今の子どもたちはそれほどできていないと思います。市内には空堀川の他にも何本か川が流れていますから、市内の歩ける範囲でも川を眺めながら歩いてみるのも楽しいですし、何かしらの発見ができるかもしれません。バスの中ではそんな話もして、川の自然体験をしてもらうきっかけにしてほしいと思っています」

 主任の西原さんは、空堀川水環境確保対策会の担当として2年目を迎えている。前年度・今年度とも幹事市ではなかったが、空堀川のことも対策会のことも十分には知らないままに担当を引き継ぐことになったため、1年目の年、空堀川についてもっと知ろうと、毎月開催している会合の前1時間ほど川の実情を知る時間を取ることを提案したという。
 「『そもそも空堀川ってどこからどこまでなの、見たことないですよね、見たいと思いませんか?』と呼びかけたのです。毎月の会合も4市が順番に会場を用意していますから、それに合わせて各市の川を見に行ったわけです。現場を知ることが対策の第一歩になります。流域4市が合同で実施してきたメリットの一つですよね」

 対策会とは別に、空堀川の保全活動に取り組む市内の市民団体と、かつての空堀川の姿について話す機会があったと係長の横堀さんが紹介してくれた。
 「地域で川の水のことを研究している市民団体から出前講座制度の派遣要請がありました。川のことを聞きたいと申し込まれたので、市の取り組みなどをお話したのですが、そのときに市民団体の会員さんからは、空堀川にもかつては水がたくさん流れていて、当時は泳げたんだという話をお聞きしました。川の名前の由来などについても教えていただき、かつてあった川と触れ合う風景を取り戻したいとおっしゃられたのが印象的でした」

年4回、市域の上流部と下流部2か所ずつ、日時を合せて水質調査を実施

 空堀川水環境確保対策会では、夏休みの親子環境教室の他にも、定期的に水質調査などを実施して、報告書にまとめて、年度末に東京都に提出している。条件を揃えるため、毎年5月、8月、11月、2月の年4回を4市合同の調査日として、各市が上流域と下流域の2か所ずつの調査地点を設定して調査を実施している。
 渇水等で水そのものがなかったり、逆に荒天で濁流になったりするときには調査ができず、データがない「欠測」となる。平成28年度の結果を見ると、11月の調査日が全市で欠測となっている。また2月には上流域の武蔵村山市で欠測になったのに対して、東大和市ではデータが取れているなど、調査地点によっても状況は異なることもある。

 平成29年4月1日、空堀川は、東京都による環境基準の水域類型見直しにより、それまでのE類型がA類型に変更された。
 この類型は、生活環境の保全に関する環境基準(河川)に関するもので、河川の利用目的等に応じて、AA・A・B・C・D・E類型の6段階の水域類型の指定がされる。このうちAA類型の水域が最も水質がよく、厳しい基準値となる。空堀川の従来のE類型は「工業用水3級」に適応する水質として、BOD値が10mg/L以下などの基準値が設定されているのに対して、A類型は「水道2級・水産1級・水浴及びB類型以下に掲げるもの」に適応する水質として、BOD値2mg/L以下などが設定されている。つまり、水質基準としては、川で泳げるだけの清涼さを取り戻したといえる。
 一方で、課題となるのが水量確保だ。空堀川流域の下水道普及率は、昭和61年に24.5%だったのが、平成28年には99%を超えて、今やほとんど雑排水の流入はない、自然の水と考えられる。最源流の都立野山北・六道山公園に降った雨水が水源のほとんどを占め、途中から湧いて流れて補水するような水源はあまりない。
 せっかくA類型のきれいな川になったと評価されたにもかかわらず、流域に保水力がないため降った雨は一度に流れ出てしまい、その後は水が少なく流れが滞り澱んでいくことになる。一定の水量があって常に川が流れていく状態を保っていくことで、きれいな水を保つこともできるわけだ。

 武蔵村山市では雨水浸透施設及び雨水貯留槽設置に対する補助を平成30年4月から開始している。雨水の有効利用及び地下水のかん養を促し、水環境の保全や雨水の流出抑制を図るのが目的だ。
 対策会では、今後も4市合同の水質調査を継続して現状を把握しつつ、水量確保をめざした取り組みと要望を引き続き実施するとともに、それらの取り組みも含めて、市内を流れる川や川の水に関心を持ってもらい、川に親しむきっかけづくりとして、親と子の環境教室を続けていきたいという。

毎年度末、年4回の水質調査結果を幹事市が集約して取りまとめる、空堀川水環境対策会報告書。

毎年度末、年4回の水質調査結果を幹事市が集約して取りまとめる、空堀川水環境対策会報告書。

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