トップページ > 環境レポート > 第85回「下水道の役割を知り、水環境について考える全国でも珍しい施設(小平市ふれあい下水道館)」
2017.07.18
最下層の地下5階は、同館のメイン施設、実際に使用中の公共下水道管内部の見学ができる「ふれあい体験室」だ。下水道で使われている管やマンホールの実物が展示されているほか、地域の降雨情報がわかるアメッシュ500も設置されている。タイル張りの階段を10段ほど下っていくと、その先には潜水艦のようなハッチ式のドアが設置されている。計器が並ぶコンクリ剥き出しの半円形の前室を通り抜けると、内径4.5mの下水道管に入り込む。
「ここで見られるのは、本物の下水道管で、約5万人の市民の汚水が流れています。ですから、午前中に降りてみると、洗濯水の石鹸臭が漂ってくるなど、時間帯によって違いが感じられます。閉館後なのでわかりませんが、夕方から夜にかけては風呂の水が多く流れてきているなど、日々の生活と直結していることが感じられます。極端な例としてわかりやすいのが、雨水の流入です。平成27年7月30日に小平市を襲ったゲリラ豪雨によって、一気に流量が増して、濁流のように流れる様子が見られました。当日の様子を撮影した動画を撮ってありますからそれを見ていただけるとよくわかります」
館を訪ねた日は天気もよく、地下5階の下水道管を流れる水量はゆっくりとした流れだった。
ゲリラ豪雨当日の映像では、雨が降り始めて次第に流れが速く、量も増してきたことで、危険と判断し、下水道管内に張り出した体験ステップのフェンスを取り外してハッチドアを閉めて、下水道管内体験を中止したという。さらに時間が経つと、下水道管はほぼ満水状態の激流となった。ただ、ゲリラ豪雨だから長くは続かない。1時間ほど激流が続いたあと、次第に水は引いていき、ほどなく通常の水量に戻っていく様子が見られた。
タイル敷きのステップを降りて、「体験コーナー」へ
暗く長々と続く下水道管からは、むっとした下水特有の臭いが立ち込める
ハッチ式のドアが設置されたコンクリート剥き出しの前室の先には、本物の下水が流れる公共下水道管が…
下水道管には、合流式と分流式がある。合流式は、雨水と家庭から出た汚水をいっしょに流す下水道だ。一方、分流式は、雨水は雨水管、汚水は汚水管と別々の管を流れていく。
ふれあい下水道館の地下を流れる下水道は、合流式。小平市の場合、市域の西側約2/3は合流式、東側約1/3は分流式になっているという。
小平市の場合、合流式下水道が多く、雨水がそのまま川に流れてしまうため、家庭で雨水浸透枡を設置するため、1m2当たり500円の補助金を出している。
各家庭に雨水を地下に戻す協力をしてもらい、降った雨水をなるべく地下に戻す取り組みをしている。
下水道のしくみとマンホールの蓋の種類
小平市の下水道は、市域の西側が合流式、東側が分流式
地階へと降りていく階段には、地上からの高低差が「-15m」などと表示されている。階段の柱には、ふれあい下水道管築造時の地層を復元した土壌断面標本が展示され、地下に潜っていく感覚がいやが応にも増していく。
階段の途中に、「今日の地下水の位置」という表示が矢印で示されていた。脇には、年間地下水位の変動グラフが張り出されている。職員が毎朝、巻き尺を下して測った地下水位を表示・記録しているという。
「観測井戸で毎日地下水を測って、季節や年変動を見ています。先端に水と接触すると音が鳴るセンサーをつけた巻き尺を下ろしていって、現在の地下水位を測っています。この辺でも、夏の時期と冬の時期ではかなり地下水位が変わるのがわかります。」
階段に表示されている地上からの標高差。階段の柱には、小平付近の地層を復元した土壌断面標本が展示されている
「-18m」の表示に合わせて、「今日の地下水の位置」が張り出されている。毎朝測って表示位置を変えている。
一本管に巻き尺をおろして、毎朝地下水位を測る。右は、巻き尺先端の水に接触すると音が鳴るセンサー。
ご当地の文化や歴史、名所、名産などをデザインした個性あふれるマンホールの蓋を紹介するマンホールカード。来館した希望者に配布。
小平市下水道プラン(計画期間:平成23年~32年までの10年間)の表紙には、ふれあい下水道館がイラスト化されている。
小平市下水道長寿命化基本構想(平成26年3月策定)の表紙。
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