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2013.04.15

第28回「キャップ回収をボランティア活動の一つのきっかけに ~明治大学エコキャップ班の取り組み」

キャップのリサイクルだけにこだわらず、より幅広い活動を目指して

2012年度の活動で作成した「リバティ防災マップ」。
2012年度の活動で作成した「リバティ防災マップ」。

 エコキャップ班の活動のベースは、キャップ回収を通じた環境保全やボランティア活動への参加だが、2012年度はそれにとどまることなく、より幅広い活動をしていきたいと、年度のはじめから話し合いが重ねられたという。
 前期の活動として力を入れたのは、リバティタワーの防災マップの作成だった。各階の避難経路や消火栓の配置などを調べて、イラストマップにしたもの。日頃、キャップ回収ボックスを巡回して大学構内をくまなく歩き回ってきた経験も活かして、学生目線の防災マップが仕上がった。取り組みのプロセスでは、学内防災部署との意見交換、学内外の防災関係者による講義や、錦糸町にある本所防災館に勉強に行って防災への意識や知識も向上し、充実した活動になったという。

 エコキャップ班でなぜ“防災”なのかというのは、メンバーの中でも議論になったというが、実は背景がある。
 キャンパスごとに設置されているボランティアセンターには、それぞれテーマがあって、例えば、理系学生が通う生田キャンパスでは、「自然共育」をテーマに活動している。駿河台ボランティアセンターのテーマは「防災」で、千代田区及び近隣大学との連携で活動を展開しているというわけだ。

 10月には、毎年大学のOB・OGを招待して開催している「ホームカミングデー」に参加した。OB・OG同士の親睦や、母校との連携の強化、現役学生たちとの交流などを目的に開催されるこのイベントでは、会場内でドリンクの販売などもしているから、ペットボトルのキャップ回収を呼びかけながら、エコキャップ班の活動を紹介して、1ヶ月後に迫っていたエコキャップ週間の案内にもつなげたわけだ。また、会場で販売する飲料には、これまで使い捨ての紙コップを使っていたが、これに替えてプラスチック製のリユースカップを導入。回収を呼びかけた結果、90%以上が回収でき、エコ活動をアピールする機会にもなったと同時に、エコキャップ班としても新たな活動を展開する契機になった。

 これらの活動は、2012年度からはじめたものばかり。キャップ回収の活動だけでない、幅広いボランティア活動をしたいというメンバーみんなの意見で、試行錯誤していった結果だ。
 さらにメンバーみんなの強い気持ちから、2013年度以降、名称を「Tree」に変更することも決まった。「エコキャップ班」という名称ではキャップ回収しかしていないと思われるからだ。より幅広い活動をしていくために、名称を変更したいという気持ちが強くなったためである。新名称「Tree」には、以下のような意味を込めている。
 『大きく広がる木の根や枝は、まさに私たちが目指す「幅広い活動」を指す。今はまだ活動が始まって3年足らずの組織ではあるが、これから何世代と続いていくキャップ班が木の年輪のように大きな幹になってほしいという願いを込めている』

防災マップづくりの様子。
防災マップづくりの様子。

お世話になった学内外の関係者をお呼びして開催した、防災マップ作成の発表会(2012年8月6日、リバティタワーの教室にて)
お世話になった学内外の関係者をお呼びして開催した、防災マップ作成の発表会(2012年8月6日、リバティタワーの教室にて)

キャップ回収の活動が一つのきっかけになる

左から、明治大学エコキャップ班の犬塚翔平さん(法学部4年)、木下麻梨さん(経営学部4年)、大高吉央さん(法学部4年)。所属・学年はいずれも取材当時。
左から、明治大学エコキャップ班の犬塚翔平さん(法学部4年)、木下麻梨さん(経営学部4年)、大高吉央さん(法学部4年)。所属・学年はいずれも取材当時。

 「ボランティア活動というと、誰かを助けるための活動だったり、余裕のある人が分け与えたりといったイメージを持っていたんですが、実際にボランティア活動を自分がするようになって、人との出会いやいろんな人とのつながりができたのがとてもおもしろかったし、意義を感じたところでした」  そうエコキャップ班を通じたボランティア活動をふりかえるのは、大高さんだ。
 一方、木下さんは、自身の活動の反省も踏まえて、後輩たちにエールを送る。
 「活動していくと、だんだん元の趣旨を見失ってしまうこともありますよね。エコキャップ週間でも、景品を集めることに一生懸命になりすぎて、そもそも“キャップ回収の習慣づけ”のきっかけづくりをめざして始めたはずの抽選会だったのに、気付くと手段が目的化していたところもありました。そんなことも乗り越えながら、これまで大事にしてきたことを見失わないようにエコキャップ班の活動を発展していってほしいですね」
 犬塚さんは、どんな活動でも、それがきっかけになってくれさえすればよいと達観する。
 「駿河台キャンパスに関わるすべての人が、もっとボランティアに対して意識を持ってほしいと思っているんです。そのためのきっかけに、エコキャップ班の活動がなっていけばいい。エコキャップの活動が本当にエコなのかと批判的な意見も少なくはありません。でもそれでもいいと思っていて、エコキャップ活動を知って、自分で調べたり考えたりして、判断すればいいんです。それがひいては、環境保全の活動やボランティアの活動について真剣に考えられるようなきっかけの場になってくれればよいと思っています。それは、エコキャップ班のメンバーだけでなく、駿河台キャンパスに関わるすべての人たちにとってです」

 エコキャップの活動は、ボランティア活動の入口であり、エコキャップ班にとっては原点でもある。ただ、エコキャップの活動だけにとらわれることなく、これまで受け継いできた先輩方の思いを大事にしつつも、メンバーの発意と自由な発想による活動を展開していってほしいと、後輩たちの今後の活動に期待を寄せる、木下さんたちだ。

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