トップページ > 環境レポート > 第93回「『練馬大根引っこ抜き競技大会』を通して練馬大根に親しみながら練馬の農を学び、地場農産物への愛着を育てたい(練馬区、JA東京あおば)」
2018.01.30
練馬大根の産地として知られる練馬区では、平成19(2007)年から毎年、練馬区役所とJA東京あおばの共催により「練馬大根引っこ抜き競技大会」が開催されている。平成29(2017)年に第11回を迎えたこの大会には、どんな目的があるのだろうか。
大根の収穫期を迎える初冬の畑で競技大会に参加し、練馬大根を通して人々に伝えたい主催者の思いを探ってみた。
練馬大根引っこ抜き競技大会の会場は、区内の大根畑から毎年持ち回りで決まるという。平成29年は練馬区南大泉の畑が会場に指定されていた。小春日和に恵まれた12月の日曜日、最寄り駅から会場をめざして10分ほど歩くと、畑を囲むように大勢の人が集まっているのが見えてきた。
主催者の発表では、競技大会の参加者は区内外から582名。競技種目は、個人で制限時間内に抜いた数を競う男子の部と女子の部、15歳以下の子どもと保護者が1組になって抜いた大根のうち最も長い大根の長さを競うグループの部があり、それぞれ申込順でエントリーする。同時に、競技中に抜かれた大根の中から最も長い大根、最も重い大根、おもしろい大根、農園園主賞などを選ぶ記録の部の審査も行われた。
また、今回は参加者がいっせいに大根を引っこ抜く、最多人数のギネス世界記録®「The most people unearthing radishes simultaneously」への挑戦も行われた。
競技大会の会場となった練馬区南大泉にある練馬大根の畑。毎年、練馬区内の生産者の畑で持ち回りで開催されるという。朝8時から受付が始まり、9時にはたくさんの人が集まっていた。
練馬大根の畑での様子。一般のスーパーで見かける大根と比べると葉が少し小さいように感じる。
開会式の最後に、会場となった大根畑を提供された農園園主の井口哲哉さんから大根の抜き方についてのレクチャーがあった。
練馬大根は中太り型といって、葉の下と先端が細くて真ん中あたりから下が太くなっている。そのため引き抜くときは普通の大根の3~5倍の力がいる。ときには折れることもある。井口さんの説明では、腕で抜くのではなくひざの屈伸を利用して真っ直ぐ上に引っ張り上げるようにして抜くのだという。
最初に行われるギネス世界記録への挑戦は参加自由というので、飛び入りで参加させていただいた。井口さんのレクチャーを思い出しながら、土の上に出た大根の白い部分を持ってスタートの合図を待つ。
ギネス世界記録公式認定員のマクミラン舞さんによる「スリー、ツー、ワン、GO!」のかけ声とともにひざを伸ばしながら腕に力をこめる。が、大根はまったく動かない。しばらく「うん、うん」うなりながら引っぱっていると、土の中でブキッという鈍い音がして、すーっと大根が抜けてきた。先端の細い部分が切れてようやく抜けたのだ。
確かに練馬大根を抜くには普通の大根よりかなり力が必要である。生産者の収穫の苦労が偲ばれる。練馬大根は栽培が減り、絶滅しかけてしまったそうであるが、収穫の苦労も消滅しかけた原因の1つなのだろうか。
今回のギネス世界記録への挑戦では、当日飛び入りの参加者を含む全員が3分間いっせいに練馬大根の引き抜きを行って、規定通りに引っこ抜くことができた人数は492名、見事世界記録に認定された。
競技が始まる前に、準備体操。この競技会のためにつくられた「練馬大根体操」で体をほぐす。
大根を引っこ抜くときには、葉の下の大根の白い部分をつかんで、ひざの屈伸を利用して、真っ直ぐ上に引くようにして抜く。長いので途中で折れやすいのだが、競技大会では2本を折ってしまうと失格になる。(提供:練馬区、第10回大会より)
男子の部の決勝が始まる。今回は制限時間1分以内に引っこ抜くことができた大根の本数を競う。
抜いた大根をスタート地点に運んで下に置く、と同時に次の大根に狙いを定める。迫力満点の引っこ抜き大会。
女子の部の開始。抜いた大根はスタート地点まで運ぶ。食べ物なので、あくまでもていねいに扱わないと失格になってしまう。
グループの部の参加者は15歳以下の子どもたちと保護者。お父さんと子どもたち3人で力をあわせてようやく引き抜けた。普通の市民には、大根を抜く体験は、なかなかできない。
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