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みどり東京レターは、都内62市区町村が実施するイベントをわかりやすく紹介することを目的に、月に1回程度の更新を予定しています。ぜひご一読ください。
2021.06.30
5月22日の『国際生物多様性の日』の周知イベントとして開催された、府中市「生物多様性パネル展」。会場となった市役所の市民談話室には、市内で撮影された色とりどりの生きものの写真と、生きた昆虫や魚が展示され、府中市内の生態系の縮図が出来上がっていました。
開催日時:令和3年5月17日(月)~27日(木)※開催期間延長
会場:府中市役所1階 市民談話室
企画運営:府中市役所生活環境部環境政策課自然保護係
主催:府中市
野鳥写真の提供:府中野鳥クラブ
府中市内に実際に生息しているお魚や昆虫を間近で観察することができたよ!
5月20日(木)、「生物多様性パネル展~5月22日は国際生物多様性の日~」へお邪魔するため府中市役所へと向かいました。
パネル展と聞いていましたが、会場の1階市民談話室に足を踏み入れると、なんとびっくり!水槽の中を元気に泳ぐ魚たちと、昆虫たちが出迎えてくれました。
この生きものたちはいったいどこからやってきたのでしょう?
国際生物多様性について理解するための「入り口」はこんな身近なところにあり!
本パネル展の開催を担当した、府中市役所生活環境部環境政策課自然保護係の中澤拓哉さんにお話しを伺いました。
府中市では、平成27年に、府中の生物多様性を豊かにするはじめの一歩として、「府中市生物多様性地域戦略」を策定しています。本パネル展は、『国際生物多様性の日』の普及啓発イベントの一環として開催されました。
今回のパネル展を担当された、府中市役所 環境生活環境部 環境政策課 自然保護係の中澤拓哉さん。
生物多様性の問題について、市民の方々により理解してもらうためには、第一に身近な問題としてとらえてもらうことが重要であると考え、今年のテーマを『府中の自然と生きもの』と設定しました。
中澤さんはずっと、「市民の方々に、自分たちが暮らす府中市内にどのような生きものがいるのか知ってもらいたい」という強い思いを抱いていました。
生物多様性とは何ぞや?まずは基本的な問題について、環境省制作のパネルを通して学ぶ。
生きた生きものの展示は、同定作業に必要な知識や時間の制約、管理の難しさなどから、なかなか実現せずにいましたが、今回のパネル展では、同市で初めての試みとして「はじめの一歩」を踏み出すことで、実際に市民の方々に生きものを見てもらうという意志を成し遂げました。
府中の豊かな自然の中へと自ら繰り出した中澤さんと同課自然保護係長の白木康弘さんが、魚は多摩川から、昆虫は武蔵台公園から、それぞれ連れてきたのだそうです。(後日、生きものたちはもとの住処に返されました)
府中市に暮らす生き物たちも、そして私たちも、この壮大な地球の生態系の一部であることが実感できる。
生物多様性は、今や地球規模の問題であり、地球温暖化と並んで喫緊の課題となっていますが、その認知度は、まだまだ高いとは言えないと、中澤さんは言います。
実際、昨年(令和2年)に行われた府中市の市政世論調査では、33.7%の市民が、「言葉の意味まで知っている」と回答した一方、34.7%の市民は、「聞いたことがない」と回答していました。
言葉の意味が分かりづらい、規模が大きくイメージがしづらいなど、なかなか自分事としてとらえることが難しいことが、その背景にあるようです。
そこで、今まで生物多様性について知らなかったという市民の方々に、まずは府中市の自然環境について興味を広げてもらうことが目下の課題です。さらには新しいことを楽しく、また体感的に学んでもらえるような工夫をしていきたいと中澤さんは話します。
コロナ禍において自然を体験し、生きものと触れ合う機会が減っている中、感染症対策をしながら市役所内で生きた魚や昆虫を見てもらうことで、自然と生きものに関心を持ち続けてもらいたいと中澤さんは話す。
府中市では、生物多様性の普及啓発のために、様々な取り組みを行ってきましたが、中でもパネル展は、自分たちの問題として受け止めてもらうきっかけを作る手段の一つです。そのため、職員の方々が、日々の業務の中で気づいたこと、もっと市民の方々に知って欲しいと思ったことをテーマにすることが多いそうです。
昨年は、市内で年々相談件数が増加しているアライグマやハクビシンなどの外来生物がもたらす被害について取り上げ、剥製を展示しました。これにより、市民の方々により危機感を持ってもらうことができたそうです。
今回展示されている「府中の自然と生きものマップ」の野鳥の写真は、府中野鳥クラブさんの提供によるもの。
浅間山公園、武蔵台公園といった緑地や、多摩川や府中用水などの水辺など、多彩な自然に育まれた生態系は府中市の素晴らしい財産であると言えます。しかし、市民一人一人が、その土地固有の自然と人間の歴史的営みについて認識し、また今後適切に関わっていく術を学ばなくては、すぐに失われてしまいかねません。
パネル展は、生物多様性が決して日常離れした問題ではないこと、むしろ私たちを取り巻く生活そのものであり、私たち自身もその一部であることを教えてくれるものでした。中澤さん、白木さん、本当にどうもありがとうございました。
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