トップページ > かれんとシーナの『エコ質問箱』 > 質問26:シイタケを植えると、森が守られるって、どういうこと?

2018.03.29

かれん と シーナの『エコ質問箱』 質問26

質問26:シイタケを植えると、森が守られるって、どういうこと?

かれん
シーナ、キノコ採りってしたことある?
シーナ
あるよ! それがどうかした?
かれん
パパがキノコを採りに行くっていうのよ。私、キノコはあまり好きじゃないんだけどな…。
シーナ
え!? あんなにおいしいのに? 喰わず嫌いなんじゃないの? 森のキノコを採りに行くんだろ、採ってすぐ、網で焼いたりするとすごくおいしいんだよ。
森で採ったキノコは、スーパーで買ってきたのとは全然違うから、食べてごらんよ。
かれん
そうかしら…。あまり気乗りしないんだけどな。
シーナ
もったいないなあ。ぼくもいっしょに行ってもいい?
かれん
いいわよ。私の分もあげようか。
シーナ
どうしても食べたくないんならもらうけど、おいしいよ!
かれん
う~ん…。
シーナ
ところで、どんなキノコを採りに行くの?
かれん
この間、森の中で丸太を並べたんだけど、そろそろシイタケが生えてきているんじゃないかっていうのよ。
シーナ
ああ、ほだ木に菌種を植え付けたんだね。ぼくが採るのは野生のキノコだよ。
かれん
ほだ木っていうの? 交互に組み上げるのが結構大変だったなあ。
シーナ
風通しをよくするためだね。シイタケ栽培には、直射日光が当たらないけど、雨は降り注いで、風通しや水はけのいいところが適しているんだよ。
かれん
ふーん、そうなんだ。キノコのこと、もっと教えてくれる?
シーナ
いいよ! 何でも聞いてよ。
かれん
あのね、キノコを植えるときに、「森を守るための活動なんだよ」って言ってたの。どういうことか、わかる?
シーナ
キノコを育てるために木を切るからだよ。
かれん
え、でも、木を切っちゃったら、森がなくなっちゃうんじゃない?
シーナ
かれんは木を切ることが、悪いことだと思うの?
かれん
私は切ったことはないけど、ちょっとかわいそうな気もするわね。特に何十年もかけて生長した木は、そっと残しておいてあげたいわ。
シーナ
じゃあさ、森は切らないで放っておいた方がいいと思う?
かれん
違うの? 森がなくなっているのは人間が木を切っているからって聞いたことがあるわよ。東京も昔は自然豊かだったけど、どんどん宅地化されて森がなくなっちゃったんでしょ。
シーナ
うん、その通りなんだけど、でも、一概に森の木を切らない方がいいってわけでもないんだ。
かれん
だって、木は切っちゃったらなくなっちゃうじゃない。
シーナ
でも、木がなくなれば、葉っぱで遮られていた光が地面にまで射しこんできて、新しい生命が芽生えてくるんだよ。森全体を一斉に切って、宅地などにしちゃったら森がなくなっちゃうけど、森の中で木が切られたり倒されたりすることは、森にとっても大事なことなんだよ。
かれん
ふ~ん、そうなんだ。
シーナ
ぼくたちドングリの木も、里山の雑木林に生えている木で、昔は30~40年おきに切られていたから、明るい雑木林として維持されてきたんだ。でも最近は、木が切られなくなって、薮のようになっているところもいっぱいあるんだよ。そうなると、生き物にとっても暮らしにくくなってしまうんだよ。木が混み合いすぎて、鬱蒼とした森って見たことない? ひょろひょろした木は健康そうに見える?
かれん
あ、そうか…。
シーナ
地面に光が射しこまなくなると、草も生えなくなっちゃうんだ。
森林保全とか環境保護なんていうと、なんだか難しいことをしなくちゃならないように思うかもしれないけど、山とともに暮らしてきた人の営みって、案外バランスが取れていてよかったんだと思うよ。
かれん
でも、それがシイタケ栽培とどうつながるの?
シーナ
シイタケを栽培するためのほだ木は、森の中の木を切って作るだろう。木は倒されちゃうけど、シイタケの原木として活用されるし、切り株からは新しい芽が出てきて、森が再生されるんだ。
でも、切らないままでいると、大きくなりすぎて、森の中は暗くなるし、木自体も年を取り過ぎて元気がなくなっていくんだよ。
かれん
だから、切った方が森の保全につながるってことなのね。
シーナ
それと、キノコは森の掃除屋とも言われるんだよ。
かれん
掃除屋さん? どういうこと?
シーナ
ほだ木を組む時に「重かった」って言ったでしょ。でも、何年か経つとスカスカになって、軽くなるんだよ。
かれん
キノコのせいなの?
シーナ
キノコのおかげだよ。森の中には、倒れた木や折れた枝もあるし、秋から冬にかけて、毎年たくさんの落ち葉が地面を覆っているけど、春になるといつのまにか、目立たなくなっているじゃない。キノコを始めとする森の掃除屋さんが片付けてくれるんだよ。
かれん
キノコって、動物じゃないわよね。ホウキを持って掃くわけじゃないし、そもそも動けないんじゃないの?
シーナ
もちろん、ホウキを使うわけじゃないし、動いたりもしないけど、菌糸を伸ばして広がっていくし、胞子を飛ばして、森の中のいろんなところに生えてきて、倒れた木や落枝、落ち葉などを分解しているんだ。
かれん
あ! “分解”っていうことは、「物質循環」のことでしょ。生産者と消費者と分解者だっけ? 理科で勉強したことがあるわ。
シーナ
そう。キノコは分解者なんだ。分解者のおかげで、落ち葉や枝が分解されて、再び植物が栄養として使えることになる。動物の死体も同じで、分解者がいなかったら、朽ちていかないまま森の中に残っていくことになるんだ。
かれん
キノコも大事な役割を担っているのね。

Question

シーナ
じゃあ、そんなかれんにクイズを出してあげようかな!
日本でシイタケの人工栽培が始まったのって、いつ頃だったと思う?
  • A1 縄文時代
  • A2 平安時代
  • A3 江戸時代
  • A4 大正時代
かれん
え~、難しいなあ。ヒントをくれない?
シーナ
ヒントじゃないけど、キノコの人工栽培としては、シイタケがもっとも古くから行われていたんだって。
かれん
ぜんぜんわかんないよ~! みなさんはわかりますか?

答えを見る

解説

シーナ

答えは、A3の江戸時代なんだって。

ただ、シイタケを干すとうまみが増すことは古くから知られていたらしくて、乾物にして食べられるようになったのは、9世紀に中国の食文化が入ってきた頃だったと言われている。保存も効くし、栄養も増す、優れた知恵だよね。

このページの先頭へ

本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。