トップページ > 環境レポート > 第46回「“よいことをする”ための購買であるよりも、ファッションが好きな人たちが気に入ったモノを選んだ結果が社会にとってもよい効果を生むことをめざして ──日本のエシカルファッションを盛り上げる取り組み(Ethical Fashion Japan)」
2014.02.03
EFJの活動はウェブサイトによる情報発信だけにとどまらない。エシカルが知識で終わってしまうのではなく、行動を伴うことで生きてくるライフスタイルのあり方を問うものだから、実際に服を選んだり、エシカルファッションに関わる人たちと交流したりしながらエシカルの意味を考えてもらうことが大事だとの考えゆえだ。最初にはじめたのは、数人が集まっての交流会。互いに友達を紹介しあうようなかたちで、回を重ね、そのたびに参加人数も増えていった。一時期は月1回の定期開催となり、50人ほどが集まるようになっていた。エシカルファッション・ブランドと提携して、エシカルファッションとかエシカルなアパレルビジネスのあり方などを考えるためのワークショップなども開催した。
交流会の様子。
ファッション性を前面に押し出したエシカルファッションの電子雑誌『Emagazine』を創刊したのは、2012年だった。雑誌のコンセプトは、「ファッション×社会問題」。ファッションやスタイリングの中に社会性を入れたいと思っていたものの、日本にはその媒体がない。だったら自分たちで立ち上げようと思ったのがきっかけだ。発行は、不特定多数の賛同者から資金を集めるクラウドファンディング【3】の仕組みを使っている。特集の企画を一つのプロジェクトとして立案し、企画を読みたい・見たい・作りたいと賛同する人たちの協力を得ながら自由で柔軟なプロジェクト運営が実現する。そんな、これまでにないアクティブなメディア運営ができるのが魅力だという。これまでに、2012年の秋冬号「ファッション×福祉・障害」(Issue0)、2013年の春夏号「ファッション×売春」(Issue1)、2013年秋冬号の「ファッション×動物」(Issue2、クラウドファンディングの目標未達のため刊行なし)と企画してきている。
クラウドファンディングで年2回刊行する『Emagazine』。コンセプトは「ファッション×社会問題」。2012年秋冬号は「ファッション×福祉・障害」(写真左)、2013年春夏号は「ファッション×売春」(写真中央)がテーマ。2013年秋冬号は、「ファッション×動物」を予定していたが、寄付の目標が未達成のため未刊行。
EFJ代表の竹村伊央さん。エシカルファッション専門のスタイリストとして、エシカルファッション先進国・イギリスで活動してきた経験を生かして、日本で日本なりのエシカルファッションを広めていきたいと話す。
エシカルファッションは、“自分を綺麗に着飾る”ことを追求しつつも、生産に携わる人たちや地球環境のことにも意識を向けるライフスタイルを指す。エシカルファッションを選ぶことで、企業の行き過ぎた利益追求の姿勢に対して待ったをかけたり、エシカルファッションを着ることで社会に対する役割を果たすことにつながったりする。それも、ことさら社会貢献・環境保全などと声高に叫ばなくても、好きな服を選ぶことを通じて気軽に取り組めるのが特徴だ。
「日本のエシカルファッションは、まだまだファッションとしてよりも、社会的意義とか支援等のための寄付として買ってもらうイメージが強いと思います。でも、そんな“よいことをする”ための購買であるよりも、ファッションが好きな人たちが「かっこいい」「かわいい」と思って商品を買うようであってほしいんです。エシカルファッションだから買うのではなく、好きなものを選んだら結果的にエシカルファッションだったというような。もちろん、エシカルな製品の背景にある意味や関わる人たちのストーリーを知ってもらうことで製品への感動や愛着、思い入れを持ってもらいたいとも思います。でも、それが第一義ではないんです。あくまでもファッション性を第一に選んでもらう。ただ同時に、ちょっとでもエシカルに対する興味を持ってもらえれば、ファッションから食や生活全般のことにも思いや意識が広がっていくと思うのです。私自身がそうでしたから」
そんなとっかかりになるような、有名ブランドにも負けない、かわいくてカッコよいエシカルファッション・ブランドが、誰でもどこででも簡単に入手できる環境を作っていきたい。そのための支援をしていくのが、EFJの目標であり、ミッションだと話す竹村さんだ。
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