トップページ > かれんとシーナの『エコ質問箱』 > 質問10:ミドリガメを自然に返しちゃダメって、どういうこと?

2016.11.25

かれん と シーナの『エコ質問箱』 質問10

質問10:ミドリガメを自然に返しちゃダメって、どういうこと?

かれん
うちで飼っているミドリガメが大きくなっちゃって、今度近くの川に放してきたいと思っているんだけど、シーナもいっしょに来てくれない?
シーナ
え? ミドリガメって、アカミミガメのこと? だめだよ!
かれん
どうして? アカミミガメかどうか知らないけど、昔お父さんがどこかから買ってきたの。最初はちっちゃくてかわいかったんだけど、だいぶ大きくなってきたから、そろそろ自然に返してやった方がいいんじゃないかと思うんだけど。
シーナ
首のところに赤い模様がない?
かれん
そういえばあったわね。アカミミガメっていうんだ。
シーナ
正式にはミシシッピアカミミガメっていって、北アメリカ原産のカメなんだけど、日本全国に定着して、今や各地の池や川で最も頻繁に目撃されるほど多くなっているんだ。もともと日本にいた在来のカメや水生生物、それに農業への影響もわかってきて、大変なことになっているんだって。
かれん
え、外国産のカメだったんだ。外来生物ってこと?
シーナ
そう。外来生物の問題はかれんも知っているよね。
かれん
ブラックバスやブルーギルが在来魚を食べ尽くして深刻な問題を引き起こしているっていうのは聞いたことがあるわ。ミドリガメも魚を食べちゃうの?
シーナ
アカミミガメは雑食性なんだけど、水生植物を好んで食べるらしい。問題は、数が増えていること。植物園の池や堀では、水草がなくなるほど被害が大きくなっているところもあるそうなんだ。
一部データ不足のところもあるんだけど、野外に生息しているアカミミガメの個体数は、全国で約800万匹と推計されているらしいよ。これらのカメが水草ばかり食べたとすると、週に約320トンもの水草が消失していく計算になるんだって。
かれん
ちょっと想像がつかないけど、大変そうね。
シーナ
しかも、アカミミガメは今なお毎年約十万匹が輸入されていて、学校や家庭で飼育されているカメも百数十万匹はいると考えられている。寿命も数十年と長く、年を経るにつれて大きくなるから、飼うのが大変になって野外に放されて、ますます増えていくんだよ。外来生物問題の中でも、今まさに緊急的な対策が必要とされているものの一つなんだって。
かれん
自然の中で暮らした方がカメにとっては幸せなのかと思ったけど、まわりの生き物にとっては迷惑だったのね。
シーナ
まわりにとっても迷惑だし、勝手に連れてこられた外来生物にとっても幸せなことではないんだよ。
かれんだって、今、家から放り出されて一人で生きていけって言われたらどうする?
かれん
え~、たぶん生きていけないな。そう言われるとひどいことをしようとしていたのね。
シーナ
アカミミガメにとって、日本の池や川は天敵も少なく、比較的暮らしやすいからこそこれだけ増えているんだろうけど、イシガメやクサガメといった日本に昔から棲んでいるカメとの競合もあるし、まわりへの影響も含めて、いろんな意味で想像力を働かせて行動することが必要だよね。
かれん
そうなのね! 反省するわ。
シーナ
外来生物の問題は、人によって引き起こされた問題だということを知っておく必要がある。例えば、ブラックバスやブルーギルなんかも、深刻な被害を与えていることで悪者扱いされることもあるけど、悪いのは本来いるべきところではないところに連れてきた人間だよね。
外来生物だって放り込まれた環境の中で懸命に生きているだけなのに、まったく迷惑な話さ。
かれん
でも、どうすればいいのかしら。
シーナ
大事なのは、本来の生息地以外のところに放したりしないこと。そのためには、飼い主が責任を持って、天寿を全うするまで大切に飼うことだよね。
犬や猫と同じように、家族の一員として飼ってあげること。その覚悟がないなら、最初から飼うべきではないんだよ。
かれん
わかった。
うちのカメも、これからも大事に育てていくことにするわ。

このページの先頭へ

本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。